6月27日付け共同通通信は「厚生労働省は24日、2010年の熱中症による死者が1718人に上り、過去最多を記録したと発表した。これまでの最多は07年の904人で、約2倍に達した。」と配信しました。平成22年中の交通事故による死者数は、4,863人です。熱中症死亡はその35%です。今回の震災は「想定外」の天災という言い方がされていますが、熱中症死亡はそれとは違います。天災と片付けられるものではありません。給水・涼しい環境が確保されれば確実に回避できるものです。社会的援助が欠けるためおこる人災の一つといえます。
「厚労省によると、年齢別では、65歳以上が1362人(全体の79・3%)で、高齢者が大半を占めた。場所別では、家の中や庭が783人(同45・6%)と、半数近くが身近な場所で熱中症になっていた。」(同 共同通信)これまでの調査でも、貧困や認知症・身体障害などによる対処能力の低下しているひとがハイリスク集団になっています。
「熱中症のため6月20日から26日にかけて病院へ搬送された人は全国で2996人に上ったことが、総務省消防庁の速報値で28日分かった。先週の猛暑が原因で、前年同期の5・3倍に当たるという。」(6月28日)今年は昨年よりリスクが高そうです。
近年、国・地方自治体はテレビをはじめとするマスコミを通じて啓発活動を強めています。しかし被害を減らすにはきめの細かいマンツーマンの指導援助が重要です。この点ではほとんど前進していません。そして国は7月24日には地上アナログ放送を終了し、地上デジタル放送に完全移行するとしています。95%以上が地デジ対応済みと言われています。私は、熱中症ハイリスク集団の方が、残った5%の地デジ未対応集団に相当数含まれるのではないかと危惧します。テレビを通じた熱中症対策の啓発も届かなくなります。30度を超える炎暑環境の下に情報もなく孤立した高齢者が衰弱する姿が目に浮かびます。本当に7月24日に地デジ完全移行して大丈夫なのでしょうか。慎重な判断が求められます。
いよいよ7月梅雨明けを迎えるこの時期、様々な個人・団体が熱中症予防対策のための訪問援助活動に取り組まれることを呼びかけます。 それを通じて地デジ対応実態把握も重要です。