Translate

2015年9月7日月曜日

韓国のMERS感染から学んだこと


 韓国では今年5月最初の患者がマーズと診断されて以降次々と4次感染まで感染がひろがり186名の感染が確認されました。死者は36名に及びました。(死亡率19%)現在では新たな患者がでない状況が続いています。

マーズは2012年に初めてイギリスで確認された新型のマーズコロナウイルスを原因とする新しい呼吸器系の感染症です。中東を中心に感染が拡大しているため中東呼吸器症候群(略してマーズ)と呼ばれます。マーズに感染し発症すると発熱・咳など呼吸器症状がでます。死亡率は約40%と非常に高いです。ウイルスの宿主はラクダやコウモリです。それから人に感染します。人から人へも感染します。感染経路は接触感染や唾や飛沫感染です。空気中にウイルスが広がり感染する空気感染は確認されていません。現在のところ予防のためのワクチンも治療薬もありません。感染を発症した場合は対症療法をします。感染しないように防御することが大切です。

 韓国では中東からの帰国者が韓国内で発病したのが発端で次々と院内感染がおこりました。市中での感染はありませんでした。肺炎を合併したのは82名で44%です。死亡者もこの肺炎合併者の中から出ています。そして感染を伝搬した患者は重症の肺炎の9名の方でした。感染者の5%です。

 韓国では診断が遅れさらに院内感染が拡大しました。情報公開が不十分で患者発生病院が名前が20日間公表されませんでした。韓国の経験からマーズ感染者で肺炎を合併した方を迅速に診断し適切な治療と感染拡大防護対策を行うことが重要だとわかります。

韓国で感染が拡大した原因は韓国の公的医療制度の不十分さです。入院患者の身の回りのお世話は医療の仕事ではなく家族の仕事になっています。家族が常時付き添い患者に触れることで感染が拡大しました。また個室料が高く肺炎を起こしていても多床室に入院していました。感染症の方が医療上の必要で個室に入院しても公的医療保険はカバーしません。

 日本ではマーズは感染症法の2類感染症に指定されています。患者が発生した場合、医師による届出や患者に対する適切な公的医療の提供等が行われます。しかしマーズ疑いの患者さんの経済的な問題や仕事の問題で受診が遅れる可能性があります。また医療機関で診断が遅れる可能性もあります。感染の拡大を防ぐ万全の準備が必要です。今後も財政不足を理由に公的医療を削ってはいけません。


0 件のコメント:

コメントを投稿