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2010年2月16日火曜日

アルコール関連問題に適切な治療を


朝青龍が突然引退しました。本場所中に泥酔して友人を殴って怪我をさせたためです。昨年2月中川大臣が二日酔いのような様子で記者会見を行い世間の批判を浴びて辞職し、その後10月に亡くなったことは記憶に新しいです。三笠宮が07年よりアルコール依存症で入退院を繰り返していることは公式に発表されています。有名人でもアルコールに関連した事例は少なくありません。
 アルコールによる問題は、何も病気(肝硬変やアルコール依存症)だけに限りません。飲酒による犯罪、非行、交通事故、家庭問題などこれらは全てアルコールによって引き起こされる可能性のある問題です。世界保健機構(WHO)はアルコール関連問題を以下の5点にまとめています。①健康問題(潰瘍、胃腸障害、胎児障害、肝硬変、脳障害、がん、心臓疾患)②事故(飲酒運転による事故、レクリエーションによる事故)③家族問題(児童虐待、配偶者虐待、離婚、夫婦間暴力)④職業問題(産業事故、短期および長期の欠勤)⑤犯罪(他殺、強盗、暴行、暴力)です。アルコールによる社会的・経済的損失は、年間に6兆6000億円以上(1991年厚生省)とも言われています。初めにあげた3事例はアルコール関連問題の典型例です。
 日本は酒の上の「失敗」には寛容で病気としてとらえることができません。アルコール関連問題が起こっているのにアルコールをやめることができない人はアルコール依存症です。必ずしも飲酒量の多い少ないには関係ありません。医学的には薬物依存症の1つとして考えられています。アルコール依存症の治療法は断酒以外にはありません。病気としての治療の対象で専門的治療につなげる必要があります。先の3名も適切な治療を受けることが必要であったし、今もあります。 
 アルコール依存症のチェック法にCAGE法があります。次の4項目をチェックします。①あなたは今までに、自分の酒量を減らさなければいけないと感じたことがありますか?②あなたは今までに、周囲の人に自分の飲酒について批判されて困ったことがありますか?③あなたは今までに、自分の飲酒についてよくないと感じたり、罪悪感をもったりしたことがありますか?④あなたは今までに、朝酒や迎え酒を飲んだことがありますか?4項目中2項目以上あてはまれば、アルコール依存症の可能性が高いと判定します。
 自分自身やまわりのアルコール関連問題に気づいたらクリニックや相談してください。

2009年12月6日日曜日

田尻俊一郎先生のこと

田尻俊一郎先生。
1928年5月15日佐賀県生まれ。
45年8月長崎で入市被爆。51年京都大学付属医専卒業。
52年以降大阪民医連の院所で勤務、一貫して働く者健康問題に取り組み、79年には淀協社会医学研究所を設立された。
1981年に大阪過労死連絡会を設立し、世界に先駆けて過労死問題を提起されその根絶に邁進された。

その田尻先生が09年9月4日に逝去された。

私は「よろしく頼むな」と何度、田尻先生に手を握られ頼まれたかわからない。
社医研の今後のこと、そして大阪民医連の今後のことである。
なかなか期待に応えられないまま今に至っている。

田尻先生がいるから大阪民医連に来た医師が少なくない。
「生活と労働の視点で患者を診る」
「働く者立場に立って診療をする」
そんな言葉を学生時代に聞いて夢を持って民医連に飛び込んできた医師が何人もいる。

働く者の立場に立った医療を実践で貫かれたのが田尻先生だった。
それは労働者の実態を現場で見る、生の声を聞く、そして仕事で命をむしばまれている事実に労働者とともに怒りを持って、医師として仕事をする。
それが田尻先生のスタイルである。

医学と医療技術の進歩と日本の低医療費政策は、医師を診察室と医療機関に縛り付け長時間過重労働に忙殺し医師自身の過労死を引き起こす事態となっている。
その中で医師が現場を見、そして社会的事実を体験・理解することができにくい状況が生まれている。
要請される仕事の分野が広がり田尻先生の様に産業医学一筋には生きにくい時代となっている。

だからこそ田尻先生の思いと業績を若い世代に伝えていく必要があると思う。
田尻先生がしてきたようにいつまでも青年のようにロマンを語り続けけることが大切だ。

田尻先生の奮闘にかかわらず、過労死過労自殺は減る気配を見せていない。
過労死は根絶しなければならない。
「田尻先生、先生の仕事は立派に受け継ぎます」と先生に誓いたい。