原発稼働ゼロが約一か月継続した。政府財界は原発再稼働へ必死に進めようとしている。一方、世論調査では再稼働反対が多数を占めている。橋下徹大阪市長と関西広域連合が大飯原発再稼働反対の見解を表明していた。事実上、関西の自治体首長が賛成しないと福井県知事も野田首相も再稼働ゴーの決定ができず、ここまで来ていた。そのような情勢の下で、元々新自由主義の立場に立ち、大企業の利益確保を至上目標にしている橋下氏とその影響を強く受ける関西広域連合が、どのような理由づけで大飯原発再稼働に同意するのかが注目されていた。
とうとう5月30日関西広域連合は事実上再稼働容認の見解を発表した。
「暫定的な安全判断であることを前提に、限定的なものとして適切な判断をされるよう強く求める」
「暫定的な安全判断」だから「限定的なものとして適切な判断」してほしいと言うのである。「限定的」とは夏だけとか、大飯原発だけのようである。
「なぜ」そう判断したのかが明確でない。
続いて翌31日橋下氏は「(電力不足を)乗り切る必要があるなら、(略)僕は容認と考えている」と述べた。電力が不足するから再稼働を容認すると言うのである。
まとめると橋下氏と広域連合の見解はこうである。
①
安全基準は暫定のもの(必要十分なものではない)
②
この夏電力が不足する
③
大飯原発の再稼働限定的容認
安全基準が十分なものでなく、また大飯原発の安全対策が終了していないことは明らかである。私は橋下氏と関西広域連合は以下の点について答える必要があると考える。
①
政府と関電の「電力不足」と言う見解を了承するのか。
橋下氏はピークカットで乗り越えられるという考えではなかったのか。特別顧問の飯田哲也氏の「電力は足りる」という主張を否定するのか。
橋下氏と広域連合はこの夏の電力需給についての自らの見解を語るべきである。
②
電力が「不足」すれば原発を稼働していいのか。
原発がいったん事故を起こすと簡単にコントロールできず大惨事を起こすことは周知の事実である。また原発の操業が多量の放射性廃棄物を生み出す。それの安全な処理法も確立していない。橋下氏は、放射性廃棄物は未来への罪といっていたのではなかったのか。利益や安楽のために、立地県と未来の人々の足を踏みつけるような不公正なことを再びすることは間違いである。
③
もし政府の判断が「限定的」再稼働でないなら再稼働に反対するのか
夏だけの稼働と言うことはありえないと枝野経済産業大臣が明言している。大飯原発再稼働を呼び水に他の原発の再稼働も計画されている。再稼働が「限定的」であることはありえない。
橋下氏と広域連合は「限定的」再稼働を申し入れを政府が無視したという事実だけを残したいのか。限定的再稼働が確約されなければ大飯再稼働に反対すると言う見解を表明するべきである。
ツイッター依存症の橋下徹氏。5月に入って原発については発言しなくなっている。4月はのべ16日90回原発をツイート。5月は30日現在のべ4日21回。5月12日以降は原発について完黙している。脱原発依存から脱原発に主張を変えた時も説明がなかった。脱原発から稼働容認に主張を変えてもツイッターでは知らん顔の半兵衛だ。説明責任を果たせない政治家は失格だ。自分の言葉に責任を持てないものは閻魔に舌を抜かれる。橋下徹大阪市長と関西広域連合が大飯原発再稼働を容認したことを歴史の事実として記憶しよう。
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