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2011年12月24日土曜日

もう一つの沖縄戦 「戦争マラリア」を知っていますか


娘夫婦のお供で石垣島をはじめとする八重山諸島に行ってきた。1223日には石垣島周遊をした。案内をしてくれたのはタクシー運転手のTさん。三線の講師もされている方で大変能弁で6時間の案内をしてくれた。ぜひ太平洋戦争の関連の遺跡も案内してほしいとお願いすると、「そんなことを言う観光客は非常に珍しい。私はその話をいつもしたかった」といわれた。そして「八重山平和祈念館」に連れて行ってくれた。

平和祈念館は石垣市の市街地の新栄町79番にあった。平和祈念館は「『戦争マラリア』の実相を後世に正しく伝えるとともに、人間の尊厳が保障される社会の構築と、八重山地域から世界に向けて恒久平和の実現を訴える『平和発信拠点』の形成を目指」して1999年につくられた。http://www.pref.okinawa.jp/yaeyama-peace-museum/html/hajimeni.html
戦争マラリアに関する写真・地図・絵・遺品類が展示されている。

「戦争マラリアとは太平洋戦争の末期の1945年に、沖縄県八重山郡の住民が、日本軍の命令によってマラリア有病地帯へ強制移動させられ、多くの方がマラリアに罹り、3647名がなくなった(罹患者は全人口の54%、死亡者は全人口の10.4%)」(平和祈念館ビラ)事件だ。

沖縄本土の戦いは米軍の上陸があり、その先頭の関連で20万から24万人が死亡した。しかし八重山では米軍の上陸作戦がなかったにもかかわらずこれだけの死者をだしている。敵の攻撃のためではなく、味方の軍隊による強制集団疎開により死亡した。軍は米軍の侵攻に備えるためと称して、住民の反対を押し切ってマラリア蔓延地域に強制疎開させた。

マラリアは現在でも有効な予防注射がない。最大の予防は蚊にさされないことだ。死亡率の高い病気で、世界で年間150万人が死亡している。1945年当時でもマラリアの恐ろしさは周知されていた。マラリア蔓延地域に強制移住させることは、住民を死の淵に追いやることと同じだ。国民を守るはずの軍隊が、国民を死に追いやったのだ。先のTさんは「戦争マラリア」の資料を探しに靖国神社の遊就館に行ったが一言も触れられていなかったと言われた。史実から目を逸らしてはならない。

八重山諸島は亜熱帯の風物が楽しめる素敵な地域だ。ぜひ行きたいと思っている人は多い。沖縄本島での沖縄戦の真実を知るための「平和学習」もねばり強く続けられている。八重山地域見学、平和祈念館見学も「平和学習」に組み込まれることを推奨する。

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