「段取り命」の元営業マンは「私は死ねるでしょうか?上手に死ねるでしょうか」と自問する。上手く死ぬために「自らの死の段取り」とエンディングノートを作成し、律儀に実行する。
こんな段取りである。
ToDo 1 神父を訪ねる
ToDo 2 気合いを入れて孫と遊ぶ
ToDo 3 自民党以外に投票してみる
ToDo 4 葬式をシュミレーション
ToDo 5 あわび、母
ToDo 6式場の下見をする
ToDo 7 もう一度孫と会う
ToDo 8 孫に挨拶 母に電話 親友と談笑 息子に引き継ぎ
ToDo 9 洗礼を受ける
ToDo 10 妻に(初めて)愛してると言う
ToDo 11 エンディングノート
つまり妻、母、子供、孫、友人と関係を振りかえり残された時を大切に過ごし、別れを言うこと。エンディングノートには葬式の段取り、財産処理、近親者の今後が書かれている。 映画はこの段取りの遂行を順を追って描く。観客は緊張しながら、微笑みながら、涙を流しながら観る。そして映画を観た後、自分は上手に死ねるか、上手に見送れるか考えることになる。死についてはこれまで話題にすること避けてきたため、人はいかに死んでいくのか知らない人が多い。この映画は死を考え、話題にするいいきっかけになる。
しかし死と遭遇し上手く対処するにはマニュアルだけではだめだ。死が訪れつつある本人と家族は自分の人生と自身の存在の意味を考え悩み苦しむ。この作品では、その本人と家族の死を目前にした恐れ悲しみ不安怒りなどは十分には描けていない。それは本作品がドキュメンタリーであり基本的に演出や撮り直しがきかないからであろう。なおかつ監督が主人公の娘で当事者であることが影響している思う。この映画を監督自身が小説化した「音のない花火」では娘自身の葛藤がうまく書かれている。才能のある監督の次回作に期待する。
↓↓↓↓↓↓
0 件のコメント:
コメントを投稿