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2011年10月31日月曜日

橋下徹 「どうして君は友だちがいないのか」(河出書房新社)にみる社会・家族そして処世術


橋下徹とはいかなる人物であるか非常に興味がある。橋下氏にはそれは困難な境遇から「社会的地位」を獲得した人に見られる危うさが感じられる。「どうして君は友だちがいないのか」から彼の人物像が見えてくる。

この本は、2007年にいじめに悩む中学生を対象に自身の経験を踏まえた対処法を書いている。
 こどものころの人間関係に悩む必要はない。
 うまくいかなくても自分の責任ではない。
 人間関係は変わっていく一時的なものだ。
 もし身の危険があるような場合は、強いもの手下になってスネ夫のように生きればいい。
 いじめられるのが嫌ならいじめる側になればいい。
 やがて出口は見えていくる。・・・・

彼がつらい子供時代を過ごし、学んだことがよくわかる。彼の子どもたちに対するアドバイスの当否はひとまず置いておく。この本のなかで大人社会・家族・処世術について触れているところを見てみる。彼の人柄が見えてくる。

彼は言う。
 大人の社会は利害関係が発生して、損得勘定で動くことが多い。
 仕事ができるかどうかで人生の80%は決まる。
 いわゆる友だちよりも、(仕事に関して)教え教えられる関係のほうが重要になってくる。
お金を稼ぐためにうまく仕事するかが大切だということだ。彼がサラ金御用弁護士になって短期間で年収数億を稼ぐようになったことが理解できる。では現在の政治家稼業はどこで損得勘定があっているのだろうか。きっと私の想像できない部分で帳尻があい、損をしない計算になっているのであろう。「親切で何も要求しない正義の味方なんていない」と彼は明言する。

家族についてはこう書いている。
 家族が大人にとっての友だちだ
 家族がいればさびしくない
 損得抜きで並列の関係でいられる
これは友だちについて「そもそもが役に立たない存在」メリットなし、面倒ばかり、いっしょにいてもなにか与えてくれるわけではないと断じているのと好対照である。家族についての本心だろう。彼の3男4女の子だくさんもそれを裏付けている。しかし「もちろん、これは平和な家庭の場合で、家族が落ちつかない場合は、お父さんもお母さんも、そとに友だちを求めてさまよっていることもままありますが・・・。」とも書いている。自分の親のことが念頭にあるのだろう。家族関係ではずいぶん苦労をしたのだろう。政治家は公人でありプラバシー権は制限される。しかし家族は別である。橋下氏の家族について云々することは控えるべきである。彼にとって家族以外の人間関係は損得有の上下関係でさびしいもののようだ。

彼は生き方として、強いものについていくことをすすめる。
 力関係を見てよく動く
 力関係をうまく使う
 強いもののパシリになる
スネ夫のような生き方をすすめる。一時期かれは紳介のパシリであった。今は誰のパシリなのだろうか。大型公共事業を期待する関西財界か、サラ金特区を期待する貸金業界か、カジノ建設を望む暴力団か、教育の政治支配をめざす右翼勢力か。

橋下批判が各方面から起こっている。流れは変わっている。かっての「橋下ブーム」は終わった。橋下氏は空気を読むことの重要性をよく知っている。周りの反応をよく見て、政治の世界から退く準備をする時だ。彼は「いじめられた場合はもがいてはいけない」と書いている。落ち目の時はもがかず静かに消えていけばいい。いまこそ政界をさまよわず自分の家庭に帰る時である。

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