11月6日付の朝日新聞によると枝野幸男経済産業相は5日、早稲田大学で行った講演で次のように語った。
「リスクをどの程度重視するかは国によって違う。地震や津波がない国もあるが、日本は圧倒的に原子力を使うには適さない」
「わが国がいま持っている技術について海外の評価にこたえるのは、むしろ国際的な責任だ」
「(原発)技術を国内で使わなくなるかもしれないが、(外国が)評価するなら、それにこたえることは矛盾でない」
国内は脱原発・海外には原発輸出推進が矛盾しないと言うのである。
これは今年3月12日福島第一原発一号機ベント後に、彼が述べた「放出はただちに健康に影響をおよぼすものではない」に匹敵する歴史に残るトンデモ発言である。
国内は脱原発・海外には原発輸出推進がなぜ矛盾しないのだろうか。
日本は地震や津波が頻発するので原子力を使うのに適さないが、(危なかろうが危なくなかろうが)日本の原発を買う国があればうまく話をつけて売ればいいというのである。矛盾でなければ、不正義である。
まず知りたいのは、本当に日本は脱原発をすべきと枝野氏が考えているのかと言う点である。枝野氏が真に脱原発論者であれば、それはそれで歓迎するが、疑念が残る。脱原発への国民の意思が強いための仮の方便ではないのか。この点については今後の枝野氏の発言・行動で明らかになってくる。
枝野氏は外国には地震や津波のない国もある。その国が、日本の原発を買ってくれるならそれはそれでいいと言う。「日本の官民はベトナムやトルコ、ヨルダンなどへの輸出を目指し、交渉している。」(朝日新聞)ベトナムやトルコ、ヨルダンのどの国が地震や津波のない国であるのか。世界の地震地図を見てほしい。
地震分布の世界地図[ 出典 ] Earthquake Search 「 USGS - U.S. Geological Survey 」
相手の国が買おうというのだから売ればいいというは間違っている。かつて日本はアスベストが問題になれば工場を韓国に移転した。また水俣病を経験しながら水銀輸出禁止の要望がある中で、アジアで唯一水銀輸出を現在も継続している。福島を経験した日本が原発を輸出することで、またもやエコノミックアニマルという蔑称を受けたいのか。
福島原発の事故があっても原発を輸入したいという外国政府があることは事実であろう。日本がするべきことは原発事故の事実を国内外に明らかにすることである。またある特定の外国政府が原発輸入の意思を示しても、政策決定にその国の国民の意思が反映されているかと言う問題がある。日本政府がベトナムやトルコ、ヨルダンなどへ原発を輸出の働きかけをするというのであれば、脱原発を望む日本国民はベトナムやトルコ、ヨルダンなどの国民に原発の危険性について伝える必要がある。
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