7月22日大阪市西淀川区野里診療所で近畿水俣病検診をおこなった。50数名が受診し大半が四肢末梢優位の感覚障害を呈し水俣病と診断された。
近畿には水俣とその周辺地域で生活されメチル水銀で汚染された魚介類を多食され、その後近畿に転居された方がたくさんおれられる。これまでそれらの方を対象に検診をおこなってきた。今回の検診もその一環である。
受け入れキャパシティの問題で、今回の検診を受診できなかった方がまだ多くいる。9月2日に再度近畿水俣病検診を100名規模で行う予定だ。それでも9月の検診枠に入れない方もいる。
国は7月末に「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」(以下特措法)に基づく救済措置申請を打ち切ろうとしている。特措法は、救済及び解決の原則として、「第三条
この法律による救済及び水俣病問題の解決は、継続補償受給者等に対する補償が確実に行われること、救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済されること」と明記している。救済を受けるべき人々の全貌が明らかになっていないこの時点で、救済措置申請を打ち切ることは法の趣旨に反することになる。
以下、本日の検診受診者の事例を紹介する。
①
水俣病の診断を受けることのためらいは依然残っている。
60歳の男性。以前より視野狭窄、手足のしびれに気がついていたが、水俣病の診断をうけると解雇されるのではないかと不安に思い検診を受けてこなかった。今回あと2か月で定年退職になるので、もう大丈夫と考え検診を受診。
②
対象地域外のため水俣病の救済が受けらないできた
55歳女性。歩行失調。全身の感覚障害。視野狭窄があり典型的な水俣病の症状がそろう。頻回に転倒しこの数年で5回骨折されている。骨折も痛覚の低下のためすぐには気付かず、後で腫れに気がついて骨折がわかる。
ただ居住地が対象地域の隣接地で対象地域外と判断され、診断も法的救済も受けていない。
また特措法の救済対象年齢以下の方も受診されたが水俣病と診断できる所見があった。これは6月の水俣病大健診と同じだ。
「熊本県などで6月に実施された1400人規模の水俣病集団検診で、国の被害者救済策の対象年齢から外れる若年層41人の8割以上に、水俣病に特徴的な感覚障害が確認されたことがわかった。」(7月19日朝日新聞)
事実に真摯に向き合い「救済を受けるべき人々があたう限りすべて救済」されなければならない。7月末、特措法申請打ち切りは言語道断である。
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