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2012年7月1日日曜日

橋下徹氏主演による「計画停電回避のため原発再稼働」との大芝居はどのようにうたれたのか


原発再稼働反対の運動がますます広がりを見せている。再稼働めぐる攻防の中で、大きな役割を果たした大阪市長橋下氏の「豹変」を公開資料で検証してみる。

1、4月13日橋下氏記者会見


 「こんな再稼働は絶対許してはいけない。ストップをかけるには国民が民主党政権を倒すしかない。次の選挙の時に政権を代わってもらう」高らかに再稼働反対・脱原発を打ち上げる。


2、橋下氏の民主党前原誠司氏へのメッセージ



その裏で前原氏にメッセージを送っている。「再稼働が決まるまでの間、脱原発でやらせてもらう」(フライデー622日号)最終的には再稼働を容認するがそこまでは脱原発を主張するというものだ。その筋書きは政府も認知していた。
このメッセージの存在の真偽は確認されていない。



3、512日政府需給検証委員会

512日毎日新聞 「需給検証委:関電に4社融通拡大 5%節電で制限令回避へ
需給検証委員会が認定した電力9社の8月の需給見通し
 政府は12日、今夏の電力需要や供給能力を精査する『需給検証委員会』(委員長・石田勝之副内閣相)を開き、夏の電力需給予測の数値を確定。需給見通しの最も厳しい関西電力への電力融通を拡充するため、10年並みの猛暑でも余裕のある中部、中国、北陸、四国の西日本の4電力に10年夏比で5%程度の節電目標を設定する方向で検討に入った。
 仮に関電管内の電力不足を西日本の4社からの融通や強制力を伴わない節電で解消できれば、大飯原発3、4号機の再稼働をめぐる政府の判断基準の一つ「再稼働の必要性」に疑問符がつく可能性もある。」(512日毎日新聞)

 「この厳しい需給状況に対して、根付き始めた節電行動を定着加速させることで、この難局を乗り切らなければならない。このため、政府は、全国レベルでの節電と融通の最大活用、節電目標の設定と対策のとりまとめ、構造的な需給ギャップの解消策、そして、新たなピークカット対策の推進の4つの対策について、迅速かつ着実な実行に全力を挙げるべきである。そのための行動計画を作ることを要請する。」(需給検証委員会報告書5http://www.meti.go.jp/setsuden/pdf/120514/supply_120514_01c.pdf) 

需給検証員会の結論は全国的な節電と融通で乗り切ろうである。

橋下氏は5121315日ツィートしているが需給検証員会報告には何も触れていない。

4、515日関電と府市エネルギー戦略会議の話し合い

515 朝日新聞・橋下番
「電力需給で新たな動きがありました。関西電力は本日の大阪府市エネルギー戦略会議で、今夏に原発が再稼働しない前提で、供給力不足と節電の新対策を示しました。試算では445万キロワットの供給不足のうち、一連の対策で300万キロワットを改善できるとしています。関電は、政府の需給検証委員会で示した14.9%の電力不足という見込みは変えていません。しかし、大阪府市側が需給改善の上積み努力をした試算を示すよう求めたのに応じて、今回の試算値を出してきました。300万キロワット分が改善できるなら、不足分は5%程度に縮むことになります。」(ツイッター朝日新聞・橋下番 @asahi_hb

5%不足であれば他地域からの融通で電力不足は乗り越えられると言うところまで話は煮詰まっていた。

5、515日の夜 橋下氏と関電会長の非公開会談

関電と府市エネルギー戦力会議の話し合いがあった同じ515日橋下氏は関電会長と会談し自分から限定再稼働を提案している。
これについては618日付で朝日朝刊が報道し、橋下氏も同18日付のツイッターで弁明している。

515日橋下市長と松井知事は森関経連会長(関電会長)と会談
参加者は「関経連会長森氏、大阪商工会議所会頭佐藤氏、関西経済同友会代表幹事の大林氏、鳥居氏(当時は代表幹事就任予定)と、松井知事、僕。それぞれの事務局と一社大手製造業の社長。」関経連会長森氏は関電の会長でもある。
「その時は、政府の電力需給検証委員会の結果が既に出ており15%の不足が確定。これを補う具体案を出せるか色々考えていたところでした。」
「そして本当に電力が足りないのであれば、暫定的な安全判断であればその場しのぎで限定稼働と言うやり方もあるのではないかと提案しました。」(橋下氏ツイッター)

「電力不足」を口実に橋下氏が限定再稼働することを提案したのである。

橋下氏は518日と19日にツイートしているが、関電社長と話し合い橋下氏から「夏季限定再稼働」の提案をしたことに一言も触れていない。そして珍しいことに64日まで11日間ツイートをしていない。さすがの橋下氏も豹変をどう言いつくろったらいいか考えあぐねたのだろうか。

府市特別顧問の飯田哲也氏は「これ(限定再稼働)を聞いたとき、何でそういう話を持ち出したのか、私には到底理解不能でした。」「『まったく譲る必要はない』と言っていた矢先だったんです。」(飯田哲也 週刊朝日76日)と述べている。

6、515日非公開会談を知った朝日新聞記者は松井・橋下両氏のインタビューを16日ツィートしている

「橋下氏、松井知事は昨日夜、大阪市内で関西経済3団体の首脳(関西経済連合会の森詳介会長(関西電力会長)、大阪商工会議所の佐藤茂雄会頭、関西経済同友会の鳥井信吾代表幹事)と会談し、夏の節電や大飯原発の再稼働をめぐって意見交換しました。
松井氏によると、会談では官民一体で節電に取り組み、『経済への影響が大きい』として計画停電は回避する考えでは一致。森氏は『安定供給のために大飯再稼働が必要だ』と理解を求めたが、松井、橋下両氏は『野田政権の手続きの進め方では再稼働に府民の理解が得られない』と答えたそうです。」(516日朝日新聞・橋下番ツイッター@asahi_hb

朝日の記者に対してはこのときは、橋下氏が限定再稼働を提案したとは言っていない。

7、519日 関西広域連合の委員会で橋下市長、大飯原発の夏期限定稼働を提案

「関西広域連合の中で原発を推進したい意見があって、橋下さんたちが限定稼働の線まで押し戻した」(飯田哲也 週刊朝日76日)と言う話である。

事実は確認できていない。
 
8、522日 橋下市長・松井知事・古賀特別顧問・飯田特別顧問話し合い

松井氏「電気は足りるんだね」橋下氏「もう足りる足りないという話はモードとして終わったんでね」と言う(飯田哲也 週刊朝日76日)
 
この時点でも松井氏は再稼働なしになしで乗り切れると判断し、橋下氏は再稼働容認へ決意を固めていた。

9、64日橋下氏ツィート 再稼働容認は計画停電回避のため

「大阪市長として辛かったのが②電力需給のひっ迫性。」「そんな中で政府の電力需給検証委員会の15%不足の数字。これを埋めるためには相当な準備が必要で裏付けが必要。」「今回は大飯が再稼動して事故を起こすリスクと、計画停電になったときのリスクの天秤だ。」「関西の停電リスクは回避させてもらいたい。これで日本全国停電リスクは一応回避できる。」「(大飯再稼働で)日本全体において停電リスクは一応回避された。もう電気が足りないという主張は通らない。」「新しい規制庁ができ、新しい安全基準ができるまで大飯以外は動きません。これは政府が明言しました。」


10、橋下市長が弁明、停電リスク知り「おじけづいた…」

 大阪市の橋下徹市長は8日の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働反対から容認に転じた理由について、重病患者が生命の危機にさらされるなどの計画停電による被害想定を目の当たりにしたのが要因だったと明らかにした。「停電のリスクを一覧表で見たら、正直おじけづいてしまった」と述べた。(69日 スポニチ)


計画停電回避のために大飯再稼働を容認したと言っている。橋下氏は計画停電回避を再稼働容認の口実にしている。




11、619日 飯田哲也 特別顧問辞任


事実は自ら明らかだ。節電と他地域からの電力融通で電力不足は乗り切れるというところまで話は進んでいたのに、計画停電回避のため原発再稼働不可避との大芝居がうたれたのである。誰が台本を書いたのかも、次第に明らかになってくるだろう。

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