国会が解散した。毎日の報道を見ていると自民と民主と維新の争いが最大のトピックになっている。しかし政策的には三党はほとんど差がない。消費税増税、原発存続、社会保障給付切り下げ、オスプレイ黙認で一致している。しかし国民世論はそれと別のところにある。
世論調査は国民の意見を示している。消費税増税反対56%(共同通信8月調査)、原発ゼロ42%(共同通信8月調査)、社会保障の将来に不安92%(毎日新聞3月調査)、オスプレイ配備不支持58%(時事通信8月)である。
憲法第41条は、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と規定している。しかしこのままでは選挙がどんな結果になろうと国民世論とかい離した政府、国会になる可能性がある。議会の構成が国民世論を反映したものでなければ民主主義は形骸化する。
3党は改憲でも一致している。選挙がどのような結果になろうとも、選挙後に改憲が中心課題になる可能性が濃厚である。そのことにふれずに選挙は進んでいる。
少数意見を切り捨てる傾向の強い小選挙区制という選挙制度の限界がある。だからこそ国民が適切な投票行動をとれるように国民世論に沿った論点整理と各党の政見が適切に国民に提供されなければならない。そのためにはマスコミの役割が重要である。マスコミは主要三党が国民世論とは無関係に恣意的に展開するやり取りに焦点を絞って報道するのではなく、国民の関心のある消費税・原発・社会保障・オスプレイ・安全保障・憲法で三党を含めたすべての政党を対象にした議論を組織しどの政党が国民世論の立場に立っているのかをあきらかにしなければならない。
憲法第12条は「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない」と述べている。国民世論とかい離した政府・国会を嘆き選挙を傍観していてはならない。選挙に積極的に参加して大いに議論し、議会を国民世論が反映するものに変えていこう。