「社会保障と税の一体改革」の焦点に一つに生活保護問題がある。
昨年暮れに読売新聞は生活保護受給者が必要のない医療受けていると報道した。読売新聞と厚労省に問い合わせをして基になる資料を入手した。それに基づき読売の記事にコメントをつける。(黒字は記事の引用、赤字は筆者のコメント)
医療費が全額公費負担される生活保護受給者の2009年度の受診状況を厚生労働省が調査したところ、2日に1回以上の高頻度で3か月以上続けて通院した「頻回通院者」が、全国で1万8217人に上ることがわかった。
医療扶助受給者は外来1.122.245人 「頻回通院者」は受給者の1.6% これが多いといえるのか 一般医療の「頻回通院者」は何%か示すべきだ
医療扶助受診者が一般医療受診者より「頻回通院者」が多いといえるのか
うち3874人については、自治体が症状などに照らして「過剰受診」と判断。
「過剰受診者」は医療扶助受給者0.35% これが多いと言えるのか
通院頻度を抑えるよう受給者を指導したが、改善はその約3割の1279人にとどまっていた。
膨張する生活保護費の半分を医療扶助が占める中、こうした実態が明らかになるのは初めて。
被保護実人員平成19年度1,543,321人 内医療扶助人員数1,248,145人 医療扶助率80.9%だ。生活保護に占める医療扶助費の占める割合49.3% 医療扶助の割合が高い。これが即、悪いと言えるのか。疾病の治療のために生活保護受給になった結果ではないのか。
厚労省の統計によると、外来患者1人にかかる医療費は1日平均約7500円で、この額をもとに推計すると、過剰受診の受給者の医療費は3か月分で13億円以上に上る計算となる。
これは7500円×「過剰受診者」数3874人×46日で計算している。「過剰受診者」の一日当たりの医療費が一般の平均と同じだとなぜ言えるのか、それは医療従事者の常識から考えて相当低いと推定される。
この推計は成り立たない過剰受診者の医療費実総額を出すべきである。
同省によると、一般外来患者の月平均通院日数は約1日で、65歳以上の高齢者でも3日程度。
医療扶助受給者の月平均通院回数は何日か、65歳以上の医療扶助受給者は何日かを示すべき
一方、受給者1人当たりの通院医療費は、高齢者を含む一般患者の1・3倍に上る。
一般患者の通院医療費はいくらか 一般患者の高齢者のみの医療費はいくらか
受給者の通院医療費はいくらか 受給者の高齢者のみの医療費はいくらか
同省は過剰診療抑制のため、同じ傷病名で同一診療科(歯科を除く)を月15日以上、3か月以上連続で受診した人について09年度分の診療報酬明細書(レセプト)の分析を各自治体に依頼、データを集計した。
その結果、腰痛や関節炎、循環器系の疾患などで整形外科や内科の診療所に通院した受給者に、こうしたケースが多いことが判明。自治体はさらに、嘱託医に依頼して該当受給者の傷病や診療内容などを点検し、全体の約2割を「過剰」と判定、改善指導の対象とした。
頻回受診者の約2割のみが「過剰」という判断
頻回受診者の8割は適正と判断されたということではないか
都道府県別では大阪府が最多で、以下、東京都、福岡県などが続く。
ただ、この判定は医療機関が提出した書面の審査だけで断定できた場合に限られ、ほかにも必要性が薄い診療が行われている可能性がある。
これが読売の記者の基本の問題意識なのだろう。今後、新聞記者らしく事実を集めて正確な記事を書いてほしい。厚労省にも新たな資料の提供を要請する。
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