「大阪市の橋下徹市長は8日の記者会見で、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)の再稼働反対から容認に転じた理由について、重病患者が生命の危機にさらされるなどの計画停電による被害想定を目の当たりにしたのが要因だったと明らかにした。『停電のリスクを一覧表で見たら、正直おじけづいてしまった』と述べた」(6月9日スポニチhttp://www.sponichi.co.jp/society/news/2012/06/09/kiji/K20120609003426710.html?feature=related )
橋下氏は「停電のリスク」のどんなデータを見せられたのだろうか。公表されている資料は関西電力による「今夏の需給見通しと節電のお願いについて」(平成24年5月19日http://www.kepco.co.jp/pressre/2012/pdf/0519_1j_01.pdf )である。この資料を提示されたのであろう。
関西電力の資料によると
10年夏のピーク使用量は3,095万kW、11年夏のピーク使用量は2,784万kWであった。そして10年並みの猛暑があれば12年夏のピーク使用量は2,987万KW(10年比96.5% 11年度比107%)と予想している。
15%の不足と電力不足と節電が必要と宣伝しながら10年比3.5%しか節電できない、昨年よりは7%電力使用量がふえると想定している。
いかに猛暑がこようと昨年より7%も電力を多く使う想定は妥当ではない。
そしてその電力必要量を前提にして、昨年夏の最大供給量は2,947万kWであったが今年の夏の最大供給量は2,542万kWしかないと推定している。減少分は停止している原子力発電と▲337万kW と揚水発電の減少▲225万kWだそうだ。
原子力発電の減少分は全原発が停止していることが前提で理解できる。一方揚水発電の減少分は、揚水発電の必要運転時間の増加と電力確保困難によるくみ上げ量不足によるとしている。すなわちピーク時の必要電力量を減少させ夜間早朝の電力を確保できれば、揚水発電がフル稼働し、あと225万kW増やすことができる。今年の夏は2,542+225=2,767kW確保できることになる。
夏の電力使用量を過大に設定することで、揚水発電の必要運転時間の増加とくみ上げ量不足をつくりだしている。ここが関電の電力不足の宣伝の肝であり、トリックである。
このトリックに電力問題のブレーンを多く抱える橋下氏が、気がつかないはずはない。騙されたふりをして原発再稼働を容認し「限定稼働」などという、現実の政治の世界ではありえない言いわけをしている。
昨年比5%程度の節電が実行されればピーク使用量は2,644kWとなる、予測より最大で2987―2644=343kWの節電が実現し、それ揚水発電フル稼働のために電力をまわすことができる。
今政府、自治体と電力会社がするべきことは、原発再稼働なしに電力を確保するために全力を挙げるとともに、市民・企業に節電の協力を訴えることである。電力弱者を犠牲にする計画停電はしないことは当然の前提だ。そのポイントは揚水発電のフル稼働だ。節電が発電につながる、揚水発電のフル稼働は誰にもわかりやすい目標である。
政府自治体は必要な節電の手立てを打っていない。揚水発電をフル稼働させるためにどれだけ節電をする必要があるかを提示する必要がある。揚水発電の貯水状況がリアルタイムに提示されれば節電は大幅にすすむ。また政府は節電効果の高い自動販売機やテレビの休止や、LEDの普及、そして24時間営業操業の制限など具体的節電策の決定を行うべきである。揚水発電フル稼働と電気の最大使用量2,500kW(昨年比90%)がわかりやすい目標と考える。その目標を共有して奮闘したい。
本日6月16日大飯原発の再稼働が開始されたが、その必要がなかったことを事実で証明したい。
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