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2011年5月10日火曜日

放射線と健康

福島第一原子力発電所の事故は健康への不安を抱かせました。
 今回再認識したのは、原子力発電所は災害で緊急停止しても発熱が続くため冷却し続けなければ大事故が起こるという事実です。ブレーキをかけても急には止まれない欠陥自動車のような装置だということがよくわかりました。このような未完成の装置を災害の多い日本で稼働させるのは非常に危険です。原発に頼らないエネルギー政策について国民的合意を作る必要があります。
 健康問題を考えるときに一番大切なのは被爆量です。それを計る単位がシーベルトです。小さな量を表すために。1シーベルトが1000ミリシーベルト、1ミリシーベルトが1000マイクロシーベルトです。
 放射線の人体影響については広島長崎の被爆調査や世界各地の核実験場調査、原発事故調査でいろいろなことが分かってきていますが、まだ結論が出ていないことがあります。
 広島・長崎の原爆投下はシーベルト単位の被爆をおこしました。爆心地で250シーベルト、爆心地から500メートルで60シーベルトと推定されています。7シーベルト以上の被爆で全員が死亡、4シーベルト以上で50%が死亡、1シーベルト以上で急性の放射線障害と後障害がでます。原爆により一瞬でこれだけの過酷な被爆をさせられたのです。広島と長崎を合わせて21万人が死亡しています。
 今回の原発事故はシーベルトの100万分の1のマイクロシーベルトの単位の被爆です。新聞にでている環境中の放射線量の測定値は1時間当たりの放射線量が記載されています。このレベルの被爆では、その放射線に暴露された時間をかけた積算値が問題になります。
 100ミリシーベルト被ばくでがん死の確率が0.5%増えます。100ミリシーベルト以上被ばくでは、線量が高いほど、がん発症率が直線的に増えます。積算100ミリシーベルト以下では癌の増加は認められていないと言う意見と増加するという意見があります。
 環境の放射線測定だけではつかめないのが放射性物質を含む水、食品やちりが口や鼻を通じて体内に入った時の低線量内部被爆の問題です。チェルノブイリの事故では子供の甲状腺癌が増加しました。アメリカでは通常運転している原発周辺で乳がん死が増加しているとの報告があります。その他の癌や疾患へ影響については結論がでていません。
 これ以上被爆を広げないこと、そして被爆をされた方の今後の健康管理が大切です。

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