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2011年11月2日水曜日

今年はどんぐりの不作の年 これがクマ騒ぎの原因


今年はどんぐりが不作のようだ。正確に言えばコナラ(コナラ属)のどんぐりがほとんど見られない。しかしアベマキ(コナラ属)やクヌギ(コナラ属)には例年どおりどんぐりがある。コナラのどんぐりの不作は堺だけでなく河内長野でも同じだ。一本の木や一つの森だけではなく大阪南部全体が不作である。

こんな話を友人から聞いた。ちょうどその頃北海道で人里に熊が出没するとのニュースがマスコミを賑わせていた。きっとこれはどんぐりの不作と関係があると思った。そこでメールで北大の植物園に問い合わせてみた。

北大植物園からは「北海道でも、今年はドングリなどの山の果実が凶作となっているようで、ヒグマ の出没のニュースが毎日のようにされています。不作なのは全国的なもののよう ですね。本園でもドングリの類は不作となっています。」との返事が来た。大阪だけではなく北海道でも不作のようだ。

盛口満「どんぐりの謎」(ちくま文庫)によると、
 コナラには、”成り年”があるのである
コナラの成り年には、近くの雑木林は足の踏み場もないほどドングリで敷きつめられ、学校の冷蔵庫もどんぐりで一杯になる。でも不作年になると、どんぐりはまったくといっていいほど落ちていない。
ミズナラでも豊作・不作がある
(マテバシイは)毎年、安定した供給をもたらしてくれていた。
成り年は地域ごとにいっせいに起こる現象なのだ

おなじどんぐりでもコナラ・ミズナラには豊作・不作があり、マテバシイにはないようだ。成り年は地域ごとに起こるようだ。ことしは少なくとも大阪南部と北海道で同時に起こっている。日本全国で同時におこっているのかもしれない。

どういうメカニズムで豊作・不作がおこるのか不明である。盛口は木の休息による体力回復説、どんぐりを減らすことによりどんぐりを食害する動物たちの個体数を減らす時間的逃避説を紹介している。

北海道環境科学研究センター 主任研究員 間野 勉は「ヒグマ捕獲数の増加を読み解く」 http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/skn/grp/02/higuma_esa.pdf で次のように書いている。
北米のアメリカクロクマでは,クマの主要な秋の食物であるブナやナラ類の堅果の豊凶が,クマが人里に出没して人間と軋轢を起こす頻度に影響することが知られています.北海道でも,例えば渡島半島地域では,ブナ,ミズナラ堅果が少ない年に秋季のヒグマ捕獲数が多くなることが,道立林業試験場と環境科学研究センターの共同研究によって明らかになっており(今ほか,2005),堅果の豊凶が秋季の人里へのヒグマの出没頻度に影響していると考えられます

 今年はどんぐりの不作の年これが北海道のクマ騒ぎに関係しているのは間違いない。クマの射殺という残念な結果になっている。どんぐりの不作の原因の解明と適切なクマの食料の確保対策が必要だ。
  

クヌギのどんぐりはある

コナラにはどんぐりがみつからない

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