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2011年11月11日金曜日

「実行力のある橋下さんの方がましだ」と思う君へ


毎日の仕事ごくろうさん。大阪知事・市長選挙が始まっているね。おじさんはこの選挙は大阪だけでなく日本の未来を左右する選挙だと思います。ぜひ自分の頭でよく考えて投票してほしいと思います。君のお母さんに聞いたのですが、君は「橋下さんの方がわかりやすいし、実行力がある。橋下さんの方がましだ。」と考えているようですね。選挙は自分の判断で参加するものですから、だれを支持しても構わないのですが。もう一度よく考えて選択してほしいと思います。

橋下さんは「今までの日本の体制で利益を受け、このままずっと今のやり方でやりたいという勢力との戦いだ」と演説しました。なるほどわかりやすいですね。大阪のほとんどの人は「今までの日本の体制で利益」を受けていません。だから何とかいい方向に変わってほしいと思っています。でも橋下さんは、サラ金の御用弁護士として弱い者いじめをして数億円の年収を稼いでいた弁護士です。「今までの日本の体制で利益」を得ていた一人です。橋下さんは「どうして君は友だちがいないのか」(河出書房新社)でドラえもんにでてくるスネ夫のように強い者の下でずるがしこく生きることをすすめています。強者のパシリになれというものです。つらい目にあってきた人を救いたいとは思っていません。自分は今までやり方以上にもっとうまくやって利益を得たいと考えているのです。
そして一番問題なのは「今のやり方」を変えてどんなやりかたで、そして何をするかが問題です。いったん選挙で選ばれた首長は独裁的な権限で政策を実行できるようにしようというのです。府の権限に及ばない大阪市はつぶしてしまえ。議員数も減らしていろんな意見を持つ議員が選ばれる可能性を狭めてしまえ、政治から独立した制度になっている教育委員会も解体してしまえというのです。そして強い権限で高速道路の建設・関空へのリニア鉄道を引きたい。カジノも誘致したいと金利上限規制のないサラ金特区をつくりたいというのです。これはこれまでやってきた大型公共事業の継続です。そんなことをすれば、またまた赤字をだし大阪府・市の財政が破たんすることは明らかです。また現行法の縛りを突破しなければ実行することはできません。一時期かれは紳介のパシリでした。今は誰のパシリなのでしょうか。大型公共事業を期待する関西財界か、サラ金特区を期待する貸金業界か、カジノ建設を望む暴力団か、教育の政治支配をめざす右翼勢力か。

 橋下さんの「実行力」はどれほどのものでしょう。実行力を計るには、前に公約したことがどれだけ実現できているかをみればよくわかります。07年の知事選挙で橋下さんがどんな公約をしたか覚えていますか。
こんなものでした。「『おおさか』を笑顔にするプラン 子どもが笑う、大人も笑う大阪に」です。
 なんか笑ってしまいますね。この4年で大阪の笑顔が増えたとはだれも思いません。口のうまい橋下さんでも笑顔が増えたと強弁するのはなかなか難しいでしよう。17の重点事業を公約にあげていました。大阪府の採点でも「出産・子育てアドバイサー制度」「妊婦一般健康診査の受診回数を拡大する」「乳幼児医療助成を拡充」「駅前・駅中に保育施設を整備」「子どものいる若い夫婦への家賃補助制度を創設」に具体的取り組みを実施していないと×がついています。たいした「実行力」です。これでは大阪に笑顔が増えるわけはありません。人を攻撃するのは上手いですが、自分のしたことには反省の言葉は出てきません。
 橋下さんは高校の授業料を無償化したと評価する人がいます。それは誤解です。知事就任当初、逆に私学への助成を削減しようとしていたのです。0710月知事が高校生と私学への助成金削減プランをめぐり意見交換会を行いました。その場で知事はこういってのけました。「今の世の中は、自己責任がまず原則ですよ。誰も救ってくれない」「皆さんが完全に保護されるのは義務教育まで。高校になったらもう、そこから壁が始まってくる。それが世の中の仕組み。」「それはじゃあ、国を変えるか、この自己責任を求められる日本から出るしかない」です。しかし10年より大阪府の高校授業料無償化が実現しました。それは府民の要求運動が実現したものです。知事は仕方なく同意しただけです。弱肉強食の競争論理は君が一番嫌う考え方でしょう。
 橋下さんは3年間大阪府を黒字にしたといっています。しかし実際は府の借金は年々増えています。どうしてそうなるのでしょう。それは臨時歳入財政対策費という借金を収入に計上しているから見かけ上黒字になっているのです。粉飾決算の一種と言えます。少なくとも黒字を出したと自慢できるものではありません。まるで今話題になっているオリンパスみたいです。
一方選挙では公約もしてない、大阪都構想・WTCへの大阪府庁移転・教育基本条例には血道をあげました。その結果WTC府庁移転では防災対策の不備のため、200億を超える大きな損失を出しています。これが相手候補のしたことなら橋下さんはどれだけ口汚くののしることでしょう。
好きな人に告白ができない実行力のない人は嫌です。でも望まないことをしつこく続けるストーカーのような「実行力」のある人はもっと嫌です。
私たちに笑顔を取り戻すには、破たんがあきらかな大型公共事業ではなく、医療・福祉・教育に重点的に税をまわし府民の生活を底支えすることです。それにより雇用も増えます。今までと違う大阪・日本をつくりたいです。ワンフレーズに幻惑されず、よく調べてよく考えて投票してください。


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