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2012年10月14日日曜日

アフガンに実る“奇跡の小麦”プロジェクトにノーベル平和賞を


20121013日放送のNHK総合テレビ海外ネットーワーク「半世紀を超えて“奇跡の小麦”物語」を観て感動した。アフガニスタンは長引く戦火のため農業が壊滅状態になっている。もともと小麦の原産地で豊かな農業生産が行われていた土地だ。国の復興のために、農業の再生が必要だ。アメリカなどの外来種を持ち込んで小麦生産をおこなおうとしたが、乾燥した風土に合わずうまくいかない。そこで横浜市大木原生物学研究所が1955年から保存しているアフガンの小麦在来種150種近くを、アフガンで育成・品種改良するプロジェクトが201111月から開始された。その結果2012年見事に実をつけたと報道された。日本がなしとげた誇らしい国際貢献である。

故木原等博士が1955年カラコルム・ヒンズークシ学術探検をおこなった。その際パキスタン・アフガニスタン・イラン地で小麦在来種を採集した。それが横浜市大に保存されていた。地味な学術研究が57年経った今大きな成果を上げた。

学術研究を目先の利益にとらわれず進めていくことの重要性が痛感された。また小麦在来種の保存が食品巨大企業ではなく、公的研究機関で行われていたことをうれしく思う。もしアフガンの小麦在来種の種子と遺伝情報を食品巨大企業が独占的に持っていたとしたら、アフガンの復興は更なる困難を迎えたと思う。公的また非営利の研究機関が学術研究を大いに進められる状況をつくらなければならない。


ノーベル平和賞はオバマ大統領が受賞し、今年はEUが受賞した。この受賞は世界中がこぞって称賛できるものではない。アフガンに実る“奇跡の小麦”プロジェクトこそがノーベル平和賞にふさわしいと思う。

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