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2011年6月18日土曜日

原発事故の健康リスク

アメリカの医学雑誌NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICIEN 6月16日号は原発事故の短期的・長期的健康リスクと題する総説を掲載しました。http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1103676
以下 その一部を紹介します。

増加した長期の発がんのリスク
チェルノブイリ地域では、500万人以上が被ばくした。それは主には、I131とセシウム同位元素の汚染による。原子炉からの降下物に暴露されても急性疾患は起こらなかったが、長期の発がんリスクを上げるだろう(may)。日本の原爆被爆者の研究では比較的低い線量に暴露されても白血病と固形がんの発症は明確に増加した。しかし、原爆被爆と原発事故に伴う被ばくでは被ばくのタイプも線量も重要な違いがある。その違いが、チェルノブイリ地域の白血病と甲状腺がん以外の固形がんの研究で明確なリスクの増加を示さなかったことを説明している。あるいは、がん登録を改善しそして長期のフォローアップをすると白血病と甲状腺がん以外の固形がんの増加がよりあきらかになるだろう(may)
スリーマイル島では事故後の数年は一時的ながんの診断の増加があった。しかし、それはその地域でのがんのスクリーニングの強化の結果であったのであろう。長期のフォローアップではがんの死亡率の増加はない。

甲状腺癌の増加は明らか
しかし、I131 を摂取した小児の二次的甲状腺がんの増加の強い証拠がある。チェルノブイリ原発の近くに住んでいた小児の慎重な研究は甲状腺の被ばく線量1グレイごとに2から5倍に甲状腺がんのリスクが増えることを示している。相対リスクの増加は大きいが、小児の甲状腺がんのベースライン相対リスクは低い(10万人で1例未満)。I131発がん作用を増加させる要因としては暴露時の年齢が低いこととヨード欠乏の状態がある。ヨードが不足している地域の小児は、ヨード摂取が正常の地域の子供の1グレイあたりの甲状腺がんのリスクは2から3倍である。さらに、チェルノブイリ事故後安定ヨードを投与された小児は、されなかった小児の3分の1の甲状腺がんのリスクである。胎児や成人の甲状腺被ばくの影響はまだ結論が出ていない。I131が放出される事故の場合、影響のある地域の人は地域の生育した生産物や水を摂取することは最小限にするべきである。しかし、I131の半減期はわずか8日であるので、地域の生産物は2から3か月後はI131を含んでいない。

ヨード剤の摂取について
公衆衛生担当者の勧告によって、I131が甲状腺に集まるのをブロックするためにその地域の住民はヨードカリを摂取するでしょう。最も効果的には、I131に暴露する前か数時間以内に摂取するべきです。新たな被ばくや被ばくが継続することが予想されなければ、暴露してから一日以上経つとヨードの摂取の効果は限定的です。ヨードカリは毒性作用を持っているが、チェルノブイリ後のポーランドの集団投与の経験は安心を与えるものです。ポーランドでは1千万人の小児・成人がヨードカリを投与されたが副作用で病気になったものは非常に限定的であった。FDAは年齢と予想される被ばくに応じた投与のガイドラインを出している。

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