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2012年1月29日日曜日

ツイッターからわかる橋下徹大阪市長の「脱原発依存」


原発再稼働問題が当面の緊急課題になっている。脱原発を実現するために、他の課題での意見の違いを乗り越えて脱原発の一点で力を合わせる時だと考えます。

その時マスコミの寵児となっている橋下知事が脱原発の市民投票をすすめる運動に対して反対の意向をしめし、自分が「今、脱原発依存に向けてのプランを練っており、関電への株主提案もするつもりです。」(126日橋下徹氏ツイッター)と述べました。

原発をゼロにしようとする脱原発と橋下氏の脱原発依存はどこが違うのか橋下徹氏のツイッターから考えてみます。

1、橋下氏は原発をどうしようと考えているのか
「原発依存度を下げるために進んで行くのか、できれば原発は0にしていくのか、それとも原発を日本の重要な電力供給源として推進していくのか、方向性は2つに一つ。」(715日)もちろん脱原発依存の橋下氏は「できれば原発は0にしていく」立場です。ここに「できれば」がついていることに注意が必要です。脱原発は「原発を0」にすることで、脱原発依存は「できれば原発0」にすることです。

2、橋下氏は脱原発をどうみているか
「反原発と脱原発が違うことは皆承知。反原発の株主提案に反対する」(6月29日)原発停止の株主提案がでれば反対すると明言しています。「原発反対というのも負担を被らず主張するだけの運動だった。」(625日)と決めつけています。脱原発の運動と省エネルギー・自然エネルギーへの転換の運動が結びついて進んでいることを無視しています。

3、橋下氏は再生可能エネルギーへの転換をどう考えているか
「短期的には太陽光でピーク時のエアコン電力を賄う方策。電力は足りている状況にした上で中長期的な電力供給源の構成を考える。火力はガスコンバイン(ガス+蒸気)、石炭ガスなど新型が有望。風力・太陽光などは、蓄電を間に入れて安定性供給源に格上げ。バイオマスはさらなるイノベーションを。このような新たな第一歩に挑戦しながら、原発と火力・再生エネルギーの電力供給源比率を考えれば良い。」(629日)原子力以外のエネルギーへの転換を主張しています。火力の役割を重視しています。

4、橋下氏は省電力をどう進めるか
「ピークカットをやるのに産業の節電は不要。今夏のピークは、家庭とオフィスの省エアコンで乗り切れる」「産業用は一切節電せずとも、いざと言う時にエアコンさえ切れば良い。」(621日)
産業界での省電力については消極的で家庭での省電力を強調しています。

5、橋下氏は具体的には原発をどうしていくのか
「できれば原発は0にしていく」(716日)は先に引用しました。「4月下旬、大阪で新規原発の停止、老朽原発の延長停止を目指していきましょうと発表しました。」(615日)「今夏のピークカットに成功すれば、現在停止中の原発を全て再稼働しなくても良いことになる。」(629日)「現在停止中の原発のいくつかは停止(ママ)に追い込む。」(629日)
すなわち「新規原発の停止、老朽原発の延長停止」「現在停止中の原発を全て」は再稼働の必要がない、言い換えると老朽化していない原発の稼働容認との立場です。原発の新規建設を認めず、老朽原発の廃止をすすめればいつかは0になるのでしょう。しかし期日が明確ではありません。

橋下徹氏の脱原発依存は「できれば原発を0にする、当面の間非老朽化原発の稼働は容認すると」の立場です。橋下氏が言うように「昨年のダブル選挙で大阪府民・大阪市民は脱原発依存の方向で進める意思を表示」(126日)しました。しかし大阪府市民は「脱原発」と「脱原発依存」の違いを理解できずに「脱原発の橋下」として支持しています。

政府は原発再稼働をすすめようとしています。脱原発へ国民の意思を明確にする時です。橋下市長は民意を尊重して、過去の主張を発展させ原発再稼働反対・期日を明確にした原発0へ政策を転換する時です。関電の株主総会ではその立場での提案をするべきです。そうしなければ選挙で支持した府市民から見放される時が必ず来ます。

2012年1月28日土曜日

橋下大阪市長への原発に関する質問


橋下市長はツイッターで次のように書いています。

t_ishin
「昨年のダブル選挙で大阪府民・大阪市民は脱原発依存の方向で進める意思を表示したと市長である僕は感じています。松井知事も同じです。ゆえに今、脱原発依存に向けてのプランを練っており、関電への株主提案もするつもりです。」

私は橋下市長とは考えと行動を異にしています。しかし原発をなくすという点で本当に一致するのであればそれは歓迎です。

以下の点を答えてください。

1、 脱原発と脱原発依存はどう違うのですか
2、原発再稼働についてはどう考えますか
3、日本が原発を輸出することについてはどう考えますか

関電株主総会まで待てと言わずに答えてください。

2012年1月27日金曜日

毎日の「電力予測」を見ていると脱原発への希望が湧いてきます


寒い日が続いています。脱原発・「電力不足」対策にむけて様々な節電が行われています。冬の電力不足を心配していましたが、需要・供給比が90%以下で推移しており2月に高浜3号機が停止し原発からの電力供給がゼロになってもこの冬を停電なしで越せるようです。

昨年関電は10%の節電を要請しました。 
 「関電によると、年内は最大想定需要を上回る供給力を確保できる見通し。だが、来年1月は2665万キロワットの想定需要に対し、供給力は2522万キロワットにとどまり、5・4%不足する見込み。2月には高浜3号機も検査に入り、供給力は2451万キロワットに減り、需要を8・0%下回るとみている。」
(関電、稼働1基に 電力需給、綱渡り 大飯原発2号機、定期検査で停止

非常に寒かった1月26日を見てみると需要電力2448万kW、電力供給力2769万kwでした。需要が予測より217万kw少なく、供給が予測より247万kw多くなりました。需要下方へのずれは節電努力の成果でしょうか。8%の節電です。原発2基分以上の節電ができたことになります。

供給の上方へのずれはなんでしょうか。たかが数か月先の予測で10%のずれがでるのは理解できません。関西電力が説明するべきでしょう。

126日の供給力と需要との差は321万kwです。大飯原発2号機の発電量は87万kwですから。2月にそれが停止しても余裕があります。

関電の電力供給力には再生可能エネルギーはゼロとカウントされています。これが実態を反映しているとすると、関西電力は原発に極度に依存し再生可能エネルギーの開発をサボタージュしてきたことがはっきりわかります。脱原発・再生可能エネルギーに転換させなければなりません。

2012年1月22日日曜日

12月31日付読売新聞の「生活保護受給者の「頻繁通院」 全国で1万8217人…厚労省調査」記事は正確か


「社会保障と税の一体改革」の焦点に一つに生活保護問題がある。
 昨年暮れに読売新聞は生活保護受給者が必要のない医療受けていると報道した。読売新聞と厚労省に問い合わせをして基になる資料を入手した。それに基づき読売の記事にコメントをつける。(黒字は記事の引用、赤字は筆者のコメント)

 医療費が全額公費負担される生活保護受給者の2009年度の受診状況を厚生労働省が調査したところ、2日に1回以上の高頻度で3か月以上続けて通院した「頻回通院者」が、全国で1万8217人に上ることがわかった。
 医療扶助受給者は外来1.122.245人 「頻回通院者」は受給者の1.6% これが多いといえるのか 一般医療の「頻回通院者」は何%か示すべきだ
 医療扶助受診者が一般医療受診者より「頻回通院者」が多いといえるのか

うち3874人については、自治体が症状などに照らして「過剰受診」と判断。
「過剰受診者」は医療扶助受給者0.35% これが多いと言えるのか

通院頻度を抑えるよう受給者を指導したが、改善はその約3割の1279人にとどまっていた。

 膨張する生活保護費の半分を医療扶助が占める中、こうした実態が明らかになるのは初めて。
 被保護実人員平成19年度1,543,321人 内医療扶助人員数1,248,145人 医療扶助率80.9%だ。生活保護に占める医療扶助費の占める割合49.3% 医療扶助の割合が高い。これが即、悪いと言えるのか。疾病の治療のために生活保護受給になった結果ではないのか。

厚労省の統計によると、外来患者1人にかかる医療費は1日平均約7500円で、この額をもとに推計すると、過剰受診の受給者の医療費は3か月分で13億円以上に上る計算となる。 
これは7500円×「過剰受診者」数3874人×46日で計算している。「過剰受診者」の一日当たりの医療費が一般の平均と同じだとなぜ言えるのか、それは医療従事者の常識から考えて相当低いと推定される。
この推計は成り立たない過剰受診者の医療費実総額を出すべきである。

 同省によると、一般外来患者の月平均通院日数は約1日で、65歳以上の高齢者でも3日程度。 
医療扶助受給者の月平均通院回数は何日か、65歳以上の医療扶助受給者は何日かを示すべき

一方、受給者1人当たりの通院医療費は、高齢者を含む一般患者の1・3倍に上る。
 一般患者の通院医療費はいくらか  一般患者の高齢者のみの医療費はいくらか
 受給者の通院医療費はいくらか   受給者の高齢者のみの医療費はいくらか

同省は過剰診療抑制のため、同じ傷病名で同一診療科(歯科を除く)を月15日以上、3か月以上連続で受診した人について09年度分の診療報酬明細書(レセプト)の分析を各自治体に依頼、データを集計した。

 その結果、腰痛や関節炎、循環器系の疾患などで整形外科や内科の診療所に通院した受給者に、こうしたケースが多いことが判明。自治体はさらに、嘱託医に依頼して該当受給者の傷病や診療内容などを点検し、全体の約2割を「過剰」と判定、改善指導の対象とした。 
頻回受診者の約2割のみが「過剰」という判断
頻回受診者の8割は適正と判断されたということではないか

 都道府県別では大阪府が最多で、以下、東京都、福岡県などが続く。
 ただ、この判定は医療機関が提出した書面の審査だけで断定できた場合に限られ、ほかにも必要性が薄い診療が行われている可能性がある。
これが読売の記者の基本の問題意識なのだろう。今後、新聞記者らしく事実を集めて正確な記事を書いてほしい。厚労省にも新たな資料の提供を要請する。

2012年1月21日土曜日

マスコミは橋下徹氏がWTCビル購入違法で住民から訴訟された事実をなぜ報道しないのか


2012113()付赤旗は
「橋下氏は96億円返せ 住民訴訟 WTCビル購入違法  大阪府が庁舎として使うためにワールドトレードセンタービル(WTC、大阪市住之江区)を耐震性や災害拠点としての有用性を十分調査せず購入し、庁舎を一部移転したのは違法だとして、府民82人が12日、松井一郎府知事を相手取り、購入当時の橋下徹知事(現大阪市長)に、ビル購入費や一部移転費用96億3千万円を返還請求するよう求める住民訴訟を大阪地裁に起こしました。 訴えたのは『おおさか市民ネットワーク』代表の藤永のぶよさん(71)やフリージャーナリストの西谷文和さん(51)など」と報道している。

これはブラックジョークだが、平松前大阪市長の最大の功績はお荷物のWTCを橋下前大阪府知事に売りつけたことである。橋下新大阪市長のするべきことは大阪府に謝罪してWTCを買い戻すことだ。府市の二重行政解消を言うならまず府庁と市役所を統合して大阪市役所に一本化すればいい。WTCはムダ使いの象徴として世界歴史遺産に登録申請するべきだ。


私は藤永氏・西谷氏らの行動を支持する。

赤旗以外のマスコミがどのように報道しているか、グーグルで検索すると毎日新聞と毎日テレビの報道が見つかった。それ以外の会社の記事は見つからない。デジタル朝日の検索機能をつかって検索したが、朝日のこの件に関する報道は見つからなかった。NHKオンラインでニュース検索しても出てこない。

毎日のように垂れ流される橋下報道だがこの件についても少なくともネット検索で見つかぐらいには報道してほしい。

橋下知事は彼に対する批判的言動に対して文化大革命時代の紅衛兵のような批判を繰り返している。マスコミ各社は橋下氏を恐れず迎合せず、彼にツイッターで攻撃されることをマスコミとしての勲章と考えて報道してほしい。

2012年1月20日金曜日

橋下徹大阪市長が「脱原発」を主張しているかのような誤解は払拭しよう


政府が原発再稼働を強行しようとしている。そんな時、関西電力の9%の株を所有する大阪市長の橋下徹氏が「脱原発」の立場をとっているとして彼の行動に期待する向きがある。しかし橋下氏は「脱原発」と主張したことは一度もなく、「原発依存を下げる」と主張する原発存続の立場をとっていることは明らかである。

大阪維新の会の大阪市長選挙マニフェストはこう書いている。

4. エネルギー供給体制を変える関電株主権行使
原発依存度を下げることを目標に、発送電分離などで新規事業参入を促し、真に強い電力供給体制を作り直します。電力会社などが独占している権限を見直し、現在の電力供給体制を、住民視点から再構築します。」
「7.エネルギー政策編
(1) 原発依存度を下げることを目指し、発送電分離の推進で新規参入を促し、競争によって電力の供給体制を確立し、市民生活の安定と産業の保護・さらには新産業の誘致・育成のための基盤づくりを目指して、関西電力株式会社の株主提案権を行使します。」

「脱原発」とはどこにも書いていない。「原発依存度を下げる」「発送電分離」と書いているだけだ。

市長就任の記者会見でも「脱原発依存を掲げているが、関西電力に何を求めるか」の質問に対し 「競争が僕の政治哲学の一つ。電力供給態勢に競争性を導入すべきだ。そのためには事業参入を自由に認め、競わせる態勢を作らないといけない。市の株主提案権を使い、関電とタッグを組んで今の電力供給態勢を変えたい。」と答えている。

彼が関心のあるのは「電力供給態勢」を変えることだけだ。

関電株主総会で橋下市長が「脱原発」の提案をするなんて夢想は持ってはいけない。逆に橋下氏は一般株主が提案する「脱原発」の提案には必ず反対する。橋下市長のブレーンである堺屋太一氏は原発存続を公然と主張している。

これで橋下市長が、市民グループ「みんなで決めよう『原発』国民投票」が、原発の是非を問う住民投票条例制定の直接請求に必要な署名を集めたと発表したことについて、「(投票の費用が)5億円ぐらいかかる。(原発の)是か非かだけで5億かけてやる価値は僕はないと思っている」と述べ、住民投票の実施に否定的な態度を示したことが理解できる。

どうして橋下市長が「脱原発」の立場をとっているかのイメージがつくられたのか。選挙当時、マスコミよって橋下氏が「脱原発」を主張しているかのような報道をしたことが誤解を誘導したのだろう。この間の事実を検証する必要がある。少なくとも今後は橋下氏が「脱原発」を主張しているかのような印象を与える報道は一切やめるべきである。

2012年1月19日木曜日

感動!ナターシャ・グジーの「防人の歌」を聞いた



私の勤務する医療法人の新年集会でナターシャ・グジーさんのコンサートがあった。月並みな表現だが「その美しく透明な水晶の歌声と哀愁を帯びたバンドゥーラの可憐な響き」に感動した。08年の世界9条会議で彼女の歌を聞いた。その時からもう一度彼女の歌を聞きたいと思っていた。それが今回実現した。

彼女はウクライナ生まれ。 6歳のとき、チェルノブイリ原発事故でわずか3.5キロ地点で被曝している。「3日間避難してください。必要なものしか持っていかないで。3日後に帰ってきます。」(ふるさと ナターシャ・グジー オフィスジルカ)といわれて避難をした。それから一度も実家の家には帰れていない。20歳のときから日本で音楽活動をしている。

今回、彼女はさだまさし作詞作曲の「防人の歌」を歌った。透きとおった歌声が響き。目を閉じると津波被害の東北の光景が、原発被害の福島の光景が見えた。

おしえてください
この世に生きとし生けるものの  
すべての生命に限りがあるのならば  
海は死にますか 山は死にますか  
風はどうですか 空もそうですか  
おしえてください
(中略)
わずかな生命の  
きらめきを信じていいですか  
言葉で見えない望みといったものを  
去る人があれば 来る人もあって  
欠けてゆく月も やがて満ちて来る  
なりわいの中で  
(後略)

「防人の歌」は80年の映画「二百三高地」の主題歌だ。どんな映画か確かめるためにDVDを買って映画を見てみた。日露戦争は多大な犠牲を払ったが国家の自立自存のための必要な戦いであったという立場で描かれている。私はその考えには賛同できない。歌は兵士の死体が累々並ぶ戦場の場面で出てくる。歌詞を吟味したが、「防人の歌」自体は戦争賛美の内容は持っていない。

チェルノブイリの体験者である彼女が歌うから、いっそう心に響いた。
福島の原発事故と避難についてhttp://www.youtube.com/watch?v=YYbqSr97Op4

悲しいことをたくさん体験した。でも生命のきらめきを、言葉で見えない望みを、来る人を、そしてやがて満ちてくる月を信じたいと思う。

ナタシャー・グジーの「防人の歌」をぜひ聞いてください。

2012年1月18日水曜日

なぜ松井大阪府知事は咲洲全面移転に固執するのか



「大阪府本庁舎、三たび咲洲移転案 橋下前知事は断念」(2012116日朝日新聞)には驚いた。

「大阪府の松井一郎知事は15日、咲洲(さきしま)庁舎(旧WTC、大阪市住之江区)に庁舎を全面移転し、現在の府庁本館(同市中央区)は近代美術館として活用をめざす意向を表明した。(中略)咲洲全面移転は昨夏、前知事の橋下徹・大阪市長が断念したが、松井氏は今後、安全と判断できれば9月府議会にも移転条例案を提出する。」(同)

昨年夏、大阪府は津波の予測を従来の予測の2倍6メートルに引き上げ大阪湾岸が津波で水没すると予測し避難対策の策定を開始した。咲洲は津波で水没すると予測されている。一方、大手前庁舎は水没から免れるとされている。

咲洲は津波の被害だけでなく、地震による液状化と咲洲庁舎のような高層ビルの長周期振動が課題とされている。その咲洲に全面移転したいとの願望を松井知事が持ち続けているに驚いた。中央防災会議が咲洲は安全だと太鼓判を押すとの感触を得ているのだろうか。かつての原発のような安全神話を、咲洲で再現するのは極めて難しい。この話を蒸し返せば、危険で使いようのないWTCを平松大阪前市長から買い取った橋下前府知事の失策を府民が思い出すだけで、彼らにとっては藪蛇になると思う。

ではそのようなリスクを冒しても咲洲全面移転をしたいのだろうか。それは咲洲開発で利益をうる勢力の圧力があるからだ。それは咲洲に不動産を有する大手企業、そして今後の大型公共事業を渇望するゼネコンに違いない。

数十年以内に必ず起こるとされる「東海」「東南海」「南海」の3地震その危険の真っただ中にある咲洲。その開発をいくら夢見ても、果たせない夢である。府税市税を減免しても安全性が担保できない地域に、まともな外国企業が来るはずがない。来るのは移転のための補助金をかすめ取ろうとする禿鷹のような企業が、短期だけ来てまた出ていくだけだ。

昨年の3月11日津波の光景は忘れることができない。被災地では高台移転について真剣な議論がされている。あのような津波が大阪を襲えば咲洲庁舎は津波で孤立することになる。

松井知事に聞きたい。「あなたは東日本大震災から何を学び、どう考え方と行動が変わったのか」と。

2012年1月15日日曜日

橋下徹大阪市長による過剰診療対策を口実にした、生活保護受給者の受診抑制はあってはならない


113日づけの読売新聞によると
「橋下市長、過剰診療対策で受診機関を認証へ
 大阪市の橋下徹市長が、過剰診療などの不正請求対策として、受給者が診療できる医療機関を、市が独自に認証する制度を検討していることがわかった。
 不正請求を繰り返す悪質な医療機関を排除するのが狙い。過剰診療が疑われる場合は、別の医療機関で診療させる『検診命令』を発令し、従わない場合は保護停止も辞さない構えだ。」
 
「過剰診療」をおこない、不正請求をくりかえす医療機関を規制するのは当然である。現在の日本では保険医療機関であれば国民誰もが必要に応じて受診できる権利が制度上保障されている。(現実は一部負担が高額になり受診手控えがおこっている)しかるに市が独自に生活保護の診療ができる医療機関を認証し生活保護受給者の受診できる医療機関を限定することは、生活保護受給者を一般国民から差別し医療を受ける権利を侵害することになる。さらに生活保護受給者の医療水準を低く抑えることになれば憲法違反である。

生活保護受給者が200万人を超え、保護費が3兆円以上になっている現実への対処が必要である。なぜそうなっているかかの分析と基本的人権を保障する立場での対策が必要だ。高齢化に伴い年金額がきわめて低い方が増加しているとともに稼働年齢の層の失業者が増加していることが保護受給者を増やしている。対策としては最低年金額をあげることと雇用創出し促進することである。

また「所得が生活保護支給基準以下となるケースの内、実際に受給している割合を示す「捕捉率」は、イギリスでは87%、ドイツは8590%なのに対し、日本は約1020%となっている」(Wikipedia :生活保護)事実を見逃してはならない。生活保護に該当する人が受給できていないのが実態である。

「生活保護受給者が約15万人(昨年12月)と全国最多の大阪市では、2010年度の医療扶助費が、生活保護費全体の約45%にあたる約1292億円に上り、財政を圧迫している」(読売新聞1月13日)これは低所得者の加入が多い国民健康保険が生活保護者を排除していることが最大の原因である。医療保険制度の欠陥を、生活保護制度が尻拭いしている。

読売新聞は「生活保護受給者の「頻繁通院」 全国で1万8217人…厚労省調査」(12月31日読売)と報道した。元になったデータを見たくて読売に問い合わせしたが、直接厚労省に聞けと言うことで厚労省にメールでデータをお願いしたが現在のところ返事がない。「頻繁通院」イコール過剰診療なのか詳細な検討が必要である。 

悪質な医療機関が過剰な診療をしている可能性を否定はしない。それは医療扶助だけの問題ではなく、保険医療全般の問題である。現行の監査制度で取り締まり必要なら保険医療機関の指定を取り消せばいい。しかし生活保護だけに限って問題にするのはいささかお門違いである。

橋下徹市長が誰の味方なのかだんだんはっきりしてきた。公務員・教師の次は生活保護受給者そして高齢者が攻撃のターゲットなのだ。そのつぎは障害者・ワーキングプアが、努力が足りない自己責任をとれと切り捨てられることになるだろう。

99%の連帯が必要である。近い将来、occupy Nakanoshima!を実現しよう。

2012年1月9日月曜日

橋下市長 公務員・教員たたきの次は高齢者たたき


橋下徹氏はツイッターではしゃいでいます。

「もう社会保障制度もむちゃくちゃ。現役世代が国を支えることに間違いない。高齢者を支えるのも現役世代になる。そうであれば現役世代、そして将来現役世代になる子供に投資するしかない。今は高齢者に直接お金を入れ過ぎ。それは選挙で票になるから。」「高齢者世代に国民から徴収した多額の税をいきなり入れて支えるのではなく、現役世代・子供にまず多くの税を入れて現役世代を厚く・強くする。そして現役世代の活力によって税が増えた分で高齢者を支える。今は高度成長時代とは違う。皆に等しく配分する財源がない。」「限られた財源しかないのであれば、投資の原理原則でいくしかない。高齢者を支えるためにも現役世代を厚く・強くする。高齢者からは猛反発を食らうだろうが、政治がそれをやるしかない。そのためには現役世代が政治を後押しするしかない。」「次の衆議院総選挙で、現役世代が、一からの国づくり、(中略)その中には現役世代を重視する新しい社会保障制度作りも含まれる。現役世代の皆さん、一度だけ本気で新しい国づくりをするしかありません。それが次の総選挙です。」

公務員と一般市民とを分断し「成功」した経験を今度は、「高齢者」と「現役世代」を分断する作戦だ。諸悪の根源は「ユダヤ」として一般市民の憎悪をかきたてたように。公務員・教員に続いて高齢者がターゲットにされた。
公務員の給与を下げても、民間・非正規労働者の給与は上がってこなかった。これからも上がることはない。高齢者の社会保障を切り下げても、現役社会の社会保障は向上しない。99%を分断しようと策略にのってはならない。橋下氏こそ1%の代表なのだから。

2012年1月7日土曜日

必見NHK追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」


NHK追跡!真相ファイル「低線量被ばく 揺らぐ国際基準」


12月28日づけで放送された上記番組は低線量被曝の基準についての真相を報道しています。

低線量被ばく_揺らぐ国際基準_追跡!真相ファイル
http://www.dailymotion.com/video/xnb9h8_yyyyyy-yyyyyyy-yy-yyyyyy_news 

2012年1月5日木曜日

「低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ報告書」を読んで


低線量被ばくのリスク管理に関するワーキンググループ(以下「WG」)は細野豪志原発事故担当大臣の要請に基づき、放射性物質汚染対策顧問会議の下に設置され、119日に初会合をおこない8回の会議の後1215WG報告書をまとめた。http://www.cas.go.jp/jp/genpatsujiko/info/twg/111222a.pdf
WGの見解と提言要旨
1、科学的には100mSv以下の低線量被曝の発がん増加は科学的に証明されていない
2、被曝量に比例して直線的に発がんが増加するとの見解をとるにしても低線量の被爆は交通事故や肥満や喫煙のリスクの方が高い
3、子どもの生活環境の除染を優先する。校庭・園庭の空間線量率が毎時1マイクロシーベルト未満とする。長期的に追加被ばく線量を年間1ミリシーベルト以下とする
4、放射線防護措置を実施するに当たっては、それを採用することによるリスク(避難によるストレス、屋外活動を避けることによる運動不足等)とのバランスを考えることが必要
5、福島県は20年後を目途に、がん死亡率が最も低い県を目指し、がんに関する対策については、世界に誇れる地域となるべきである

私の意見
ア、4の放射線防護措置のメリットとデメリットを考える必要があることは賛成である。また生活の場については個々人の納得に基づく自己決定が必要だ。しかし補償額や除染費用とのバランスで防護措置が左右されてはならない。被害者の利益が最優先される必要がある。
イ、1の科学的に証明されていないというのは、広島長崎の被爆者の疫学研究に基づいて言われている。100mSv 以上は疫学的に証明されていることは異論がない。しかし100mSv 以下は疫学的に証明するに至っていない。対照群でも罹患率が非常に高く優位の増加を疫学的に証明することが難しいからである。100mSv以下は影響がないということが証明されているわけではない。
福島の参照事例はチェルノブイリの事故である。事故後25年しか経過しておらず被害の影響も確定していない。今後発がんについての事例も集積されることになる。またがん以外の他疾患についてもデータを集積する必要がある。現在進行中である。さらに言えば、福島の事例の集積が低線量被曝の健康影響の事実を明らかにする。
ウ、2の低線量被曝より交通事故や肥満や喫煙のリスクの方が高いと言う見解は臨床医としては奇異に聞こえる。臨床現場では多くのエネルギーを費やして交通事故や肥満や喫煙のリスクを低減するよう努力している。低線量被曝はそれよりましだから甘受しろと言うことにはならない。回避可能なものは全力をあげて回避しなければならない。
エ、3では長期的に追加被ばく線量を年間1mSv 以下にするとしている。公衆一般の被爆線量限度は年間1mSvである。この限度以下にすることが目標である。「長期的に」それを目指すとするのは、事故が起こったのだからしかたがないと事故の責任回避を容認することになる。一刻も早く1mSv以下にする責任が東電と国にある。その時まで被爆事故の責任・賠償義務は継続することをWGは指摘するべきである。
オ、5については異論がない。ただ20年後の結果に誰が結果に責任を持っているのかが問題だ。宣伝文句にしか聞こえない。具体策と進捗の開示が必要だ。


私の結論
 低線量被曝の健康影響は疫学的には証明されていないが、何らかの影響があることは否定できない。公衆一般の被爆線量限度を年間1mSv以下にすることは国際的な合意である東電・国は追加被ばく線量を年間1mSv 以下にする義務がある。がん死亡率が最も低い県になるべく、総合的な健康管理を継続する必要がある。健康被害について全面救済しなければならない。将来、発がん患者の補償を被曝線量で足きりするようなことはあってはならない。


2012年1月4日水曜日

医者なのに


17日は母の誕生日だ。

母の女学校時代の写真を見ている。17歳ぐらいだろう。セラー服で髪を真ん中でわけ三つ編みのおさげ髪だ。目鼻立ちがくっきりしている。1930年代の中ごろだろう。日中戦争が目前である。これから戦争に突き進む不安など微塵も感じさせない。私の好きな顔だ。

母はよく「信明はおとなしい、いい子だ」と言っていた。大学に進学してからずっと離れて生活してきた。仕事にかまけて孝行らいしことはしてこなかったのに。

父が10年前に亡くなった。「なぜ現太郎は早く死んだ 信明は医者なのに、なぜ治せなかったのか」「煙草をやめるようにどうして言ってくれなかったのか」とくりかえし言った。私は「医者本人だって癌で死ぬよ」と言いわけした。

この数年はめっきり記憶がわるくなった。「どうしたんやろ。ぜんぶ忘れてしもたわ。はよ死にたい」と言った。私はあいまいに笑いながら聞こえないふりをした。適当な言葉が見つからなかった。

先日、鏡で自分の顔をみて私の顔の中に父親と母親がいるのに気がついた。「アーそうなんだ」と思った。頭に白髪混じる年になってはじめてわかった。

でも今年の誕生日には母はいない。どこかで「信明は医者なのに」と言っている気がする。