原発再稼働問題が当面の緊急課題になっている。脱原発を実現するために、他の課題での意見の違いを乗り越えて脱原発の一点で力を合わせる時だと考えます。
その時マスコミの寵児となっている橋下知事が脱原発の市民投票をすすめる運動に対して反対の意向をしめし、自分が「今、脱原発依存に向けてのプランを練っており、関電への株主提案もするつもりです。」(1月26日橋下徹氏ツイッター)と述べました。
原発をゼロにしようとする脱原発と橋下氏の脱原発依存はどこが違うのか橋下徹氏のツイッターから考えてみます。
1、橋下氏は原発をどうしようと考えているのか
「原発依存度を下げるために進んで行くのか、できれば原発は0にしていくのか、それとも原発を日本の重要な電力供給源として推進していくのか、方向性は2つに一つ。」(7月15日)もちろん脱原発依存の橋下氏は「できれば原発は0にしていく」立場です。ここに「できれば」がついていることに注意が必要です。脱原発は「原発を0」にすることで、脱原発依存は「できれば原発0」にすることです。
2、橋下氏は脱原発をどうみているか
「反原発と脱原発が違うことは皆承知。反原発の株主提案に反対する」(6月29日)原発停止の株主提案がでれば反対すると明言しています。「原発反対というのも負担を被らず主張するだけの運動だった。」(6月25日)と決めつけています。脱原発の運動と省エネルギー・自然エネルギーへの転換の運動が結びついて進んでいることを無視しています。
3、橋下氏は再生可能エネルギーへの転換をどう考えているか
「短期的には太陽光でピーク時のエアコン電力を賄う方策。電力は足りている状況にした上で中長期的な電力供給源の構成を考える。火力はガスコンバイン(ガス+蒸気)、石炭ガスなど新型が有望。風力・太陽光などは、蓄電を間に入れて安定性供給源に格上げ。バイオマスはさらなるイノベーションを。このような新たな第一歩に挑戦しながら、原発と火力・再生エネルギーの電力供給源比率を考えれば良い。」(6月29日)原子力以外のエネルギーへの転換を主張しています。火力の役割を重視しています。
4、橋下氏は省電力をどう進めるか
「ピークカットをやるのに産業の節電は不要。今夏のピークは、家庭とオフィスの省エアコンで乗り切れる」「産業用は一切節電せずとも、いざと言う時にエアコンさえ切れば良い。」(6月21日)
産業界での省電力については消極的で家庭での省電力を強調しています。
5、橋下氏は具体的には原発をどうしていくのか
「できれば原発は0にしていく」(7月16日)は先に引用しました。「4月下旬、大阪で新規原発の停止、老朽原発の延長停止を目指していきましょうと発表しました。」(6月15日)「今夏のピークカットに成功すれば、現在停止中の原発を全て再稼働しなくても良いことになる。」(6月29日)「現在停止中の原発のいくつかは停止(ママ)に追い込む。」(6月29日)
すなわち「新規原発の停止、老朽原発の延長停止」「現在停止中の原発を全て」は再稼働の必要がない、言い換えると老朽化していない原発の稼働容認との立場です。原発の新規建設を認めず、老朽原発の廃止をすすめればいつかは0になるのでしょう。しかし期日が明確ではありません。
橋下徹氏の脱原発依存は「できれば原発を0にする、当面の間非老朽化原発の稼働は容認すると」の立場です。橋下氏が言うように「昨年のダブル選挙で大阪府民・大阪市民は脱原発依存の方向で進める意思を表示」(1月26日)しました。しかし大阪府市民は「脱原発」と「脱原発依存」の違いを理解できずに「脱原発の橋下」として支持しています。
政府は原発再稼働をすすめようとしています。脱原発へ国民の意思を明確にする時です。橋下市長は民意を尊重して、過去の主張を発展させ原発再稼働反対・期日を明確にした原発0へ政策を転換する時です。関電の株主総会ではその立場での提案をするべきです。そうしなければ選挙で支持した府市民から見放される時が必ず来ます。