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2011年10月13日木曜日

朝日新聞の「教育基本条例を問う」は秀逸だ 橋下人気の潮目は変わった


大阪府知事選挙市長選挙が近づいてきた。選挙では橋下府知事・大阪維新の会が提案する教育基本条例が一つの争点になる。朝日新聞が「教育基本条例を問う」と題して10月10日維新の会大阪市議坂井良和、12日ワタミ会長渡辺美樹、13日内田樹のインタビュー記事を掲載した。教育基本条例に関する論点を明らかにした記事である。多くの方が読まれることを希望する。

坂井良和氏は「エリート養成格差は辞さず」と明言する。「人格形成だけでは人は生きてゆけない。」「義務教育は9年から7年にして、残りの2年間は勉強でもスポーツでも趣味でも、好きなものに没頭すればいい。」「私は格差を生んでよいと思っている。」「まずは格差を受け入れてでも、秀でた者を育てる必要がある。」条例の基本的狙いはエリート養成であることを率直に語った。この記事を読めば多くの人は自分の子どもに「君は勉強しなくていい。外で運動でもしてなさい」と言われたような気がするに違いない。坂井氏はここまであけすけに語っても、非エリート一般人が支持すると思っている。たいした自信だ。坂井氏は教育基本条例の案を練った大阪市議で、裁判官・弁護士の経歴を持っている。坂井氏に質問したい「ではあなたは、自分のことをエリートだと思っているのか」と。

渡辺美樹氏は「教委の無力化ではなく機能強化を」と述べる。教育に競争原理を導入し、3年連続で定員割れし、改善の見込みのない府立高校は統廃合する方針については次のように言う。「競争をあおるだけでは意味はない。」「「不振店をつぶせば他の店の売り上げが伸びるわけではない。好調店の店長を不振店に送り込み、逆に不振店の店長を好調店に入れる。不振店の従業員は意識が変わり、好調店で学ぶことで不振店の店長も視野が開ける。結果、全体の接客レベルが上がる。」実際に企業経営をしているから言える言葉である。

内田樹氏は「競争原理はむしろ学力が下がる」と述べる。「大勢に順応してうまく世渡りする秀才ほど共同体にとって危険なものはない。上意下達組織は教育になじまない。」「利益誘導モデルに基づく条例案の考え方そのものが、今日の教育の失敗の主な原因だ。」「条例案が追求する『人材』とは、自己利益追求のために競争相手を蹴落としていくような人間。」橋下知事は「教育は2万%強制」というが、内田氏は「成熟した市民に育ってゆく過程に強制は効かない。」と指摘する。

実際の選挙戦は、実際の中身が明らかでなくほとんどの府民が理解していない「大阪都構想」に賛成か反対か、そして橋下と平松のどちらが好きか嫌いかいうイメージ選挙になる公算が大きい。そして橋下維新の会は今回の府知事・市長選挙で勝てば府民市民は教育基本条例を支持したと強弁するだろう。できるだけ多くの方が、橋下徹氏が推進する教育改革について理解され投票されることを希望する。



私は朝日新聞のこの記事のコピーを多くの人に配るつもりだ。この記事を読んで橋下維新を支持する人は少ないと思う。この3年間の橋下ブームは在阪マスコミがつくってきた。しかし、潮目は変わりつつある。この朝日の記事がきっかけで橋下維新は敗北したという日が来ると思う。

3 件のコメント:

  1. 教育県と言われている、長野県民です。信州大学医学部への県内高校生の進学率がかなり低く、これでは、地元最高教育機関として体をなしていません。「学力向上には競争が絶対必要」これが現実だと思います。

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  2. 本当に一流の「人物」ほど、競争はいらないと言う。
    そこそこな勝ち組?ほど、競争が必要だと言う。
    結局、目指すところのレベルが違うのでしょうね…
    まぁ、「一流」の基準は人それぞれですけど…

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  3. 競争教育は自己利益追求=商売人の論理。
    それらしい人間ができるだけ。
    もっと高度な教育システムがあるはずだ。
    北欧のように一流の教育者を育てることから始めないと。
    難しいですけど。
    P.S
    面白いことに、競争教育を支持する人にかぎって
    得てして「学歴競争の勝ち組」ではない人が多い。なぜだろう?
    自分のまわりではそうなので。

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