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2012年2月18日土曜日

外国では医師と医療機関を金儲けの道具にすることがすでに始まっている




写真は先日韓国のインチョン空港で見かけた「医療観光案内センター」の光景だ。到着ロビーのGate5を出たところにある。たくさんのパンフレットがあった。英語・中国語・ロシア語・日本語がある。まるでホテルの案内所かレンタカーの申込所だ。医療が金儲けの世界に引きずりまれていることに違和感を覚えた。こんな光景は関空ではまだ見かけない。

医療観光は医療ツーリズムともいわれる。外国人が他国の医療機関等で治療、健診等を受ける目的で旅行し、あわせて観光をおこなうことだ。すでに、インド・タイ・シンガポール・マレーシア・韓国など30か国以上で行われている。毎年100万人以上が利用している。世界の人口の0.01%だ。対象は中国や中東などの医療発展途上国の大金持ちだ。また医療保険制度の未整備なアメリカの一部の無保険者が利用している。医療を外貨稼ぎの道具にしている。日本政府は日本でも推進したいとしている。 

外国人の医療に資源を投入しているこれらの国は医療資源が潤沢にあるのだろうか。医師数でみると、OECD平均が人口1000人当たり3.1、日本2.1、韓国1.7、タイ0.5、インド0.6、マレーシア0.1、シンガポール0.2である。OECD平均からはるかに少ない医師数でありながら医師のマンパワーを外国人の医療に回している。まるで飢餓で苦しむ国が食料輸出をしているみたいだ。

外国の富裕層をターゲットにした医療にマンパワーと施設を向けることは、国内医療にゆがみをもたらすことになる。高度な最新医療機器と設備、より高い待遇の提供は、医療従事者の関心を国民全体の健康状態から、自らの技術向上と高報酬実現に向けることになる。その結果人材の偏在がおこる。一般医療ではマンパワー不足が加速することになる。医療観光にかかわる営利目的の医療機関が高い利益を上げても、それが出資者に分配されることはあっても国民医療全体に還元されることはない。

我が国の医師法第1条は「医師は、医療及び保健指導を掌ることによつて公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もつて国民の健康な生活を確保するものとする」としている。医師と医療機関は国民の健康な生活を確保することにまい進するべきである。医療分野での国際協力は当然進めるべきである。しかし外国の富裕層対象の医療ツーリズムは、国民の健康増進には役立たない。

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