09年12月5日大阪市西区民センターホールで上記集会が開かれた。08年12月8日に提訴された大阪空襲訴訟は原告団が18名から23人に増え裁判を進めている。
原告団代表世話人の安野輝子さんは「戦後を地をはうように生きてきた空襲被災者の命は、残りわずかとなりました。空襲で手足を奪われ、肉親を奪われた私たちは、もう人生をやり直すことはできません。それでも苦しい裁判に踏み出したのは、孫たちの世代に安心して暮らせる明日を手渡したいからです。」とあいさつで述べられた。
集会では決してあきらめないこと、勝利をめざして闘い続けることが確認された。
国は戦後60年以上たった今も、軍人軍属には補償をしてきたにもかかわらず民間戦災者に何ら救済策を打ち出さず見捨ててきた。原告団は「このままでは死にきれない」という思いを持ち、同じ苦しみを未来に繰り返さないために、空襲を引き起こす原因をつくった国に謝罪と補償をさせなければならないという強い意思から裁判を始めた。
現在ではいかなる理由があろうとも民間人に対する無差別攻撃は国際人道法によって禁止されている。
・民間人ならびに非軍事的目標物に対する直接攻撃の禁止。
・無差別攻撃の禁止。
1945年3月から8月にかけて50回にも及んで繰り返された大阪は焦土と化した。約1万5千人が死亡したとされている。敗色が濃厚になった日本の民間人に対するアメリカ軍の攻撃は現行の国際人道法に抵触する。法制定以前といえども無差別攻撃を行ったアメリカ軍に道義的責任があることは明らかである。しかし今もイラクでもアフガンでもガザでも民間人に対する無差別攻撃は行われている。重大問題である。
日本に対する空襲の責任は非人道的な攻撃に国民がさらされる原因である無謀な戦争を始め、かつ戦争の早期終結の決断ができなかった日本政府にある。そして軍人軍属に対しては戦後補償を行ったにもかかわらず、民間人の被害者を放置してきたのも国である。その点がこの裁判で問われている。日本国憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」ている。過去の政府の行為により引き起こされて空襲犠牲者に真摯に向きあい補償をすることが、決意の実行の1つである。
NHKで司馬遼太郎の「坂の上の雲」が放送開始された。主題は「明治の戦争に日清日露戦争は正しかった」であるようだ。明治の戦争の結末が国民を塗炭の苦しみに陥れた太平洋戦争の敗北、そして今の沖縄の現実に見られるアメリカへの属国状態ではないのか。また東アジア共同体を展望する日本が韓国・朝鮮・中国の民衆の視点から見ても日清日露戦争が正しかったと真顔で言えるのか。日本人の歴史認識が引き続き問われている。事実にもとづく議論が必要である。
今、過去の戦争とはなんであったのかを知ることが大切だ。空襲の犠牲者の現実に向き会うことが歴史認識を深めるためにも必要である。多くの方が大阪空襲訴訟の内容を知り支援されることを訴える。
大阪空襲訴訟をさせる会ホームページ http://www.osaka-kusyu.org/
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