昨年10月韓国の学生と対話する機会があったのでその一部を紹介します
私:みなさんはヒロシマやナガサキへの原爆投下をどう思いますか?学校でどう教えられましたか?
学生:日本帝国主義が本当に非人権的な行動をとったと私もそう思います。ただそれと同時にアメリカの行動も日本と全く同じことだと思います。
通訳:それはそう思ったのですか、教えてもらったのですか
学生:実際、学校では何年何月何日にアメリカが原爆落としたということしか教えられていない。日本の行動もアメリカの原爆の行動も全く同じです。それは学校で教えてもらったわけではなく、学校では事実だけを教えてもらいました。
教授:先ほどの先生の質問は、15年前、日本に行ったときに日本の方々に原爆について全く同じ質問をされたことがあります。その質問を受けて私は4文字で答えました、自業自得。4文字でパッと答えましたが、あとでヒロシマ・ナガサキを実際に見て、民間人の死についてそんなに簡単に言うことについてものすごく恥を感じました、戦争の残酷さ感じました。それは15年前に行って私は自業自得という答えをして、その10年後、私は感じたことです。全く同じ質問をされたことがあります。
学生: 今、北朝鮮についていろいろ報道されていますが、日本人はそれについてどう思われていますか?
私: 韓国のみなさんよりも日本人のほうが北朝鮮をおそれていると思います。北朝鮮がミサイルを撃って日本に核弾頭を打ち込むこと非常におそれています。だから北朝鮮の核の話が出ると日本の右派の力がすごく伸びるという状況があります。私どもはこの前あった韓国の戦艦が沈められた事件で、韓国の方々が平和的に解決されようとしていることに非常に感激をしています。
学生: まず私は個人的に日本について、とんでもないと思っている代表的な人間でありますが、きょう先生のような方がいらっしゃるとことが、この講演を聞いて分かりすごくうれしくなりました。歴史のことだけではなく、最近のメディアなどから見ると、日本の右派についてたいへんよくないというふうに私は思っていて、その右派の動きを見るとますます日本人に対してイヤな気持ちを持つ人が私のようにいると思いますが、いったい、日本には右派勢力はどういう力を持っているのですか。そして社会にどういう影響を与えているのですか。
私: 難しい質問ですが、右派の力というのは非常に強いというふうに思います。昨年まで問題になっていました閣僚の靖国参拝の問題でありますが、今は民主党政権で靖国参拝はしないということになっておりますが、これは歴史認識が正しくなったから靖国参拝をしていないのではなくて、中国との経済関係を考慮して一時停止しているということであります。例えば現在の外務大臣である前原という人は、靖国には何度も参拝しています。ただ中国との関係を今のところとりつくろうということで、行っていないだけです。油断をすると再び憲法を変えようという力が強まることはあると思います。世論調査を見ると、50%ずつと拮抗しているということが今の状況です。
学生: 私の質問は2つですが、戦争が行われたときにその中心が天皇制だったというお話があったのですが、私たちは日本がすごく右傾化している、右によっているという話を聞くときはそのもとには天皇制があるのではないか。天皇制をなくすべきでなかったか、それについて日本ではどういうふうに思われているのですか。今の天皇制は右と左にどういう影響を与えているのですか。韓国の歴史の中でいろいろな民主化闘争があるのですが、日本にはそういう国民的闘争がなかったのではないかと思われるのですが、もしなかったらそれは韓国と日本の国民性の違いでしょうか。なぜでしょうか。
私: まず天皇制の問題でありますが、日本では破れたときは、一番トップに立つものが死をもって責任をとるということがこれまで日本文化の伝統でありました。それがいいことか悪いことか別として、そういう文化を日本国民に強いていた天皇が戦争に負けたときに自分は生き残って、自分は人間であるという宣言をして生き延びました。天皇が生き延びたことについて失望している国民はたくさんいました。現在の天皇は政治的な発言することを憲法で禁止されています。現状はそれが守られています。また多くの国民は天皇を古代から日本がもっているということが日本はすばらしい、他の国に優る国であると考えています。それが再び他民族に対する蔑視につながる可能性は十分にあると思います。
2番目の問題で。日本でも多くの民主運動があります。ただ日本では韓国のように軍事独裁政権を倒すというような経験はありません。保守党政権が戦後一貫して続いています。しかし、70年代に公害問題が日本全土におこったときに、多くの都道府県の知事に市民派がなったことがあります。今、起こっていることで言えば、沖縄の米軍基地を撤去しようという運動があります。アメリカ政府も、日本政府も一致して沖縄に基地をおきつづけようと主張していますが、沖縄県民は「ダメだ」ということで反対しています。11月に知事選挙がありますが、そこで米軍基地反対の知事をとおそうということで大きな運動が起こっています。
学生: 最後に先生は連帯が大事というふうにおっしゃいました。私は連帯することが大事だと思っています。その前に、それができるように一番、必要な連帯は謝ることではないかと思います。先ほどのアンケート調査でもまだ謝罪していない、謝罪が十分でないと考えている韓国人が多くおります。その理由はやはり国家のレベル、政府のレベルでの公式的な謝罪が必要じゃないかと思っているからだと思います。戦争を主導的にやるのは国家であり、政府でありということであれば、被害者は市民がたくさんいました。例えば強制的に日本に連れていかれた方々、そして元慰安婦だった人たち、そして朝鮮人の被爆者も含めて、日本の被爆者もその被害者だと思います。そうしたら日本でいろんな活動をなさっている方々に聞きたいと思いますけども、日本政府の公式的な謝罪が出るような活動としてはどういう活動がありますか。そして日本政府が公式的に謝罪するために何が一番必要だと思われますか。
私: 日本政府自体が謝罪をしたいと思っているかどうかはなかなか難しい問題です。右派の人たちがたくさんおられてそういうふうにはなっていない。謝罪をしろという圧力をかけることと、本当に戦争に対して過去の事実を認められる政権をつくることが大事です。それにはなかなか道のりが遠いというのが現状です。過去の歴史認識を日本中に広めていくというようなことをこれからもしながら、韓国の方、中国の方と交流をしながら、歴史的な事実を確認して、日本でそういう世論が強まるような活動をしたいと思います。
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