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2011年1月2日日曜日

四大紙の元旦社説はまるで大政翼賛会

2011年がスタートした。今年をどんな年にするのか、新年の決意を固める時期だ。しかし元旦の主要紙の社説を見ると、情勢の厳しさを改めて感じる。各紙はほとんど同じ論調で税制と社会保障の一体改革と、自由貿易を進める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の参加を主張し、民主党に対して公約の撤回と国民に痛みを与える政策の断行を提言している。まるで戦前の大政翼賛会の時代に逆戻りしている印象をうけた。

まず見出しは、「今年こそ改革を―与野党の妥協しかない」(朝日)「世界でもまれて競争力磨く志を再び」(日経)「世界の荒波にひるまぬニッポンを 大胆な開国で農業改革を急ごう」(読売)「2011 扉を開こう 底力に自信持ち挑戦を」(毎日)だ。
そして書き出しは「なんとも気の重い年明けである」(朝日)「めでたいとは言い難い年明けだ」(日経)「四海の波は高く、今にも嵐が襲来する恐れがある」(読売)「元気をなくしているといわれる日本」(毎日)という認識で始まる。日本の経済的地位が低下している、少子超高齢社会に突入する、国の財政赤字が大変だ。という問題意識である。残念ながらどの新聞も格差と貧困、医療崩壊、介護崩壊、自殺と虐待の横行という日本現実を直視し国民を守るためになにをするべきかという論点がない。

そして具体的政策として次のように述べる。「税制と社会保障の一体改革、それに自由貿易を進める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加。この二つを進められるかどうか。日本の命運はその点にかかっている。」(朝日)「経済と財政、社会保障の改革を急ぐしかない。本格的な高齢化を2~3年後に控えて、これから1~2年は日本再生への最後の機会となるだろう。」(日経)「消費税率を引き上げる以外に、もはや財源確保の道がないことは誰の目にも明らかだ。」(読売)「日本が(TPP)交渉に乗り遅れれば、自由貿易市場の枠組みから締め出されてしまう。」(読売)「消費税増税を含めた財政再建、社会保障、高齢者介護の立て直し。」(毎日)本当に消費税増税と社会保障の切り下げとTTPへの参加しか取るべき道がないのだろうか。そしてその道が本当に国民の幸せをもたらすのであろうか。その主張の当否は別の機会に論じることにしたい。しかし各紙が口を揃えて同じことをいうのは恐ろしい。論戦を展開することに存在意義がある新聞がこんな状態になってしまっていることが明らかになった。自分で調べ、自分で考えることが重要になっている。

民主党政権に対して次のように提言する。「菅首相は野党との協議を求めるならば、たとえば公約を白紙に戻し、予算案も大幅に組み替える。そうした大胆な妥協へ踏み出すことが、与野党ともに必要だ。」(朝日)「八方美人の政策は有害でしかない。嫌われても嫌われても、必要な政策を断行するキャメロン英首相(44)の勇気に倣うべきだ。」(日経)「菅首相は、政権公約(マニフェスト)を撤回し、バラマキ政策の見直しを約束した上で、消費税率の引き上げを野党側に提示し、速やかな合意を得るよう汗をかかなければならない。(中略)懸案処理のための政治休戦と、暫定的な連立政権の構築を模索すべきではないか。」(読売)「消費税や財政再建など選挙での敗北を恐れて封印し続けてきた問題も多い。菅政権はこれらの難題の扉を開けて本気で取り組む必要がある。」(毎日)緊急に実施するべき政策があれば選挙で真を問うのが民主主義の基本である。それを主要新聞が口をそろえて、民主党に国難だから選挙も公約も気にするなと勧めているのである。四大新聞は民主主義の擁護者でなくなったのか。残念である。

ともあれこれが11年の日本言論界の実情である。草の根の言論が自分で調べ考え行動したことを発信することの重要性が高まっていると思った。


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