日本経団連は1月17日、企業側の2011年春闘対策方針である経営労働政策委員会報告「労使一体となってグローバル競争に打ち勝つ」を発表した。1%の賃上げを求める連合にたいしてグローバル競争の激化を理由に「きわめて厳しい要求」と拒否した。長期に続く賃金の低下傾向が国内消費を冷やし内需を縮小し、さらには国民生活水準を悪化させていることは明らかである。経団連として国民生活をどうするのかを語るべきである。
企業は個人と同様に法人として日本国憲法に定める第3章国民の権利及び義務をもっている。
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
第29条 財産権は、これを侵してはならない。
2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
3 私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。
企業としての生き残りめざすことも、最大の利益を追求することも憲法上認められていることである。しかしそれとともに公共の福祉との整合性を求められていることを忘れてはならない。
公共の福祉とは法学的には議論が多いようだが、経済的には
第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければなら ない。
第27条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。
3 児童は、これを酷使してはならない。
であると考える。
経団連は企業のナショナルセンターとして、国民の健康で文化的生活の実現、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の増進、国民の勤労する権利の保障にどんな展望を持っているか語るべきである。
個人として外国に帰化する権利があるように、企業も海外移転の権利がある。しかし国土を捨てて外国に出ることは、企業を育んだ技術・文化・風土とそれを育んだ人材を捨てることになる。また世界有数の日本市場を捨てることになる。多くの企業はこの国を捨てて生きて行くことはできない。この国の公共の福祉との整合を図りながら生きていく必要がある。
「売り手よし・買い手よし・世間よし」近江商人から現代にまで受け継がれる三方よしの理念がある。「世間よし」こそが公共の福祉である。日本の経済団体は公共の福祉について語るべきである。
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