7月24日の昼、テレビからバラエティー番組が流れていた。タレントたちは突然カウントダウンを始めた。この季節に何のカウントダウンなのかわからない。
「サン、ニ、イチ、ゼロ」テレビの中では大歓声が起こった。そのとき突然、テレビの画面が「アナログ放送は終了しました」、との文字に変わった。
「アッ、テレビが文字に変わった」後ろのテーブルの子供が声をあげた。それだけである、場末の韓国食堂ではだれもテレビには関心がない。お互いの会話と食事の音が続いた。店の人も、テレビに一瞥もくれることなく仕事を続けた。
すでにテレビはこんな存在になっていたのか。映っている時も、映らなくなった時も誰も関心のないものになっていたのか。偶然入った食堂で、アナログ放送停波の瞬間に立ち会って周囲の人の無関心さに驚いた。
アナログ放送停止は、地デジ難民をつくる大変動である。7月24日はテレビが地デジ難民を作り出した日である。それを報道機関らしく報道できないテレビ局は情けない。地デジ移行は会社の大方針である。会社の利害にかかわることでは、一方的立場の宣伝だけを流した、NHK・民放各局。報道の自由とはその程度のものか。この間、大手ジャーナリズムが「原発村」の一員であったことが指摘されている。そのことを釈明できないテレビ局。テレビ局の利害の枠内での報道。同じことが、地デジ移行報道で繰り返された。
テレビはアナログ停波の告知を繰り返している。でも食堂の誰一人、気を留めない。近い将来、テレビが見捨てられる日が来ると思った。
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