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2009年12月6日日曜日

Japanese W.L.M. should make a new guideline for the swine flu vaccine for elder persons

H1N1 swine flu is spreading all over Japan.  I think that as many persons as possible should take a swine flu vaccine. We have one problem, whether the swine flu vaccine is safe or not. The Welfare Labor Ministry said that 21 persons died soon after they took the vaccine. Of course it is not clear that the vaccine caused the deaths. Nineteen of the 21 dead were over 70 years old. The number of swine flu victims over 70 years old is only 15 in Japan. Nineteen is not few. I think the vaccine is useful for protection against swine flu. The W.L.M. should make a new guideline for the swine flu vaccine for elder persons, who may take it and who may not.

high cost of H1N1 swine flu vaccine in Japan

I am a doctor, working for a clinic in Osaka. I see many patients every day. Today I saw one of my patients, who suffers from a pulmonary disease. He said he couldn’t afford a H1N1 swine flu vaccine, because it is too expensive. A flu vaccine costs 3,600 yen, 40 dollars a shot. One report said that 61% of people, whose annual income was below five million yen, thought they could afford it if it cost 2,000 yen or less.
I know it is free in other developing countries. Why is the cost so high in Japan? I think it is not ethical that one’s economical condition determines the medical service that one can take.  

2009年11月28日土曜日

新型インフルエンザワクチン接種事故を防ぐために、厚労省は70歳以上の接種不適応暫定基準を出すべきである

新型インフルエンザの流行が継続している。感染者が1000万人を越えたと推定されている。冬季を目前に控え、さらなる大流行が起こるのではないかと緊張が高まっている。厚生労働省の発表によると死亡者数は65人に達している。(11月17日時点)新型インフルエンザによる死亡者を可能な限り低く抑えることが国民的な課題になっている。
新型インフルエンザワクチンの接種が開始されている。希望者が殺到してる状態である。医療機関は通常の業務に加えて季節性ワクチンそして新型インフルエンザワクチンの接種に忙殺されている。ワクチン接種は集団接種に切り替えないと希望者に対応できない状態である。
今気がかりなのは新型インフルエンザワクチンの安全性である。ワクチン接種に関連して21名が死亡したと発表されている。直接の因果関係は不明であるが。従前の季節性インフルエンザワクチン接種に関連した死亡は年に1-2例であった。ワクチン関連死亡が季節性インフルエンザと同程度とは言い難い。
とくに注目する必要があるのはワクチン関連死亡の大半(21例中19例)が70歳以上である点である。新型インフルエンザの全死亡数は65人だが、70歳以上の死亡数は15名である。病気による死亡が15名であり、ワクチン関連の死亡が19例である点をどう評価するのかが問題である。
高齢者は新型インフルエンザに罹患する割合は若年者より低いが、罹患すると重症化し死亡する比率が高いことは事実である。罹患そして死亡をどう減らすかが問題である。
基礎疾患をもつ高齢者にはやく安全に予防注射をすることが必要であるが、だれに接種するべきか、だれには接種をやめるべきかを識別する指標が望まれる。
現行の基準では(1) 明らかに発熱している方(2) 重い急性疾患にかかっている方(3) 接種を行う新型インフルエンザワクチンの成分によってアナフィラキシーを起こしたことがある方(4) 上記に掲げる方のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある方が接種不適当される基準である。
しかしワクチン関連死亡が多発する70歳以上にはこれ以上の不適応基準が必要である。ハイリスク患者優先の現行基準だけではワクチン接種事故の可能性の高い人が接種される可能性が引き続きある。これまでの事例の知見をもつ厚労省が暫定的な基準を早急に出されることを希望する。

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2009年11月12日木曜日

小児の新型インフルエンザワクチン接種は集団接種方式で

季節性インフルエンザワクチン接種が一山越えてきた。
今月中には供給されたワクチンの接種が完了する。
いまでも電話での問い合わせが多い。
今年は例年の75%の供給なので、接種対象者を65歳以上の方と医師が必要と認める人に限定して接種した。
65歳以上の方では、昨年まではワクチン接種してこなかった人が今年接種されるケースが増えた。
新型インフルエンザの流行でワクチン接種への関心が高まったことの反映であろう。

これからはいよいよ新型インフルエンザワクチン接種である。
しかし現在の時点ではワクチンがどれぐらい供給されるか皆目わからない状態である。
新聞報道と現場への供給の実態との乖離がある。
自治体のホームページでワクチン実施機関が公表されているので、当院にも問い合わせが殺到している。
しかしワクチン供給のめどが立たないので接種の予約をとることができない。
予約窓口は閉鎖したままである。

当院ではようやくかかりつけの患者で最優先接種対象の方のリストアップを開始している。
ワクチン供給が開始されれば最優先対象の方に直接連絡をさしあげ予約をとる計画だ。
政府の提示するスケジュールで実施できるか不安である。

持病を持たない小児を含めた小児のワクチン接種の前倒し実施が決定されている。
小児の罹患が圧倒的に多いので当然のことである。
新型インフルエンザへの不安が強いので、季節性ワクチンよりかなり多い方が接種を希望されると思われる。
第一線の医療機関のみでそれがやりきれるか疑問である。
すでに現場では発病した患者が殺到している。
それに対応することに忙殺されている。
それに加えてこれまで経験のないワクチンの多数接種をやるのは困難である。
もちろん患者とワクチン接種希望者が接触する機会を作っては絶対にいけない。
これでは希望してもワクチン接種をしてもらえない子供が続出すると予想される。
従前の保健所・幼稚園・学校その他で行う集団接種でしか短時間に多数の方に接種することはできない。

もちろん強制接種ではなく、任意接種の原則は守ることが前提である。

新聞報道によれば政府は小児を除き一回接種の方針をようやく固めた。
ワクチン接種方法も現場の意見をよく聞いて決断されることを希望する。
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2009年11月5日木曜日

新型インフルエンザワクチン接種開始にあたり医療機関は困惑している

1114日から接種が開始される。
自治体のホームページで実施医療機関の名前が公表されて以降私の勤務するクリニックにも問い合わせの電話が殺到している。
市民の中にある種のパニックが起こりつつある。

日常の診療に加えて来院するインフルエンザ患者の診療、季節性インフルエンザワクチンの接種でてんやわんやである上の新型インフルエンザワクチン接種である。
医療機関はすでに疲労困憊している。
しかしワクチン接種は国民的課題であるので、なんとか対応したいと決意を固めている。

新型インフルエンザワクチン接種に際して次のような点で困惑している。

まずワクチンがどんなテンポでそのような数供給されるかが今もってわからない点である。
1019日から医療従事者の接種が始まったことになっているが、供給が少なくほとんど接種できていない状況である。
供給量がわからなければ接種の予約の取りようがない。
当院でも予約をまだ取っていない。

次に優先接種対象から接種するとなっているが、その優先接種対象者を選びだす作業が非常に大変である。
優先接種対象者の基準が細かく決められている。
また優先対象者も最優先とその他の二群に分けるべしとのことでなおさら大変である。
しかしその基準を患者さんが知るはずもなく医療機関が選別し患者さんに知らせられなければならない。
現在の外来終了は長い場合は2カ月から3カ月に一回のペースで行われていることが多い。
患者さんに連絡をとるのも労力がいる。
その上でワクチン接種の予約をとることになる。

さらにワクチン接種は通常の診療+インフルエンザ患者診療と別に時間を割いて行う必要がある。
とくにワクチンは2回接種との方針がとられておりワクチン接種をやりきるためには大変な労力と時間が必要になる。
医療現場が崩壊することを危惧する。

医療機関の負担を軽減する方策を立案されることを希望する。
ワクチン供給の計画を早く明示する。
接種対象者をあまり細かくわけない。
接種場所を医療機関に限定せず、保健所・学校・職場での集団接種、献血のように繁華街でもするなどの工夫が望まれる。

新型インフルエンザ対策は国民的課題である。
各自がもてる能力を発揮して力を合わせて乗り切りたい。

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2009年10月31日土曜日

新型インフルエンザワクチンの購入価格

新型インフルエンザワクチンの接種が始まっている。
ワクチン接種に公的負担がなく、一回当りの接種費用が3000円を超えており広くワクチンを普及する障害になっている。

10月14日付けで厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部より日本医師会経由で各医療機関にワクチン購入価格の指示がだされた。
それによると、1mlバイアル(2回接種分) ワクチン本体1,725円+流通経費(販社→卸)644円+流通経費(卸→医療機関)428円+消費税139円=2936円である。
一回分はその半額だ。

価格は医療機関の交渉の余地はなく厚生労働省の公定価格である。
そして接種費用も公定価格である。
医療業界でも珍しい事態だ。

この購入価格が正当なものであるかどうかの吟味が必要だ。
諸外国のワクチン購入価格がいくらか知りたい。
報道機関、研究者、政治家の調査を期待する。

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2009年10月25日日曜日

医療従事者用新型インフルエンザワクチンが来ない

「先生はもう新型インフルエンザワクチンをうたれたのでしょう」と患者さんに言われました。
「いやー、ワクチンが来ないのです。私もいつうてるかわかりません」
昨日の診察室の会話です。

新型インフルエンザのワクチンは19日には来るには来たのですが、6人分しか来ませんでした。
当クリニックには医師が6人、看護師が15人働いています。
これでは足りません。
事前の医師会から調査で必要本数を申請していたのですが6人分しか来ませんでした。
医師会は診療所の平均は6人だから、一律6人分配分したとのことです。
何のために事前調査をしたのでしょう。
当院ではまず6人分を一番リスクの高い小児科の医師と看護婦に接種しました。
残りの医師看護婦のワクチン接種のめどは立っていません。

当クリニックが所属する法人の透析クリニックでも6人分しか提供されませんでした。
これではリスクの高い透析患者に身近で接触するスタッフが感染して患者を感染させる可能性が残ります。

次のワクチン配分は11月中旬のハイリスク患者と妊婦対象のものになるようです。
これも必要本数の見込みを医師会に報告しましたが、一律何人分供給と今回と同じようになるのではないかと心配しています。
そうなれば混乱が起こることは必至です。

これまで経験したことのない事態ですから不十分のことが起こることは十分に理解できます。
しかし不十分点は早く是正されるべきです。
医療機関へのワクチン供給は診療実態に見合ったものに是正されることを要望します。

2009年10月19日月曜日

新型インフルエンザワクチン 米英仏独無料

日本では新型インフルエンザワクチンの接種が始まりましたが原則自己負担となっています。
欧米の状況を共産党の小池晃議員の事務所を通じて厚労省に問い合わせました。
米英仏独の各大使館の専門職員から以下の回答が寄せられました。

アメリカ
ワクチン代:無料
接種費用:未定
・民間医療保険:保険内容による
・公的保険(高齢者および低所得者):接種費用もカバーする予定
※保健当局が実施する場合は無料の予定

イギリス
優先して接種すべき対象者は、無料
(医療福祉従事者、基礎疾患を有する者、妊婦等)

フランス
ワクチン代:無料
接種費用:未定
※財源:
・ワクチン代:国と疾病金庫で折半(保健省発表)
・接種費用:未定
ドイツ
無料
※財源:
・基本的には医療保険者が負担
・接種対象者が被保険者の5割を超えた場合は、超えた費用を州が負担(調整中)

日本では当たり前のように3000円から6000円の費用を徴収しているが、世界の動きとかけ離れていることがよくわかります。
今からでも遅くありません。
ワクチン接種に公的補助を行ってください。

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2009年10月17日土曜日

新型インフルエンザ対策 ペットボトルの回し飲みは絶対にダメ


私の勤務するクリニックのある地域では新型インフルエンザが流行している。
秋祭りの最中の10月4日以降患者が急増してた。
7日ごろからは感染した子供の親の2次感染もみられる。
だんじり祭りで多くの人が長時間密集したことが原因と考えられる。
ペットボトルの回し飲みも原因の一つと思われる。
つばや汗がかかるほど人が密集する行事は注意が必要である。
学校での感染も狭いところで人が密集するバレーやバスケットなどのクラブでの集団感染が多い気がする。

沖縄県医師会の宮里善次理事は「感染者の多くは中高生でクラブ活動のバレーボール、バスケット、野球など汗まみれでのボールのパス、ペットボトルの回し飲みなどを介して接触、飛沫感染が生じたと考えられる。」と報告している。http://blog.m3.com/den/20091004/2

テレビでみるサッカーの試合でもペットボトルの回し飲みをしていた。
この時期、ペットボトルの回し飲みは絶対に避けなければならない。

新型インフルエンザワクチン高額自己負担は世界の非常識

新型インフルエンザの6150円もの自己負担は納得できません。
ハイリスクの方をふくめてワクチン接種がどうして本人負担ですか。
費用負担が原因でインフルエンザワクチンを断念する人が出ます。
これではインフルエンザ対策はうまくいきません。

フランスに住む娘にフランスの事情を聞いてみました。
65歳以上と病人は無料で、それ以外は600円程度の負担でそれも健康保険から償還されるようです。
テレビではアメリカも無料と報道しています。
オーストラリアもイギリスも無料と聞いています。
またまた日本の常識は世界の非常識ということです。

国と地方自治体は少なくとも季節性インフルエンザと同程度の負担軽減策を行うべきです。

新型インフルエンザワクチン接種、従前の季節性インフルエンザと同程度の負担軽減を

新型インフルエンザ接種の基本方針が概要が明らかになった。
10月19日をめどに接種を始め、(1)医療従事者(2)妊婦と基礎疾患のある人(3)1歳~小学校低学年(4)1歳未満の小児らの保護者(5)小学校高学年~高校生と高齢者--の順に進める。
同じ医療機関で2回打った場合、接種費用は計6150円になる。
低所得者(住民税非課税)の人は公費負担があり無料となる。

新型インフルエンザはこの半年で30%以上の人が感染する。
そのうち1ないし5%が入院を要するほど重症化する。
そして0.1%ないし0.5%の人が死亡する。
基礎疾患がない人もふくめウイルス性肺炎や多臓器不全を起こすことがわかってきた。
その予防策として、手洗いなどの飛沫感染予防策とワクチン接種が必要とされている。
また感染を疑った場合は早期に抗インフルエンザ薬を投与することが推奨されている。

その新型インフルエンザに対するワクチン接種がどうして6150円の自己負担なのか。
専門職として第一線で働く医療従事者のワクチン接種の費用は、まさか本人負担ではなく医療機関負担になると思われるが、どうして医療機関負担なのか。
ハイリスクの方をふくめてワクチン接種を希望するのがどうして自己負担なのか。
政府は6150円の自己負担がワクチン接種の障壁にならないと考えているのであろうか。
前政権は景気対策として特別給付金を1万2千円ないし2万円を配ったが、今度はその3割から5割をワクチン代として徴収しようというのである。

もともとインフルエンザは91年から予防接種法で2類疾病と定められ65歳以上の方に接種が推奨され、多くの自治体で公費負担が実施され1000円程度の負担で実施されている。
にもかかわらず、感染力も強く死亡例も多いとされている新型インフルエンザにたいするワクチンでは6150円を徴収しようというのである。
この乖離をどう説明するのか。

新型インフルエンザの6150円もの自己負担は全く同意できない。
費用負担が原因でインフルエンザワクチンを断念する人が出ることは容易に想像できる。
優先接種対象のワクチン接種がすすまず、お金のある優先接種対象外の方に接種することになる。
これではインフルエンザ対策に支障がでる。

宮城県角田市のように一部自治体では独自の助成をする動きがある。
しかし大阪府の橋下知事は低所得者の費用負担で自治体負担が出る可能性があることで政府を批判するが、インフルエンザワクチン接種での住民負担を軽減する方策に言及していない。
彼のいう地方分権の目的が、住民の生活と福祉の向上にあるのではないことが見て取れる。

インフルエンザへの対応は自己責任論ではうまくいかない。
憲法25条は
「1、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としている。

国と地方自治体は少なくとも従前の季節性インフルエンザと同程度の負担軽減策を行うべきである。

インフルエンザ大流行に備え助け合いのネットワークを

週を追うごとにインフルエンザの患者数が増加している。
毎日の外来でもインフルエンザワクチンについての質問が出されている。
新型インフルエンザの大流行が起こり、来春までに国民の30%が罹患するという可能性が現実的なものに感じられる。

新しい疾患のため、予防法・ワクチンの投与方法・抗ウイルス薬の適応などについて根拠にもとずく方針が確定していない。
例えば感染症学会のタミフル積極投与の方針についても、その論拠の丁寧な開示がないため、どの診療方針をとればいいのか医療関係者に戸惑いがある。

国外の模索についても広く情報を集め診療に生かしていく必要がある。
なかでも、英国が提唱している「フル・フレンド」作りの呼びかけは参考になる。
今回のインフルエンザはほとんどの人は軽症で経過し、1週間ぐらいで回復する。問題は1人が罹患すると1.9人に感染させることである。
それを避けるためにインフルエンザに罹患した人が外出して他人に接触することがないように、医薬品・食糧・生活必要品を調達する「フル・フレンド」のネットワークを作ろうというものである。
もちろん家族でもかまわない。
インフルエンザの診断も軽症であれば、医師に受診することなくネットで問診票に回答すれば、処方箋番号が入手でき、「フル・フレンド」が代理で薬の配布ポイントで抗ウイルス薬を受け取ることができる。
詳細は英国保健省のHP(http://www.direct.gov.uk/en/groups/dg_digitalassets/@dg/@en/documents/digitalasset/dg_178842.htm)を参照されたい。
実施後のメリット・デメリットについて知りたい。

日本では単独所帯が増加している。
その人々もインフルエンザに罹患する。
治療も受けられない、食事もできない、むざむざ孤独死する事態を起こしてはならない。
その人たちを支援する「フル・フレンド」のネットワークを急いで構築する必要がある。
ワクチンや治療薬やマスクだけに頼らず、インフルエンザに対処するあらゆる知恵に学んで、この難局を乗り越えたい。

新型インフルエンザ対策に関する厚労省と感染症学会の見解の違い

新型インフルエンザは感染の急増期を目前に控え臨床現場に緊張が高まっている。
15日感染症学会の「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」第2版が発表された。
その中で新型インフルエンザS-OIVは「弱毒」ではないそして抗インフルエンザ薬で早期から積極的に治療すべきだと提起された。
臨床現場ではこの提言にそって診療を進めることになる。

しかし感染症学会の提言はこれまでの厚生労働省の見解と異なる点がある。
早急に政府と学会の見解の一致をはかるとともに、実行可能な条件整備が必要である。

これまでの厚労省の見解では重症化する可能性のある人は、妊婦と小児そして呼吸・心・腎・糖尿・免疫不全の基礎疾患のある人とされている。
しかし国内外の知見では基礎疾患のない人の死亡例が出ている。
その点を踏まえ感染症学会では新型インフルエンザと臨床的に診断した場合は「ハイリスク」の人に限らず早期に抗インフルエンザ薬を投与すべきとの見解を表明した。

3日付、厚生労働省のインターネットテレビに「新型インフルエンザあなたの?に答えます」(受診と療養編)によると、「(ハイリスクの方以外は)症状が比較的軽く自宅で常備薬で療養できる方は病院に行く必要はありません」としている。
感染症学会見解と明らかに異なるものである。
基礎疾患がなくてインフルエンザ様症状を呈した人はどうすればいいのか、厚労省は改めて方針提起を行う必要がある。

またもし感染症学会見解が全面的に実施されれば医療機関の抗インフルエンザ薬はたちまち底をつく。
国が備蓄している薬剤の放出の計画を明らかにしてほしい。

そして早期治療を求めて患者が第一線医療機関に殺到して医療機関はパンクすることが予想される。
イギリスではインターネットでの問診だけ受診なしで抗インフルエンザ薬を処方するシステムを動かして成果をあげたと報道されている。
その経験も参考に日本で実施可能な大量の患者の早期受診・治療を確保するためのシステムが求められる。

新型インフルエンザ対策はこれまで経験しなかった事態である。
臨床現場と学会と行政が協力し合って市民を守らなければならない。
ともにベストを尽くしましょう。

感染症学会のタミフル積極使用方針について

感染症学会から「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」第2版と「新型インフルエンザ 診療ガイドライン (第1版)」が発表された。
インフルエンザを疑った場合にタミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬を積極的に投与するべきと明言している。
臨床現場ではいくつかの疑問・不安を持ちながら「診療ガイドライン」にそって診療をはじめている。

提言は「2009年8月21日にWHOから新型インフルエンザの治療ガイドライン10)が発表されました。
そこには、軽症の若年者や健常成人ではオセルタミビル(製品名:タミフル)やザナミビル(同:リレンザ)等の抗インフルエンザ薬の投与は必ずしも必要ではない、と記載されています。先述の「弱毒」見解と相俟ってわが国でも「抗インフルエンザ薬の投与は必ずしも必要ではない」とする意見が散見されます。しかし、これは危険です。」と断言している。
本当にそうなのかとの疑問がある。

本ガイドラインが他の種々ある診療ガイドラインと異なり複数の臨床研究総括から科学的根拠をもって作成されたものではない。今進行しているアウトブレイクの最中のガイドラインだから仕方がないと考えるが、他のガイドライン以上に科学的根拠を積み重ね検証していく必要がある。

一般論では「診療ガイドライン」は医師の個々の診療を拘束するものではない。
しかし患者にガイドラインの内容を十分に説明したうえでガイドラインに準拠するのか否かの診療方針を患者に提示する義務がそれぞれの主治医にある。

ほとんどの日本の医師はガイドラインにそって抗インフルエンザ薬を積極的に使用することになる。
感冒でも念のためにと投与する乱用や、従前から問題になっている異常行動などの副作用も警戒していく必要がある。

臨床現場では抗インフルエンザ薬がたちまち払底することになる。
政府は公的備蓄放出の方針を直ちに明らかにしてほしい。
備蓄の少ない外国に対する援助も実行してほしい。

日本政府はインフルエンザ対策で国際貢献の立場を明確にしなければならない

インフルエンザワクチンの話題でもちきりだ。
来る患者来る患者がその話題を出される。
「自分はうってもらえるのか」「いつうてるのですか」と。

必要数がたりない国の基準に従い優先順位を決めてうつことになるとの説明をしている。
これまで日本の医療では医学的適応と患者の意向により医療行為を選択してきた。
しかし今回は、資材の量に従い対象を選択することになってしまった。
選択の基準は重症化するリスクの高い方から順番にということだ。船が沈没しかかっている時に救命ボートの数が足りないから成人男子は船に残り、自力で命を守れというやつである。
しかたがないといえばしかたがない。

国内のワクチン不足対策として日本は外国から輸入をして接種を行おうとしている。
待ち望んでいる国民を多い。
もっと早く輸入ができないのかとの意見もある。

しかし、ワクチンの自国生産も、輸入もできない国の国民はどうなるのだろうか。
ハイリスク方優先との見解は是認するとして、全世界のハイリスク者にワクチンを接種することが緊急の課題である。
ワクチン入手困難の国ほど保健医療体制が不十分でより重症化するリスクが高いと考えられる。
世界的な視野でワクチン接種の方針を実行する必要がある。お金のある国がお金にあかしてワクチンを買いあさるのは21世紀にはふさわしくない。
たとえば外国かららワクチンを購入するなら、その半分をWHOに寄付し困難な国の国民支援にあてることが必要だ。
日本政府はインフルエンザ対策で国際貢献の立場を明確にしなければならない。

日本国憲法前文には次のように記されている。
「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。 
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」

ワクチンが足りない

ワクチンが足りない。
今週の始めから肺炎球菌ワクチンの在庫がなくなった。
卸に連絡をとっても今月は数本しか納入できないとのことである。

7月以来、インフルエンザ感染時の肺炎合併 予防のために肺炎球菌ワクチンの接種呼びかけてきた。
8月には約50名の方に接種した。
9月には200名ぐらいの人に接種しようと意気込んでいた矢先の品切れである。
1-2か月に一回の定期の受診で来院された患者さんも、「今日はワクチンをうってもらうつもりで来たのに残念だ。前回の受診時にうっておけばよかった。いつ頃になったらうつことができますか」と言われる。
「製薬会社の話ではいつ頃とは言えない状況です」と答えるしかない。

このワクチンは国内産ではなくアメリカからの輸入にたよっている。
5月来の新型インフルエンザ対策で日本国内の需要が急増し供給が追いつかなくなってしまった。
10月には新たな入荷があるようだが末端の医療機関にはどの程度来るかわからない。
アメリカでは国内用に備蓄の体制に入っており、輸出量に影響が出ているようである。

肺炎球菌ワクチンだけではなく、季節性インフルエンザ・新型インフルエンザワクチンも供給が不足するといわれている。
診察室で患者さんは、「ワクチン接種はいつからです。自分はうってもらえるのですか。」と不安を述べられている。

国民に安全・安心を保障するためにも肺炎球菌ワクチンのように高齢者への接種が世界標準になっているワクチンは公的責任で確保し希望者全員に公費で接種できるようにする責任が国にあると考える。
厚生労働省の奮闘に期待する。

新型インフルエンザの大流行に備え肺炎球菌ワクチンの公費接種を

今回の新型インフルエザの病像が次第に明らかになってきています。
死亡例の多くは細菌性肺炎を併発していました。

成人の肺炎の第一の原因は肺炎球菌です。
それに対するワクチンが実用化されています。
感染症学会は予想される秋のインフルエンザ流行にそなえ「65歳以上の高齢者や慢性の呼吸器疾患並びに慢性心疾患、糖尿病などをお持ちの患者にはこのワクチン(肺炎球菌ワクチン)の接種を積極的に考慮して下さい」と提言しています。

アメリカでは65歳以上の方に対してワクチン接種が保険でカバーされているため接種率は70%と報告されています。
しかし日本では全額自己負担のため接種率は4.17%にとどまっています。
全額本人負担で接種すると七千円ないし八千円かかります。
全国約100の地方自治体では公費助成をおこなっていますが一部地域です。
国として肺炎球菌ワクチンへ公費助成することが必要です。

新型インフルエンザに対策は国民的課題です。
政府の決断を要望します。

すべてのA型インフルエンザと非A非Bインフルエンザ様疾患の全数把握を

大阪・兵庫で新型インフルエンザが広がっている。
海外渡航者に対する水際作戦で対処してきたが、その防衛線を突破されてしまった。
この間の教訓は海外渡航歴のある人に対象をしぼって対策をしてきたが。
大阪で海外渡航歴のない人にA型インフルエンザが多発していた高校があったのにそれを新型インフルエンザと診断するのに時間がかかってしまった。

国内各地のインフルエンザ感染者の流行を早くつかむために、A型インフルエンザ感染者とインフルエンザ様症状があってA型もB型も陰性の患者(検査の感度の関係で偽陰性の可能性がある)の全数を把握し流行地域を早くつかみ対策をうつ必要がある。
そのために医療機関に報告を義務付ける必要がある。

現在は全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診し、A型もしくはB型が陽性になった患者数が週ごとに把握されている。全数把握の体制ではない。定点報告によると今年は5月にはいってもインフルエンザ患者が多いことが注目されている。

当然A型インフルエンザ陽性患者の中に新型インフルエンザでない従来からある季節性インフルエンザ患者も含まれている。
しかし診断が確定するまでは感染拡大防止を徹底する。

感染拡大を抑える為にはこれが不可欠である。
厚生労働省のすばやい指示を要望します。

新型インフルエンザの正確な認識と対処

今回の新型インフルエンザはどのようなものか。そしていかに対処するべきか。混迷が続いています。
季節性インフレエンザと同じようなものと言いながら軽症患者でも隔離する方針を継続し、封じ込めが可能であるような幻想を依然もっていたり、一方では「もはや流行ではない」という知事が出たりしている。

今回日本感染症学会・新型インフルエンザ対策ワーキンググループからだされた提言をぜひ多くの国民に知っていただき、来るべき大流行に備えたいと思います。

社団法人日本感染症学会緊急提言(要旨 文責いけしん)
「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」http://www.kansensho.or.jp/
○今回のインフルエンザは軽症とはいえない
短期間に10 万人以上がICU に入院することになります。
今回の新型インフルエンザ(S-OIV)が今後大流行した場合、わが国の死亡者数や死亡率が香港かぜの場合(筆者注 8万人から9万人の死亡)を大きく超えるようなことはないと思われます。

○過去の我が国における新型インフルエンザ流行の実態から学んでください= 大流行が予想される
今回の新型インフルエンザ(S-OIV)が、現在は症状も軽く、患者数も比較的に少なくても、今年の秋か、冬に大きな流行になると専門家が警戒しているのは過去の大流行の事実からです。

○新型インフルエンザは、いずれ数年後に季節性インフルエンザとなって誰でも罹患しうる病気です=罹患を避けることは難しい
過去のどの新型インフルエンザでも、出現して1~2年以内に25~50%、数年以内にはほぼ全ての国民が感染し、以後は通常の季節性インフルエンザになっていきます。

○新型が流行すると青壮年層の被害が甚大となるのには理由があります=青壮年には免疫がない

○流行初期から一般医療機関への受診者が激増します=一般の医療機関の準備が大切

○重症例にはウイルス性肺炎よりも細菌性肺炎例や呼吸不全例が多く見られます=適切な予防対策と早期治療が重要

○一般予防策ではうがい、手洗い、マスクが効果的です

○医療従事者の感染予防にはサージカルマスク、手洗い等が効果的です

○全ての医療機関が新型インフルエンザ対策を行うべきです

舛添厚生大臣殿 新型インフルエンザ対策のために地域の医療機関支援を

地域の医療機関では新型インフルエンザに対処するために診療体制を強化しています。
患者さんからも「先生体に気をつけて頑張ってください」と声をかけてもらっています。
当院では発熱外来は開設してませんが、発熱患者を一般患者から分離して特別の待合室・診察室で診療する体制をとっています。
一日10名たらずの診療ですがインフルエンザA陽性の方はでていません。
地域の医療機関を支援するために以下の措置を緊急にとってください。

行政が備蓄している薬品・物品を早急に医療機関に提供してください。
検査キットも消毒液・マスクも底をついています。卸業者からも納入不納の連絡がきています。

医療保険制度を整備してください。
疑いのある人がすべて検査・医療を受けれるように、医療機関窓口での一部負担を免除してください。無保険者への配慮も必要です。

インフルエンザ検査は一回の検査では偽陰性になる確率が20%あります。
二回目の検査は保険適応がありません。
翌日の再検査も保険適応にしてください。

濃厚接触の家族その他にタミフルの予防投与する必要があります。
新型インフルエンザが確定した方の濃厚接触者に限って公から無料で提供されているようです。
しかし地域の医療機関でA型インフルエンザと診断された方の家族に予防投与しようとしても、保険適応がなく全額自己負担となります。
保険で予防投薬が出きるようにしてください。

新型インフルエンザ対策に力を入れると通常の診療を縮小する必要がでてきます。
それによる経済的損失の補填もぜひ検討していただきたいと思います。

至急の決断・実行をお願いします。