週を追うごとにインフルエンザの患者数が増加している。
毎日の外来でもインフルエンザワクチンについての質問が出されている。
新型インフルエンザの大流行が起こり、来春までに国民の30%が罹患するという可能性が現実的なものに感じられる。
新しい疾患のため、予防法・ワクチンの投与方法・抗ウイルス薬の適応などについて根拠にもとずく方針が確定していない。
例えば感染症学会のタミフル積極投与の方針についても、その論拠の丁寧な開示がないため、どの診療方針をとればいいのか医療関係者に戸惑いがある。
国外の模索についても広く情報を集め診療に生かしていく必要がある。
なかでも、英国が提唱している「フル・フレンド」作りの呼びかけは参考になる。
今回のインフルエンザはほとんどの人は軽症で経過し、1週間ぐらいで回復する。問題は1人が罹患すると1.9人に感染させることである。
それを避けるためにインフルエンザに罹患した人が外出して他人に接触することがないように、医薬品・食糧・生活必要品を調達する「フル・フレンド」のネットワークを作ろうというものである。
もちろん家族でもかまわない。
インフルエンザの診断も軽症であれば、医師に受診することなくネットで問診票に回答すれば、処方箋番号が入手でき、「フル・フレンド」が代理で薬の配布ポイントで抗ウイルス薬を受け取ることができる。
詳細は英国保健省のHP(http://www.direct.gov.uk/en/groups/dg_digitalassets/@dg/@en/documents/digitalasset/dg_178842.htm)を参照されたい。
実施後のメリット・デメリットについて知りたい。
日本では単独所帯が増加している。
その人々もインフルエンザに罹患する。
治療も受けられない、食事もできない、むざむざ孤独死する事態を起こしてはならない。
その人たちを支援する「フル・フレンド」のネットワークを急いで構築する必要がある。
ワクチンや治療薬やマスクだけに頼らず、インフルエンザに対処するあらゆる知恵に学んで、この難局を乗り越えたい。
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