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2009年10月17日土曜日

新型インフルエンザ対策に関する厚労省と感染症学会の見解の違い

新型インフルエンザは感染の急増期を目前に控え臨床現場に緊張が高まっている。
15日感染症学会の「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」第2版が発表された。
その中で新型インフルエンザS-OIVは「弱毒」ではないそして抗インフルエンザ薬で早期から積極的に治療すべきだと提起された。
臨床現場ではこの提言にそって診療を進めることになる。

しかし感染症学会の提言はこれまでの厚生労働省の見解と異なる点がある。
早急に政府と学会の見解の一致をはかるとともに、実行可能な条件整備が必要である。

これまでの厚労省の見解では重症化する可能性のある人は、妊婦と小児そして呼吸・心・腎・糖尿・免疫不全の基礎疾患のある人とされている。
しかし国内外の知見では基礎疾患のない人の死亡例が出ている。
その点を踏まえ感染症学会では新型インフルエンザと臨床的に診断した場合は「ハイリスク」の人に限らず早期に抗インフルエンザ薬を投与すべきとの見解を表明した。

3日付、厚生労働省のインターネットテレビに「新型インフルエンザあなたの?に答えます」(受診と療養編)によると、「(ハイリスクの方以外は)症状が比較的軽く自宅で常備薬で療養できる方は病院に行く必要はありません」としている。
感染症学会見解と明らかに異なるものである。
基礎疾患がなくてインフルエンザ様症状を呈した人はどうすればいいのか、厚労省は改めて方針提起を行う必要がある。

またもし感染症学会見解が全面的に実施されれば医療機関の抗インフルエンザ薬はたちまち底をつく。
国が備蓄している薬剤の放出の計画を明らかにしてほしい。

そして早期治療を求めて患者が第一線医療機関に殺到して医療機関はパンクすることが予想される。
イギリスではインターネットでの問診だけ受診なしで抗インフルエンザ薬を処方するシステムを動かして成果をあげたと報道されている。
その経験も参考に日本で実施可能な大量の患者の早期受診・治療を確保するためのシステムが求められる。

新型インフルエンザ対策はこれまで経験しなかった事態である。
臨床現場と学会と行政が協力し合って市民を守らなければならない。
ともにベストを尽くしましょう。

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