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2009年10月17日土曜日

新型インフルエンザワクチン接種、従前の季節性インフルエンザと同程度の負担軽減を

新型インフルエンザ接種の基本方針が概要が明らかになった。
10月19日をめどに接種を始め、(1)医療従事者(2)妊婦と基礎疾患のある人(3)1歳~小学校低学年(4)1歳未満の小児らの保護者(5)小学校高学年~高校生と高齢者--の順に進める。
同じ医療機関で2回打った場合、接種費用は計6150円になる。
低所得者(住民税非課税)の人は公費負担があり無料となる。

新型インフルエンザはこの半年で30%以上の人が感染する。
そのうち1ないし5%が入院を要するほど重症化する。
そして0.1%ないし0.5%の人が死亡する。
基礎疾患がない人もふくめウイルス性肺炎や多臓器不全を起こすことがわかってきた。
その予防策として、手洗いなどの飛沫感染予防策とワクチン接種が必要とされている。
また感染を疑った場合は早期に抗インフルエンザ薬を投与することが推奨されている。

その新型インフルエンザに対するワクチン接種がどうして6150円の自己負担なのか。
専門職として第一線で働く医療従事者のワクチン接種の費用は、まさか本人負担ではなく医療機関負担になると思われるが、どうして医療機関負担なのか。
ハイリスクの方をふくめてワクチン接種を希望するのがどうして自己負担なのか。
政府は6150円の自己負担がワクチン接種の障壁にならないと考えているのであろうか。
前政権は景気対策として特別給付金を1万2千円ないし2万円を配ったが、今度はその3割から5割をワクチン代として徴収しようというのである。

もともとインフルエンザは91年から予防接種法で2類疾病と定められ65歳以上の方に接種が推奨され、多くの自治体で公費負担が実施され1000円程度の負担で実施されている。
にもかかわらず、感染力も強く死亡例も多いとされている新型インフルエンザにたいするワクチンでは6150円を徴収しようというのである。
この乖離をどう説明するのか。

新型インフルエンザの6150円もの自己負担は全く同意できない。
費用負担が原因でインフルエンザワクチンを断念する人が出ることは容易に想像できる。
優先接種対象のワクチン接種がすすまず、お金のある優先接種対象外の方に接種することになる。
これではインフルエンザ対策に支障がでる。

宮城県角田市のように一部自治体では独自の助成をする動きがある。
しかし大阪府の橋下知事は低所得者の費用負担で自治体負担が出る可能性があることで政府を批判するが、インフルエンザワクチン接種での住民負担を軽減する方策に言及していない。
彼のいう地方分権の目的が、住民の生活と福祉の向上にあるのではないことが見て取れる。

インフルエンザへの対応は自己責任論ではうまくいかない。
憲法25条は
「1、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としている。

国と地方自治体は少なくとも従前の季節性インフルエンザと同程度の負担軽減策を行うべきである。

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