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2011年8月9日火曜日

長崎市幸町俘虜収容所


長崎に来たらぜひ行きたい場所があった。戦争中の長崎市幸町の福岡俘虜収容所第14分所跡だ。そこで外国人俘虜8名が原爆で殺されたと記録されている。その場所を確認したかったのだ。路面電車の宝町電停で下りて西へ少し歩くと幸町だ。そこで道を歩いている昔のことを覚えていそうな高齢の方に収容所の場所を聞いてみた。でもみんな知らないという。仕方がないので道路沿いにあった事務所に入って「俘虜収容所の跡地を知りませんか」と聞いたら、事務所にいた6人全員が驚いた顔をして私を見た。いろいろ聞き歩いて杉永蒲鉾の隣に戦後県営バスの車庫があって今は三菱重工業長崎造船所幸町工場になっていることがわかった。そこに戦争中は俘虜収容所があったのだ。


ようやく浦上川沿いの大きな道路に杉永蒲鉾を見つけた。しかし72歳の杉永蒲鉾の人に聞いても俘虜収容所は知らないと言う。三菱の工場の入り口の守衛さんに「ここに収容所があったのですが、記念碑はありませんか」と聞いたら律儀に部屋から出て応対してくれたが「あったことも知らないし、記念碑もない」といわれた。

収容所跡地に立って、不幸にも捕虜になり味方の原爆投下で被爆した200名の方の心境を想った。戦争は残酷だ。味方すら見捨てる。被爆死した英兵捕虜、ロナルド・フランシス・ショウさんは、ジャワ島付近で搭乗機が撃墜されて捕虜となり、日本に移送される途中、長崎沖で撃沈され、救助されて収容された。撃墜、撃沈と2度もの死線をくぐり抜けてきた彼は、味方の原爆で殺された。

私がここに来たかったのは、昨年末のBBCの広島と長崎で二回被爆した山口彊さんを笑いものにする番組があったからだ。その時私がBBCのホームページに批判のコメントを載せると「戦争で残虐行為をした日本人に批判する資格はない」とか「鯨を食べる奴が何を言うか」とか言うコメントがたくさん寄せられビックリし悲しい気持ちになった。原爆投下の真実を知らないことは恐ろしいことだ。BBCの放送を正当化する人たちはロナルド・フランシス・ショウさんも笑いものにできるのか。

原爆投下は一般市民の大量殺戮を目的にしたものである。7万人が殺された。その中には日本人だけではなく外国人も含まれていた。朝鮮人の死亡者は1400人〜2000人と推定されている。中国人が156人。そしてこの俘虜収容所で8人(オランダ人7人、イギリス人1人)が殺された。

知らないことは恐ろしいことだ。そして記憶は日々薄れていく。歴史認識を確かなものにする努力をすること。風化させない様に語り継いで行くこと。それが大切だ。

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