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2009年12月30日水曜日

The Closure of the U.S. Futenma Base

The Japanese people are wondering how we can close the U.S. Marine Corps Futenma Air Station in Okinawa. This is a wish for most of us.
In Okinawa there are 38 U.S military bases. They are 25% of the total number of U.S. military bases in Japan and 75% of their total area. The Futenma Air Station is in Ginowan, Okinawa. It is located in the center of the city, and its area is 24.6% of the city. It is threatening the citizen’s daily life. There are numerous military bases in the world, but nothing is like Futenma. Even in the U.S no base is in the middle of a civilian residential area. The Futenma base must be removed immediately.
The problem is whether to withdraw unconditionally or to relocate somewhere else. There are many different opinions about the Japan-US Security Treaty. But the removal is another thing from the evaluation of it.
The previous government made an agreement with the U.S; relocation to Henoko in Nago, north of Okinawa. But a new government has been born and all the members of the House of Representatives, newly elected in Okinawa, are against relocation to any place in Okinawa.
Even if the U.S. bases might be needed for the security of Japan and north-east Asia, I think the Futenma base should be removed without any conditions, because the U.S. Marines residing in Futenma are not for defense but for attack. This is easily understood to think about the Iraq War. The U.S.made a preemptive attack againt Iraq by sending them.
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2009年12月10日木曜日

阪神赤星憲弘選手は公傷である。阪神がどのような対応をするのか世間は注目している。


12月9日、阪神対ガース赤星憲弘選手が引退を発表した。912日の横浜戦の守りで横跳びした際に、身体をグランドに打ちつけ中心性脊髄損傷を負ったためである。医師からは「今度やったら最悪の場合、命にかかわる」と言われたとのことである。引退の決断は妥当なものだと考える。引退後はこれまでの実績に負けない第二の人生を切り開いていかれると確信する。ご苦労様でした。

中心性脊髄損傷とは、変形性脊椎症や脊柱管狭窄症が基礎にある方が外傷により脊髄に急激な圧迫が加わり脊髄の中心部をやしなう脊髄中心動脈の血流が一時的に遮断され脊髄の中心部が壊死した病態をいいます。脊髄中心部には上肢にいく運動神経が集まっているので、下肢より上肢につよい運動麻痺・痛み・ビリビリするような両手や手の痺れ等が出ます。

詳細はわかりませんが、赤星選手は脊椎管狭窄症をもっており比較的軽い外傷で脊髄損傷を起こしやすい状態にあり今後強い外傷を受ければ横断性脊髄損傷を起こし四肢麻痺や呼吸停止になる可能性があると診断されたのであろう。プロ野球選手を引退するのは妥当な判断と考える。

私が気になるのは、阪神タイガースが引退に当たり赤星選手をどう処遇するのかという点である。

報道によると阪神球団の依頼により「07年には万が一の場合にも球団の責任は問わないと両親が一筆書いた」(1210日朝日新聞)とのことである。今回の引退会見に先立っても、現役続行を希望する本人に対し球団側から、「引退した方がいいんじゃないか」と言ったそうである。(赤星憲弘HPhttp://www.redstar53.com/)球団としては赤星選手の怪我には責任をとりたくないと一貫した意思が表明されている。

しかし、阪神球団は09年まで赤星選手と契約し彼の全力を投入したプレーを期待した。そして912日の公式戦で脊髄損傷を起こす事故は起こっている。明らかに公傷である。この事実は消し難い。

「責任は問わない」という念書があれば、公の業務で負傷をしたものを「引退した方がいいんじゃないか」と言って契約打ち切りができるのか。このような念書が有効なのか。阪神球団が引退に当たり赤星選手にどのような対応をするのか注目している。誠意ある対応を期待する。



http://redstar53.tblog.jp/trackback/238815

2009年12月8日火曜日

A lawsuit against the Japanese government by air-raid victims in Osaka

 At the end of the Pacific War the U.S army carried out random bombings in Japan. 500,000 people were killed and many were injured.
On December 8, 2008, 18 people, who were injured by the U.S. air-raid in 1945, filed a suit against the Japanese government. They pointed out that the government should have avoided the war against the U.S and certainly should have stopped the war before the air-raid occurred. Furthermore the government should provide compensation for the civilian victims as much as for the Japanese soldiers and military employees.
Random attacks against civilians are now firmly prohibited by the International Humanitarian Law. I think the U.S has a moral responsibility. Of course the Japanese army did the same thing in China. It should never happen again.
 The Japanese government should compensate these civilian victims. That would be the best way to confirm their resolution never to initiate a war again.

2009年12月6日日曜日

田尻俊一郎先生のこと

田尻俊一郎先生。
1928515日佐賀県生まれ。
458月長崎で入市被爆。51年京都大学付属医専卒業。
52年以降大阪民医連の院所で勤務、一貫して働く者健康問題に取り組み、79年には淀協社会医学研究所を設立された。
1981年に大阪過労死連絡会を設立し、世界に先駆けて過労死問題を提起されその根絶に邁進された。

その田尻先生が0994日に逝去された。

私は「よろしく頼むな」と何度、田尻先生に手を握られ頼まれたかわからない。
社医研の今後のこと、そして大阪民医連の今後のことである。
なかなか期待に応えられないまま今に至っている。

田尻先生がいるから大阪民医連に来た医師が少なくない。
「生活と労働の視点で患者を診る」
「働く者立場に立って診療をする」
そんな言葉を学生時代に聞いて夢を持って民医連に飛び込んできた医師が何人もいる。

働く者の立場に立った医療を実践で貫かれたのが田尻先生だった。
それは労働者の実態を現場で見る、生の声を聞く、そして仕事で命をむしばまれている事実に労働者とともに怒りを持って、医師として仕事をする。
それが田尻先生のスタイルである。

医学と医療技術の進歩と日本の低医療費政策は、医師を診察室と医療機関に縛り付け長時間過重労働に忙殺し医師自身の過労死を引き起こす事態となっている。
その中で医師が現場を見、そして社会的事実を体験・理解することができにくい状況が生まれている。
要請される仕事の分野が広がり田尻先生の様に産業医学一筋には生きにくい時代となっている。

だからこそ田尻先生の思いと業績を若い世代に伝えていく必要があると思う。
田尻先生がしてきたようにいつまでも青年のようにロマンを語り続けけることが大切だ。

田尻先生の奮闘にかかわらず、過労死過労自殺は減る気配を見せていない。
過労死は根絶しなければならない。
「田尻先生、先生の仕事は立派に受け継ぎます」と先生に誓いたい。

Japanese W.L.M. should make a new guideline for the swine flu vaccine for elder persons

H1N1 swine flu is spreading all over Japan.  I think that as many persons as possible should take a swine flu vaccine. We have one problem, whether the swine flu vaccine is safe or not. The Welfare Labor Ministry said that 21 persons died soon after they took the vaccine. Of course it is not clear that the vaccine caused the deaths. Nineteen of the 21 dead were over 70 years old. The number of swine flu victims over 70 years old is only 15 in Japan. Nineteen is not few. I think the vaccine is useful for protection against swine flu. The W.L.M. should make a new guideline for the swine flu vaccine for elder persons, who may take it and who may not.

high cost of H1N1 swine flu vaccine in Japan

I am a doctor, working for a clinic in Osaka. I see many patients every day. Today I saw one of my patients, who suffers from a pulmonary disease. He said he couldn’t afford a H1N1 swine flu vaccine, because it is too expensive. A flu vaccine costs 3,600 yen, 40 dollars a shot. One report said that 61% of people, whose annual income was below five million yen, thought they could afford it if it cost 2,000 yen or less.
I know it is free in other developing countries. Why is the cost so high in Japan? I think it is not ethical that one’s economical condition determines the medical service that one can take.  

2009年12月5日土曜日

大阪空襲訴訟一周年記念のつどいに参加して

09125日大阪市西区民センターホールで上記集会が開かれた。08128日に提訴された大阪空襲訴訟は原告団が18名から23人に増え裁判を進めている。
 原告団代表世話人の安野輝子さんは「戦後を地をはうように生きてきた空襲被災者の命は、残りわずかとなりました。空襲で手足を奪われ、肉親を奪われた私たちは、もう人生をやり直すことはできません。それでも苦しい裁判に踏み出したのは、孫たちの世代に安心して暮らせる明日を手渡したいからです。」とあいさつで述べられた。
 集会では決してあきらめないこと、勝利をめざして闘い続けることが確認された。
 国は戦後60年以上たった今も、軍人軍属には補償をしてきたにもかかわらず民間戦災者に何ら救済策を打ち出さず見捨ててきた。原告団は「このままでは死にきれない」という思いを持ち、同じ苦しみを未来に繰り返さないために、空襲を引き起こす原因をつくった国に謝罪と補償をさせなければならないという強い意思から裁判を始めた。
 現在ではいかなる理由があろうとも民間人に対する無差別攻撃は国際人道法によって禁止されている。
 ・民間人ならびに非軍事的目標物に対する直接攻撃の禁止。
 ・無差別攻撃の禁止。
 19453月から8月にかけて50回にも及んで繰り返された大阪は焦土と化した。約1万5千人が死亡したとされている。敗色が濃厚になった日本の民間人に対するアメリカ軍の攻撃は現行の国際人道法に抵触する。法制定以前といえども無差別攻撃を行ったアメリカ軍に道義的責任があることは明らかである。しかし今もイラクでもアフガンでもガザでも民間人に対する無差別攻撃は行われている。重大問題である。
 日本に対する空襲の責任は非人道的な攻撃に国民がさらされる原因である無謀な戦争を始め、かつ戦争の早期終結の決断ができなかった日本政府にある。そして軍人軍属に対しては戦後補償を行ったにもかかわらず、民間人の被害者を放置してきたのも国である。その点がこの裁判で問われている。日本国憲法は「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」ている。過去の政府の行為により引き起こされて空襲犠牲者に真摯に向きあい補償をすることが、決意の実行の1つである。
 NHKで司馬遼太郎の「坂の上の雲」が放送開始された。主題は「明治の戦争に日清日露戦争は正しかった」であるようだ。明治の戦争の結末が国民を塗炭の苦しみに陥れた太平洋戦争の敗北、そして今の沖縄の現実に見られるアメリカへの属国状態ではないのか。また東アジア共同体を展望する日本が韓国・朝鮮・中国の民衆の視点から見ても日清日露戦争が正しかったと真顔で言えるのか。日本人の歴史認識が引き続き問われている。事実にもとづく議論が必要である。
 今、過去の戦争とはなんであったのかを知ることが大切だ。空襲の犠牲者の現実に向き会うことが歴史認識を深めるためにも必要である。多くの方が大阪空襲訴訟の内容を知り支援されることを訴える。
 大阪空襲訴訟をさせる会ホームページ http://www.osaka-kusyu.org/


 

2009年11月28日土曜日

新型インフルエンザワクチン接種事故を防ぐために、厚労省は70歳以上の接種不適応暫定基準を出すべきである

新型インフルエンザの流行が継続している。感染者が1000万人を越えたと推定されている。冬季を目前に控え、さらなる大流行が起こるのではないかと緊張が高まっている。厚生労働省の発表によると死亡者数は65人に達している。(11月17日時点)新型インフルエンザによる死亡者を可能な限り低く抑えることが国民的な課題になっている。
新型インフルエンザワクチンの接種が開始されている。希望者が殺到してる状態である。医療機関は通常の業務に加えて季節性ワクチンそして新型インフルエンザワクチンの接種に忙殺されている。ワクチン接種は集団接種に切り替えないと希望者に対応できない状態である。
今気がかりなのは新型インフルエンザワクチンの安全性である。ワクチン接種に関連して21名が死亡したと発表されている。直接の因果関係は不明であるが。従前の季節性インフルエンザワクチン接種に関連した死亡は年に1-2例であった。ワクチン関連死亡が季節性インフルエンザと同程度とは言い難い。
とくに注目する必要があるのはワクチン関連死亡の大半(21例中19例)が70歳以上である点である。新型インフルエンザの全死亡数は65人だが、70歳以上の死亡数は15名である。病気による死亡が15名であり、ワクチン関連の死亡が19例である点をどう評価するのかが問題である。
高齢者は新型インフルエンザに罹患する割合は若年者より低いが、罹患すると重症化し死亡する比率が高いことは事実である。罹患そして死亡をどう減らすかが問題である。
基礎疾患をもつ高齢者にはやく安全に予防注射をすることが必要であるが、だれに接種するべきか、だれには接種をやめるべきかを識別する指標が望まれる。
現行の基準では(1) 明らかに発熱している方(2) 重い急性疾患にかかっている方(3) 接種を行う新型インフルエンザワクチンの成分によってアナフィラキシーを起こしたことがある方(4) 上記に掲げる方のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある方が接種不適当される基準である。
しかしワクチン関連死亡が多発する70歳以上にはこれ以上の不適応基準が必要である。ハイリスク患者優先の現行基準だけではワクチン接種事故の可能性の高い人が接種される可能性が引き続きある。これまでの事例の知見をもつ厚労省が暫定的な基準を早急に出されることを希望する。

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2009年11月22日日曜日

順伊(スニ)おばさん(玄基栄著 金石範訳 新歓社刊)

この本はなかなか重い本です。しかし読む価値のある本です。いわゆる「済州島4・3事件」を韓国で最初に扱った作品です。軍事独裁政権下の7911月に出版されています。作者현기영 (ヒョンギヨン/玄基榮)氏はこの本書いたことにより逮捕され拷問を受けています。翌805月が光州事件です。87年にようやく軍事独裁政権が打倒され民主化が実現しています。

金石範訳の日本版には順伊おばさん、海龍の話、道、アスファルトの4編が収められています。

いわゆる「済州島4・3事件」とは、南北分断を固定化する単独選挙実施に反対した人々がおこした48年の武装蜂起にたいして米軍承認の下、当時の李承晩政権がおこなった三万人にも及ぶ済州島住民虐殺事件です。
「おしなべて二百にもならぬ武装暴徒を鎮圧するために全島を焼き払うとは。それこそ蚊に向かって刀を振り廻すようなものだった。そうして、二百をうんと越えて、五万が死んだ。」(海龍の話)「しかしそれは戦争などではなく、左翼暴動鎮圧だった。暴動鎮圧に五万以上もが死んだとは!」(海龍の話)

そんな事件があったにも関わらず、事実は長い間闇に葬られてきました。
加害者は権力をもって隠ぺいし、被害者は事件を口にして弾圧・殺害されることを恐れたのです。
「当然、加害者の襟元を摑かまえて堂々と憤怒を爆発させねばならぬのに、なかなかそれができなかったいまだにそれができない。アカの罪名をかぶされるのが恐ろしいのである」(海龍の話)「解放の直後、あの戦乱のなかで討伐隊に殺されたのは一人の良民もいない。すでに暴徒だけだという強弁が現在も通用している世の中なのだから、下手にそんな話を引っぱり出して、とんでもない誤解を受けたのでは、と恐れたのである。」(道)

ある場合は事実を意識下に押し込め、事件がなかったこのように生きてきました。
「私たちは真夜中のその鳥肌立つ啼き声の合唱がいやでいやでたまらなかった。祭祀の終わる時間を待ちながら聞いた、部落焼き払いの当時の、あの悲惨な話もいやだった。」(順伊おばさん)済州島出身であることも隠して生きてきました。

家族が多数殺されたにもかかわらずかろうじて生き残った人は、精神的に大きな傷を負っていました。
「彼女は1949年にあった部落焼き払いのときに深い精神的な傷を負い、火に怯えた者は火搔きを見ても怯えるの譬えどおり、遠くで軍人や巡警(巡査)の影がちらりとしただけでも怯え、道を避けていた神経症状が以前からあったのである。」(順伊おばさん)「順伊おばさんは1カ月半前に死んだのではなくて、すでに30年前のその日、その畑で死んだのではないかと。」(順伊おばさん)

心ならずも虐殺側に加担した人も少なからずいました。
「おのれの潔白を強弁するために過剰行動から過剰忠誠を示した人たちが少なくなかったのは、悲しいことだった。」(道)
そして心に痛みを残しました。
「私は罪深い人間ですだ。これをご覧下さい。この骨だけ残った躯、罪の代わりに天罰が当たったもんです」(道)

そして真実を明らかにしたいという意思も脈々と保持されてきました。
「かえって忘れはすまいかと気を配り、祭祀の日ごとに集まり寄って話を交わし、当時のことを記憶にとどめておくのだった。」(順伊おばさん)
「二度とこんなことが起らんように警鐘を鳴らす意味からでも、かならず明らかにせねばなりません。」(順伊おばさん)
「怯えるのではなく、炎のように怒り、そして恐ろしく憎悪せねばならない。」(海龍の話)

その意思が軍事独裁政権打倒民主化の大きな推進力になりました。

21世紀ではこれ以上の虐殺事件を起こさせないために、この本を一読されることをお勧めします。


2009年11月15日日曜日

沖縄辺野古と韓国済州カンジョン村の基地反対闘争を連帯して支援しよう




済州島カンジョン村の家々には黄色の旗がはためいている。海上海軍基地反対の運動である。
韓国政府は海岸を埋め立てて海上海軍基地をつくる計画である。中国をけん制するために基地が必要というのである。韓国の基地は無条件で米軍が使用できることになっている。ミサイル防衛システムを搭載したイージス艦を配備しようというのである。

住民の94%が基地反対である。その家々に黄色の旗がはためいている。賛成派は淋しく韓国国旗大極旗をだしている。

生物保存地域の海岸をうめたてることに絶対反対。美しい海を守れ。
漁業が生活の場所である。一時金では生活が守れない。
海が破壊されれば、住民がばらばらになり地域の共同体が壊される。
国を守るのにここに基地はいらない。半島にある基地で十分である。
済州島は平和の島である。
というのが彼らの主張である。

反対派の住民は海岸で美術作品を展示し、堤防の道にも絵を描いている。そして昼間から、海からとった新鮮な魚の刺身と酒を飲んでいる。
私はその魚とマッコリをごちそうになり、漢拏山(ハルラサン)から湧き出る伏流水を波打ちぎわで飲んだ。このおいしさを基地公害でけがしてはならないと思った。

帰りにはミカンをたくさんいただいた。
帰り道アイスクリームを買ったが、大極旗の店はさけて黄色い旗の店にした。

美しい海、魚、サンゴ、そして岩礁。おいしい水。やさしい人々。
カンジョン村の光景は沖縄辺野古で見た光景と全く同じである。

同じ東アジアにあるカンジョン村と辺野古、韓国と日本。連帯して基地に反対し平和な東アジアをつくりましょう。

適切な確定した名前のない事件「済州島4・3事件」

済州島を訪問して4・3平和財団の方の話を伺った。
いわゆる「済州島4・3」事件は3万人もの人が虐殺された大事件であるにもかかわらず適切なただしい名前のない事件とみなされているとのことである。
韓国では軍事独裁政権が続き事件は、言ってはいけない、 言えない歴史とされてきた。ようやく87年に民主化が実現し済州の歴史の真実を明らかにする作業が続けられている。

事件に関する名称をGoogleで検索してみると以下の結果になった。
 済州島4・3事件 114,000
 済州島43虐殺  23,100
 済州島43大虐殺 11.900
 済州島43民衆抗争 6,140
 43武装闘争      802
 Jeju massacre       6,280
  Jeju uprising         460

現在のところ済州島4・3事件が圧倒的に多いが、いろんな名称がつかわれていることがわかる。

韓国では単に「済州4・3」というような呼び方をしている。しかし4・3事件という名前では事件の全貌を表せない。いまのところ適切な名前のない事件、これが済州島4・3事件である。
正しい名前がなければこの事件は終結したとは言えない。

事件を 共産主義者の引き起こした暴動という見方がある。しかし殺害されたのは武装左翼と言う意見は、犠牲者の30%以上が老人子ども婦人であり。 その意見は成り立たない。

一方「4・3」は、済州島の民衆が祖国の統一と民主化のために闘った抗争である。4・3民衆抗争であるという見方もある。済州島では済州島4・3民衆抗争という民衆の運動を意味する呼び名がいいという意見も聞いた。
しかし抗争というのも犠牲者がすべて運動の参加者ではないので、済州43事件が適当という意見もあった。

討伐の強化、焦土化、死の島、島全体が巨大な監獄と化し、生まれただけで、住んでいるだけで迫害の対象となり3万人が虐殺されたのがこの事件である。
 
03年大韓民国大統領 盧武鉉は済州島民への公式謝罪の言葉で次のように述べた
「私は、今こそ、解放直後の政府樹立過程で発生したこの不幸な事件の歴史的な終結を果たさなければならないと考えます。 済州島で19473月1日を起点として194843日に起きた南労党済州島党の武装蜂起、そして1954921日まで続いた武力衝突や鎮圧過程で、多くの人々が無辜な犠牲を被りました。」
 
 事件の発端に南北分断の固定化に反対する済州島民の運動があることは明らかだが、事件の本質は国家によって「多くの人々が無辜な犠牲」者をつくった虐殺にある。
私はこの事件を済州島4・3虐殺と呼ぶのが適当と考える。

事件の適切な名前が確定することを期待する。

「済州島4・3事件」の現場に立って



09116日より韓国済州を訪問した。
ほぼ満席のKALはチェジュ空港に着いた。この空港そのものが事件の現場で大勢の市民の遺骨がここから出た話を後から知った。韓国一のリゾート、済州の表玄関済州空港が忌まわしい虐殺事件の現場の一つであった知る人は多くない。

これまでハルピン・光州・南京と一般民衆が人権を無視され殺害された現場に立ってきた。済州を訪れたのも、いわゆる「済州4・3事件」現場に立つことにより、活字から得た知識を越えた現場のインパクトを全身に浴びて自分自身が平和と人権を守りぬく生き方をする決意を固めなおしたいと思ったからである。

「済州島43事件」とは「4843日、済州島で民衆が蜂起、半島南部の単独選挙反対を訴えたが、軍や警察に鎮圧された事件。815日に韓国、99日に北朝鮮が成立し南北対立が激化。韓国軍は島で焦土化作戦を進め民間人虐殺が相次いだ。犠牲者は3万人ともいわれる。」( 2008-03-29 朝日新聞 夕刊 2社会 )「弾圧は、李承晩政権下で54年まで続いた。事件は長くタブー視されたが、98年に就任した金大中大統領(当時)が真相究明に着手。0310月、盧武鉉大統領()が初めて国の責任を認め、島民に謝罪した。」( 2008-04-02 朝日新聞 夕刊 1総合 )事件である。

20033月韓国政府の済州島四・三事件真相調査報告書は事件の原因と責任を以下の様に断定している。
1948年の済州島では、国際法が要求する文明社会の基本原則が無視された。特に法を守らなければならない国家公権力が法を犯し、民間人を殺傷した。討伐隊が裁判手続きなく非武装の民間人を殺傷した点、特に子供や老人までをも殺害した点は、重大な人権蹂躙であり過誤である。結論として、済州島は冷戦の最大の犠牲となったと判断できる。」

この事件は長く続いた韓国の軍事独裁政権下では封印され口にもできない状態であったが、韓国が民主化された87年以降真相の解明が進められた。

済州4・3平和公園に行った。公園には083月に開館した4・3平和記念館・慰霊塔・位牌奉安所・行方不明者標石などがあった。
また1950年朝鮮戦争勃発時に、4・3事件でかかわったものを予防拘束 法的手続きによらず銃殺、6年間放置された132人の遺骨が発掘された旧日本軍空港遺跡(現済州空港とは別)を見た。大半の村民が虐殺され廃墟となった村130か所のうちの1つソギポ市のヨンナム村にも行った。 
済州では日本による直接の関与はないが、日本帝国主義敗北後の戦後の米ソによる南北分断が背景にある。日本の朝鮮植民地化からの流れの中で起こった事件である。

 ハルピン・光州・南京・済州どこも同じである。虐殺された民衆の墓碑、墓碑、墓碑である。涙、涙、涙である。どうして人間がこのようなことを一般市民にできたのか、暗い気持ちになった。しかし歴史の事実である。

いかなる状況でもたとえ戦時下でも、いかなる地域でも一般市民の基本的人権に対する侵害を許さない生き方をしたい。
そしていかなる大義名分があろうとも、どのような合法的な命令や強制を受けようとも一般民衆の殺戮に参加しない決意をしたい。

200310月盧武鉉大統領(当時)は済州島民への公式謝罪として次のように述べている。
「いま私たちは、四・三事件の貴重な教訓をいっそう昇華させ、『平和と人権』という人類普遍の価値を広めなければなりません。和解と協力で、この地上からすべての対立と分裂を終息させ、韓半島の平和、さらには東北アジアと世界平和の道を開いていかなければなりません。」

10月8日夕刻、雨に煙る漢拏山(ハルラサン)を見ながら済州を後にした。


2009年11月12日木曜日

小児の新型インフルエンザワクチン接種は集団接種方式で

季節性インフルエンザワクチン接種が一山越えてきた。
今月中には供給されたワクチンの接種が完了する。
いまでも電話での問い合わせが多い。
今年は例年の75%の供給なので、接種対象者を65歳以上の方と医師が必要と認める人に限定して接種した。
65歳以上の方では、昨年まではワクチン接種してこなかった人が今年接種されるケースが増えた。
新型インフルエンザの流行でワクチン接種への関心が高まったことの反映であろう。

これからはいよいよ新型インフルエンザワクチン接種である。
しかし現在の時点ではワクチンがどれぐらい供給されるか皆目わからない状態である。
新聞報道と現場への供給の実態との乖離がある。
自治体のホームページでワクチン実施機関が公表されているので、当院にも問い合わせが殺到している。
しかしワクチン供給のめどが立たないので接種の予約をとることができない。
予約窓口は閉鎖したままである。

当院ではようやくかかりつけの患者で最優先接種対象の方のリストアップを開始している。
ワクチン供給が開始されれば最優先対象の方に直接連絡をさしあげ予約をとる計画だ。
政府の提示するスケジュールで実施できるか不安である。

持病を持たない小児を含めた小児のワクチン接種の前倒し実施が決定されている。
小児の罹患が圧倒的に多いので当然のことである。
新型インフルエンザへの不安が強いので、季節性ワクチンよりかなり多い方が接種を希望されると思われる。
第一線の医療機関のみでそれがやりきれるか疑問である。
すでに現場では発病した患者が殺到している。
それに対応することに忙殺されている。
それに加えてこれまで経験のないワクチンの多数接種をやるのは困難である。
もちろん患者とワクチン接種希望者が接触する機会を作っては絶対にいけない。
これでは希望してもワクチン接種をしてもらえない子供が続出すると予想される。
従前の保健所・幼稚園・学校その他で行う集団接種でしか短時間に多数の方に接種することはできない。

もちろん強制接種ではなく、任意接種の原則は守ることが前提である。

新聞報道によれば政府は小児を除き一回接種の方針をようやく固めた。
ワクチン接種方法も現場の意見をよく聞いて決断されることを希望する。
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2009年11月5日木曜日

新型インフルエンザワクチン接種開始にあたり医療機関は困惑している

1114日から接種が開始される。
自治体のホームページで実施医療機関の名前が公表されて以降私の勤務するクリニックにも問い合わせの電話が殺到している。
市民の中にある種のパニックが起こりつつある。

日常の診療に加えて来院するインフルエンザ患者の診療、季節性インフルエンザワクチンの接種でてんやわんやである上の新型インフルエンザワクチン接種である。
医療機関はすでに疲労困憊している。
しかしワクチン接種は国民的課題であるので、なんとか対応したいと決意を固めている。

新型インフルエンザワクチン接種に際して次のような点で困惑している。

まずワクチンがどんなテンポでそのような数供給されるかが今もってわからない点である。
1019日から医療従事者の接種が始まったことになっているが、供給が少なくほとんど接種できていない状況である。
供給量がわからなければ接種の予約の取りようがない。
当院でも予約をまだ取っていない。

次に優先接種対象から接種するとなっているが、その優先接種対象者を選びだす作業が非常に大変である。
優先接種対象者の基準が細かく決められている。
また優先対象者も最優先とその他の二群に分けるべしとのことでなおさら大変である。
しかしその基準を患者さんが知るはずもなく医療機関が選別し患者さんに知らせられなければならない。
現在の外来終了は長い場合は2カ月から3カ月に一回のペースで行われていることが多い。
患者さんに連絡をとるのも労力がいる。
その上でワクチン接種の予約をとることになる。

さらにワクチン接種は通常の診療+インフルエンザ患者診療と別に時間を割いて行う必要がある。
とくにワクチンは2回接種との方針がとられておりワクチン接種をやりきるためには大変な労力と時間が必要になる。
医療現場が崩壊することを危惧する。

医療機関の負担を軽減する方策を立案されることを希望する。
ワクチン供給の計画を早く明示する。
接種対象者をあまり細かくわけない。
接種場所を医療機関に限定せず、保健所・学校・職場での集団接種、献血のように繁華街でもするなどの工夫が望まれる。

新型インフルエンザ対策は国民的課題である。
各自がもてる能力を発揮して力を合わせて乗り切りたい。

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2009年11月2日月曜日

2010年5月ニューヨークの国際平和会議・国際行動デーに参加します

2010年5月1日、ニューヨークで開催される国際平和会議、5月2日、ニューヨークと世界各地での核兵器のない世界のための国際行動デーが行われます。
そして同時に開催されるNPT(核兵器の不拡散に関する条約)再検討会議へ核廃絶署名を提出します。
世界各地で署名活動と代表派遣の準備が行われています。
日本からも数千人の代表が参加する予定です。
私も参加します。

核廃絶は人類の共通の願いです。

しかしながら核保有国は減少するどころか、増加しています。
核戦争の危機は今そこにあります。
これまでアメリカなどの核超大国は核廃絶を願う人々の声に背を向けてきました。
それがようやく今年、アメリカのオバマ大統領が、ロシアのメドベージェフ大統領とともに核兵器の地球的な廃絶を約束するようになりました。
核廃絶をめざす世界の運動の成果です。

2010年5月ニューヨークでNPT再検討会議が開催されます。

NPT(核兵器の不拡散に関する条約)は現在190カ国が締結しており。
非核兵器の核開発禁止と核保有国の核軍縮義務を定めています。
そして5年ごとに締結国が参加してその内容の見直し会議が開かれます。2010年がその年です。私たちはこのNPT再検討会議で期日を定めた核兵器の廃絶条約の交渉を開始する、いかなるあいまいさもない約束をおこなうよう要求しています。


皆の力で核廃絶を実現しましょう。


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2009年10月31日土曜日

新型インフルエンザワクチンの購入価格

新型インフルエンザワクチンの接種が始まっている。
ワクチン接種に公的負担がなく、一回当りの接種費用が3000円を超えており広くワクチンを普及する障害になっている。

10月14日付けで厚生労働省新型インフルエンザ対策推進本部より日本医師会経由で各医療機関にワクチン購入価格の指示がだされた。
それによると、1mlバイアル(2回接種分) ワクチン本体1,725円+流通経費(販社→卸)644円+流通経費(卸→医療機関)428円+消費税139円=2936円である。
一回分はその半額だ。

価格は医療機関の交渉の余地はなく厚生労働省の公定価格である。
そして接種費用も公定価格である。
医療業界でも珍しい事態だ。

この購入価格が正当なものであるかどうかの吟味が必要だ。
諸外国のワクチン購入価格がいくらか知りたい。
報道機関、研究者、政治家の調査を期待する。

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2009年10月25日日曜日

医療従事者用新型インフルエンザワクチンが来ない

「先生はもう新型インフルエンザワクチンをうたれたのでしょう」と患者さんに言われました。
「いやー、ワクチンが来ないのです。私もいつうてるかわかりません」
昨日の診察室の会話です。

新型インフルエンザのワクチンは19日には来るには来たのですが、6人分しか来ませんでした。
当クリニックには医師が6人、看護師が15人働いています。
これでは足りません。
事前の医師会から調査で必要本数を申請していたのですが6人分しか来ませんでした。
医師会は診療所の平均は6人だから、一律6人分配分したとのことです。
何のために事前調査をしたのでしょう。
当院ではまず6人分を一番リスクの高い小児科の医師と看護婦に接種しました。
残りの医師看護婦のワクチン接種のめどは立っていません。

当クリニックが所属する法人の透析クリニックでも6人分しか提供されませんでした。
これではリスクの高い透析患者に身近で接触するスタッフが感染して患者を感染させる可能性が残ります。

次のワクチン配分は11月中旬のハイリスク患者と妊婦対象のものになるようです。
これも必要本数の見込みを医師会に報告しましたが、一律何人分供給と今回と同じようになるのではないかと心配しています。
そうなれば混乱が起こることは必至です。

これまで経験したことのない事態ですから不十分のことが起こることは十分に理解できます。
しかし不十分点は早く是正されるべきです。
医療機関へのワクチン供給は診療実態に見合ったものに是正されることを要望します。

JR福知山線事故の真の原因がここに「電車運転士の労働と眠気」(重田博正著)

JR西日本と国土交通省航空・鉄道事故調査委員会(現・運輸安全委員会)委員の調査情報漏洩が明らかになった。
JR西日本が福知山線事故に真摯に向き合い、被害者に謝罪と事故原因の究明そして再発防止をする資質を持っているのかについて疑念が広がっている。
そして事故調査委員会が作成した調査報告書に対しても不信が生まれている。

そんな今、097月に出版された重田博正著「電車運転手の労働と眠気」(文理閣)を多くの方が読まれること推奨する。http://www.amazon.co.jp/電車運転士の労働と眠気―JR福知山線事故が提起する安全の条件-はたらく人々のいのちと健康-重田-博正/dp/4892595977/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1256464572&sr=8-1

重田は大阪民医連社会学研究所の主任研究員で事故直後の0511月~12月に実施した国労近畿地本所属の労働者63名の勤務中の眠気調査を行った。
本書はその調査をもとに書かれている。

調査の結果は以下の様である。
最近一カ月の乗務中の眠気
ほぼ毎日 22% 週23回 27% 週1回 21% 月23回 21% ない 2%
過去1年、眠気によるミス・ヒアリハット
あり 59% ない 33% 無回答 5
そしてその乗務中の眠気は前野勤務して事業所に泊まり翌朝勤務する、明け勤務に集中している。
夜間勤務から就床まで30分未満が最多
睡眠時間は4時間台が最多
起床から明け勤務開始までは30分以下が最多

明け勤務の眠気の原因は労働者の生理を無視した労働条件による睡眠不足と断定している。

事故の当事者の運転手も明け勤務で事故を起こしている。
睡眠不足の状態で伊丹駅でのオーバーランを起こし、処分を怖れパニック状態になり事故へ突入したと思われる。

重田は利益至上主義のJR西日本の労働条件による多発する眠気が事故を引き起こしたと断じている。

重田は乗務中に列車運転手が眠気を感じる労働条件を改善しなければ、再び事故は起こる可能性がある。
国による列車運転手の労働時間規制を行う必要があると提言している。

あなたの乗っている列車の運転手は運転中に眠気を感じながら運転しているかもしれない。
ぜひ読まれたい。

日米安保条約の要否を議論する時が来た

沖縄の普天間基地の移設問題で、民主党政権が右往左往している。
首相が県外移設を口にした直後に岡田外務大臣が「県外移設はない」「嘉手納基地への移設を検討中」と発言した。
背景には相次いで来日したアメリカの国防長官・統合参謀本部議長の「県外移設はない」「辺野古沖への早期の移設実現を」との要求がある。

政権発足時の民主・社民・国民の三党合意では、
「主体的な外交戦略を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくる。日米協力の推進によって未来志向の関係を築くことで、より強固な相互の信頼を醸成しつつ、沖縄県民の負担軽減の観点から、日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。」としている。
日米同盟の枠内で沖縄県民の負担軽減の観点から米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直そうというのである。
日米同盟の枠内ではその合意が守れない事態になっている。

統合参謀本部議長は「日米合意の履行が遅れれば日本の防衛だけでなく、アジア太平洋地域の安定にも死活的影響が生じる」と鳩山政権と日本国民に脅かしとしかとれないスピーチを残している。

「死活的影響」を誰が誰にどの様に与えるのか。
沖縄県民に過酷な基地負担を強いてまで米軍基地を維持する必要があるのか。
そして自民党政権下で維持されてきた日米安保条約がこれからも必要か。
これらを議論する時が来た。

「普天間基地撤去問題が解決しなければ、日本国民は日米安保条約廃棄の選択を検討する」とのメッセージを明確にアメリカに発信したい。
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2009年10月19日月曜日

新型インフルエンザワクチン 米英仏独無料

日本では新型インフルエンザワクチンの接種が始まりましたが原則自己負担となっています。
欧米の状況を共産党の小池晃議員の事務所を通じて厚労省に問い合わせました。
米英仏独の各大使館の専門職員から以下の回答が寄せられました。

アメリカ
ワクチン代:無料
接種費用:未定
・民間医療保険:保険内容による
・公的保険(高齢者および低所得者):接種費用もカバーする予定
※保健当局が実施する場合は無料の予定

イギリス
優先して接種すべき対象者は、無料
(医療福祉従事者、基礎疾患を有する者、妊婦等)

フランス
ワクチン代:無料
接種費用:未定
※財源:
・ワクチン代:国と疾病金庫で折半(保健省発表)
・接種費用:未定
ドイツ
無料
※財源:
・基本的には医療保険者が負担
・接種対象者が被保険者の5割を超えた場合は、超えた費用を州が負担(調整中)

日本では当たり前のように3000円から6000円の費用を徴収しているが、世界の動きとかけ離れていることがよくわかります。
今からでも遅くありません。
ワクチン接種に公的補助を行ってください。

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2009年10月18日日曜日

強いられた死を拒否しよう


日本では自殺者が急増しています。
今年は4万人を超える見込みです。
17か月にわたり戦われた日露戦争では88千人が戦死しました。
それと同規模の死者数です。
大阪では毎日5人から7人の方が自殺しています。
異常な事態です。

自営業者の方は3200人(20年)自殺しています。
私が診察室で業者の方から話を聞いて驚くのは、みんな労働基準法とは無関係に必死の長時間過密労働をされていることです。
従業員の給料を払い続けるため、資金を返済するために必死で働いています。
しかしこの弱音を吐かずがんばることが問題なようです。

私も「このまま死んだら楽になる」、ホームに入って来る電車を見てそう思ったことがあります。
研修医時代二日続きの徹夜の泊まり込みの後、家に帰る地下鉄のホームでした。あまりに疲れたからです。

無理な働き方は今の社会のシステムから強いられたものです。
無理な働き方が自殺を引き起こすのです。
斎藤貴男は自殺を自ら選ぶ死ではなく「強いられた死」と呼んでいます。
利潤のためには人を死に追いやっても意に介さない市場原理主義がその元凶です。
そして弱音を吐けないのは「自己責任論」にマインドコントロールされているからです。

「助けてほしい」と声を上げること。
そして助けを求める声には援助の手を差し伸べること
それが必要です。
力を合わせて人に死を強いる社会システムを変えていきましょう。

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2009年10月17日土曜日

大阪府庁のWTC移転を熱望する橋下知事への提案


橋下大阪府知事殿

WTCへの大阪府庁の移転を熱望されていると聞きました。
わたしは府庁が古より大阪の行政の中心であった上町台地から離れることの意義をまったく感じません。
府庁だけが移転し、府警本部や政府関係の事務所が残ることは行政の効率を落とすことになります。
特に咲洲に移転することは府民のアクセスも悪く、災害時に孤立する可能性が大で止めるべきです。
知事がどうしても、咲洲移転を実施したいなら、以下の点を準備されることを提案します。

1、震災・津波時は咲洲への自動車交通は遮断される可能性が大です。
その際は、知事を含めた大阪府職員は液状化した道路を自転車を押して通行し、ある場合は大阪湾を泳いでわたる必要があります。
エレベーターが故障したWTC内の高層フロワーへの階段を駆け上がる必要があります。
知事を先頭に全府職員がスイム・バイク・ランのトライアスロントレーニングを始めてください。
毎日ドリンク剤を飲んでTVコマーシャルのように頑張れるようになってください。

2、咲洲・WTCは孤立する可能性があります。
府民を救援するどころか咲洲の知事・職員を救援する必要が出てくると思われます。
府民はそんな所に移転して災害にあったのは自己責任だとして、知事や府の職員を見捨てることはありません。
しかし、優先の救援対象にはなりません。
交通が途絶した中では救援は簡単に進みません。
救援物資が届くまでの食料・水を備蓄してください。
しばらくの間の耐乏生活を覚悟してください。
橋下知事は月に1回は一日カンパンと水で暮らす練習をしてください。

3、震災時は咲洲府庁では救援活動の指揮をすることは困難になります。
災害対策計画を改定して仮設府庁舎をどこに建てるか検討し予算と資材を今から確保してください。
私は地盤のしっかりした大手前公園に仮設府庁を開設するのがいいと考えます。
仮設開設の際は先住の方々に「これまでは失礼しました」とちゃんとあいさつしてください。

本当に心配しています。
真顔で提案します。

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大阪府庁はWTC移転では防災拠点としての役割ははたせなくなる


府議会では大阪府庁のWTC移転問題が再度議論されている。
2月の府議会で否決されたのにもかかわらず、防災課題が解決されたと再度橋下知事が議会に移転案を提案している。
8月に出された大阪府大阪市連名の「咲洲の防災機能に関する検討報告書」が提案の根拠になっている。
それの内容を吟味し防災上の課題が解決されたのか見てみたい。

報告書は「大阪府庁の WTCビルへの移転検討にあたり、この地において大阪府の防災拠点として必要となる体制を確保できるかが、大きな検討課題である。庁舎となる WTCビルが防災拠点としての性能を有していることはもちろんであるが、大阪府の防災体制を構築し、災害時の最優先業務を遂行する上で、必要となる大阪府職員の WTCビルへの参集が可能であることが大前提となる。」と課題を設定している。
そしてその前提として「大規模地震発生時には、公共交通機関の運行が停止し、自動車交通の運行に支障を来たしていることが予想されることから、徒歩や自転車による参集を前提にした検討を進める。」としている。
咲洲の府庁舎には車で参集することができないことが前提になっている。
阪神大震災の救援活動は私も医療支援に参加したが、主に自動車で人も物資も運んだことを覚えている。
しかし咲洲の大阪府庁舎は自動車交通から遮断されるというのが前提である。


検討の詳細を見ると、咲洲には此花ルート、築港ルート、住之江ルートと阪神高速湾岸線の四つしかない。
これが埋めた地の島の限界で、内陸とは面ではなく線でしかつながっていない。
この四つの線が切れれば孤立するのである。
そして住之江ルート以外は自動車専用道路である。
報告書では此花ルート、築港ルート、住之江ルートのすべてが液状化により自動車が通れなくなる可能性があるとしている。
報告書は阪神高速については検討していないが、高速の道路の危うさは阪神大震災で経験済みである。
自動車は咲洲に行けないし出ることができないと予想されている。

報告書は津波対策や橋の耐震対策を追加ですれば、職員が液状化の道路を自転車で走れないとしても押しては通れるとしている。
もちろん大阪湾を泳いでも咲洲に行くことはできるだろう。
職員がほうほうの体で府庁舎に駆けつけてくれるのはありがたいが、被災地に出動することもできない。
これで防災拠点の役割を果たせるとは思えない。
報告書の結論は論理的に読めば、咲洲は防災拠点としては不適ということになる。
決して防災の課題は解決されたという結論にはならない。

だれも望むことではないがXデーが来た時、孤立した咲洲府庁をみて「誰がこんなところに移転させたのだ」との声が起こることは間違いない。
その時橋下氏はどこにいるのであろうか。
格差社会の現実に小泉氏や竹中氏がそしらぬ顔をしたのをまねるのだろうか。

現在地で耐震工事を含めた改修することと、WTC移転とどちらが府民の利益にかなうかの冷静な議論が必要である。

脅かされようがすかされようが、「府庁WTC移転は間違っている」との声をあげなければならない。
「王様は裸だと」叫ばなければならない。

新型インフルエンザ対策 ペットボトルの回し飲みは絶対にダメ


私の勤務するクリニックのある地域では新型インフルエンザが流行している。
秋祭りの最中の10月4日以降患者が急増してた。
7日ごろからは感染した子供の親の2次感染もみられる。
だんじり祭りで多くの人が長時間密集したことが原因と考えられる。
ペットボトルの回し飲みも原因の一つと思われる。
つばや汗がかかるほど人が密集する行事は注意が必要である。
学校での感染も狭いところで人が密集するバレーやバスケットなどのクラブでの集団感染が多い気がする。

沖縄県医師会の宮里善次理事は「感染者の多くは中高生でクラブ活動のバレーボール、バスケット、野球など汗まみれでのボールのパス、ペットボトルの回し飲みなどを介して接触、飛沫感染が生じたと考えられる。」と報告している。http://blog.m3.com/den/20091004/2

テレビでみるサッカーの試合でもペットボトルの回し飲みをしていた。
この時期、ペットボトルの回し飲みは絶対に避けなければならない。

新型インフルエンザワクチン高額自己負担は世界の非常識

新型インフルエンザの6150円もの自己負担は納得できません。
ハイリスクの方をふくめてワクチン接種がどうして本人負担ですか。
費用負担が原因でインフルエンザワクチンを断念する人が出ます。
これではインフルエンザ対策はうまくいきません。

フランスに住む娘にフランスの事情を聞いてみました。
65歳以上と病人は無料で、それ以外は600円程度の負担でそれも健康保険から償還されるようです。
テレビではアメリカも無料と報道しています。
オーストラリアもイギリスも無料と聞いています。
またまた日本の常識は世界の非常識ということです。

国と地方自治体は少なくとも季節性インフルエンザと同程度の負担軽減策を行うべきです。

新型インフルエンザワクチン接種、従前の季節性インフルエンザと同程度の負担軽減を

新型インフルエンザ接種の基本方針が概要が明らかになった。
10月19日をめどに接種を始め、(1)医療従事者(2)妊婦と基礎疾患のある人(3)1歳~小学校低学年(4)1歳未満の小児らの保護者(5)小学校高学年~高校生と高齢者--の順に進める。
同じ医療機関で2回打った場合、接種費用は計6150円になる。
低所得者(住民税非課税)の人は公費負担があり無料となる。

新型インフルエンザはこの半年で30%以上の人が感染する。
そのうち1ないし5%が入院を要するほど重症化する。
そして0.1%ないし0.5%の人が死亡する。
基礎疾患がない人もふくめウイルス性肺炎や多臓器不全を起こすことがわかってきた。
その予防策として、手洗いなどの飛沫感染予防策とワクチン接種が必要とされている。
また感染を疑った場合は早期に抗インフルエンザ薬を投与することが推奨されている。

その新型インフルエンザに対するワクチン接種がどうして6150円の自己負担なのか。
専門職として第一線で働く医療従事者のワクチン接種の費用は、まさか本人負担ではなく医療機関負担になると思われるが、どうして医療機関負担なのか。
ハイリスクの方をふくめてワクチン接種を希望するのがどうして自己負担なのか。
政府は6150円の自己負担がワクチン接種の障壁にならないと考えているのであろうか。
前政権は景気対策として特別給付金を1万2千円ないし2万円を配ったが、今度はその3割から5割をワクチン代として徴収しようというのである。

もともとインフルエンザは91年から予防接種法で2類疾病と定められ65歳以上の方に接種が推奨され、多くの自治体で公費負担が実施され1000円程度の負担で実施されている。
にもかかわらず、感染力も強く死亡例も多いとされている新型インフルエンザにたいするワクチンでは6150円を徴収しようというのである。
この乖離をどう説明するのか。

新型インフルエンザの6150円もの自己負担は全く同意できない。
費用負担が原因でインフルエンザワクチンを断念する人が出ることは容易に想像できる。
優先接種対象のワクチン接種がすすまず、お金のある優先接種対象外の方に接種することになる。
これではインフルエンザ対策に支障がでる。

宮城県角田市のように一部自治体では独自の助成をする動きがある。
しかし大阪府の橋下知事は低所得者の費用負担で自治体負担が出る可能性があることで政府を批判するが、インフルエンザワクチン接種での住民負担を軽減する方策に言及していない。
彼のいう地方分権の目的が、住民の生活と福祉の向上にあるのではないことが見て取れる。

インフルエンザへの対応は自己責任論ではうまくいかない。
憲法25条は
「1、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」としている。

国と地方自治体は少なくとも従前の季節性インフルエンザと同程度の負担軽減策を行うべきである。

インフルエンザ大流行に備え助け合いのネットワークを

週を追うごとにインフルエンザの患者数が増加している。
毎日の外来でもインフルエンザワクチンについての質問が出されている。
新型インフルエンザの大流行が起こり、来春までに国民の30%が罹患するという可能性が現実的なものに感じられる。

新しい疾患のため、予防法・ワクチンの投与方法・抗ウイルス薬の適応などについて根拠にもとずく方針が確定していない。
例えば感染症学会のタミフル積極投与の方針についても、その論拠の丁寧な開示がないため、どの診療方針をとればいいのか医療関係者に戸惑いがある。

国外の模索についても広く情報を集め診療に生かしていく必要がある。
なかでも、英国が提唱している「フル・フレンド」作りの呼びかけは参考になる。
今回のインフルエンザはほとんどの人は軽症で経過し、1週間ぐらいで回復する。問題は1人が罹患すると1.9人に感染させることである。
それを避けるためにインフルエンザに罹患した人が外出して他人に接触することがないように、医薬品・食糧・生活必要品を調達する「フル・フレンド」のネットワークを作ろうというものである。
もちろん家族でもかまわない。
インフルエンザの診断も軽症であれば、医師に受診することなくネットで問診票に回答すれば、処方箋番号が入手でき、「フル・フレンド」が代理で薬の配布ポイントで抗ウイルス薬を受け取ることができる。
詳細は英国保健省のHP(http://www.direct.gov.uk/en/groups/dg_digitalassets/@dg/@en/documents/digitalasset/dg_178842.htm)を参照されたい。
実施後のメリット・デメリットについて知りたい。

日本では単独所帯が増加している。
その人々もインフルエンザに罹患する。
治療も受けられない、食事もできない、むざむざ孤独死する事態を起こしてはならない。
その人たちを支援する「フル・フレンド」のネットワークを急いで構築する必要がある。
ワクチンや治療薬やマスクだけに頼らず、インフルエンザに対処するあらゆる知恵に学んで、この難局を乗り越えたい。

新型インフルエンザ対策に関する厚労省と感染症学会の見解の違い

新型インフルエンザは感染の急増期を目前に控え臨床現場に緊張が高まっている。
15日感染症学会の「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」第2版が発表された。
その中で新型インフルエンザS-OIVは「弱毒」ではないそして抗インフルエンザ薬で早期から積極的に治療すべきだと提起された。
臨床現場ではこの提言にそって診療を進めることになる。

しかし感染症学会の提言はこれまでの厚生労働省の見解と異なる点がある。
早急に政府と学会の見解の一致をはかるとともに、実行可能な条件整備が必要である。

これまでの厚労省の見解では重症化する可能性のある人は、妊婦と小児そして呼吸・心・腎・糖尿・免疫不全の基礎疾患のある人とされている。
しかし国内外の知見では基礎疾患のない人の死亡例が出ている。
その点を踏まえ感染症学会では新型インフルエンザと臨床的に診断した場合は「ハイリスク」の人に限らず早期に抗インフルエンザ薬を投与すべきとの見解を表明した。

3日付、厚生労働省のインターネットテレビに「新型インフルエンザあなたの?に答えます」(受診と療養編)によると、「(ハイリスクの方以外は)症状が比較的軽く自宅で常備薬で療養できる方は病院に行く必要はありません」としている。
感染症学会見解と明らかに異なるものである。
基礎疾患がなくてインフルエンザ様症状を呈した人はどうすればいいのか、厚労省は改めて方針提起を行う必要がある。

またもし感染症学会見解が全面的に実施されれば医療機関の抗インフルエンザ薬はたちまち底をつく。
国が備蓄している薬剤の放出の計画を明らかにしてほしい。

そして早期治療を求めて患者が第一線医療機関に殺到して医療機関はパンクすることが予想される。
イギリスではインターネットでの問診だけ受診なしで抗インフルエンザ薬を処方するシステムを動かして成果をあげたと報道されている。
その経験も参考に日本で実施可能な大量の患者の早期受診・治療を確保するためのシステムが求められる。

新型インフルエンザ対策はこれまで経験しなかった事態である。
臨床現場と学会と行政が協力し合って市民を守らなければならない。
ともにベストを尽くしましょう。

感染症学会のタミフル積極使用方針について

感染症学会から「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」第2版と「新型インフルエンザ 診療ガイドライン (第1版)」が発表された。
インフルエンザを疑った場合にタミフルやリレンザなどの抗ウイルス薬を積極的に投与するべきと明言している。
臨床現場ではいくつかの疑問・不安を持ちながら「診療ガイドライン」にそって診療をはじめている。

提言は「2009年8月21日にWHOから新型インフルエンザの治療ガイドライン10)が発表されました。
そこには、軽症の若年者や健常成人ではオセルタミビル(製品名:タミフル)やザナミビル(同:リレンザ)等の抗インフルエンザ薬の投与は必ずしも必要ではない、と記載されています。先述の「弱毒」見解と相俟ってわが国でも「抗インフルエンザ薬の投与は必ずしも必要ではない」とする意見が散見されます。しかし、これは危険です。」と断言している。
本当にそうなのかとの疑問がある。

本ガイドラインが他の種々ある診療ガイドラインと異なり複数の臨床研究総括から科学的根拠をもって作成されたものではない。今進行しているアウトブレイクの最中のガイドラインだから仕方がないと考えるが、他のガイドライン以上に科学的根拠を積み重ね検証していく必要がある。

一般論では「診療ガイドライン」は医師の個々の診療を拘束するものではない。
しかし患者にガイドラインの内容を十分に説明したうえでガイドラインに準拠するのか否かの診療方針を患者に提示する義務がそれぞれの主治医にある。

ほとんどの日本の医師はガイドラインにそって抗インフルエンザ薬を積極的に使用することになる。
感冒でも念のためにと投与する乱用や、従前から問題になっている異常行動などの副作用も警戒していく必要がある。

臨床現場では抗インフルエンザ薬がたちまち払底することになる。
政府は公的備蓄放出の方針を直ちに明らかにしてほしい。
備蓄の少ない外国に対する援助も実行してほしい。

日本政府はインフルエンザ対策で国際貢献の立場を明確にしなければならない

インフルエンザワクチンの話題でもちきりだ。
来る患者来る患者がその話題を出される。
「自分はうってもらえるのか」「いつうてるのですか」と。

必要数がたりない国の基準に従い優先順位を決めてうつことになるとの説明をしている。
これまで日本の医療では医学的適応と患者の意向により医療行為を選択してきた。
しかし今回は、資材の量に従い対象を選択することになってしまった。
選択の基準は重症化するリスクの高い方から順番にということだ。船が沈没しかかっている時に救命ボートの数が足りないから成人男子は船に残り、自力で命を守れというやつである。
しかたがないといえばしかたがない。

国内のワクチン不足対策として日本は外国から輸入をして接種を行おうとしている。
待ち望んでいる国民を多い。
もっと早く輸入ができないのかとの意見もある。

しかし、ワクチンの自国生産も、輸入もできない国の国民はどうなるのだろうか。
ハイリスク方優先との見解は是認するとして、全世界のハイリスク者にワクチンを接種することが緊急の課題である。
ワクチン入手困難の国ほど保健医療体制が不十分でより重症化するリスクが高いと考えられる。
世界的な視野でワクチン接種の方針を実行する必要がある。お金のある国がお金にあかしてワクチンを買いあさるのは21世紀にはふさわしくない。
たとえば外国かららワクチンを購入するなら、その半分をWHOに寄付し困難な国の国民支援にあてることが必要だ。
日本政府はインフルエンザ対策で国際貢献の立場を明確にしなければならない。

日本国憲法前文には次のように記されている。
「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。 
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。」

ワクチンが足りない

ワクチンが足りない。
今週の始めから肺炎球菌ワクチンの在庫がなくなった。
卸に連絡をとっても今月は数本しか納入できないとのことである。

7月以来、インフルエンザ感染時の肺炎合併 予防のために肺炎球菌ワクチンの接種呼びかけてきた。
8月には約50名の方に接種した。
9月には200名ぐらいの人に接種しようと意気込んでいた矢先の品切れである。
1-2か月に一回の定期の受診で来院された患者さんも、「今日はワクチンをうってもらうつもりで来たのに残念だ。前回の受診時にうっておけばよかった。いつ頃になったらうつことができますか」と言われる。
「製薬会社の話ではいつ頃とは言えない状況です」と答えるしかない。

このワクチンは国内産ではなくアメリカからの輸入にたよっている。
5月来の新型インフルエンザ対策で日本国内の需要が急増し供給が追いつかなくなってしまった。
10月には新たな入荷があるようだが末端の医療機関にはどの程度来るかわからない。
アメリカでは国内用に備蓄の体制に入っており、輸出量に影響が出ているようである。

肺炎球菌ワクチンだけではなく、季節性インフルエンザ・新型インフルエンザワクチンも供給が不足するといわれている。
診察室で患者さんは、「ワクチン接種はいつからです。自分はうってもらえるのですか。」と不安を述べられている。

国民に安全・安心を保障するためにも肺炎球菌ワクチンのように高齢者への接種が世界標準になっているワクチンは公的責任で確保し希望者全員に公費で接種できるようにする責任が国にあると考える。
厚生労働省の奮闘に期待する。

憲法を護るために民主党を一人勝ちさせてはならない

10年5月より改憲原案の提出・審議が解禁になる。今回の衆議院選挙で選ばれる新議員は憲法改正にかかわる可能性がある。

日本国憲法第96条は憲法改正にについて、「この憲法の改正は、各議院の総議員の3分2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。」

社会保障政策だけでなく新国会が憲法問題でどのような議員構成になるか注意してみておく必要がある。
少なく見ても改憲に反対する国民は50%前後いる。
各論の政策に幻惑されてむざむざ改憲賛成の議員に3分2以上の議席を占めさせてはならない。

2007年8月7日づけ『朝日新聞』は「参院「改憲派」、3分の2を割る」と報道している。
「7日召集の臨時国会に登院する参院選の当選者のうち憲法改正に賛成なのは48%と半数を割っていることが、朝日新聞社と東京大学の共同調査で明らかになった。非改選を合わせた新勢力でも53%。政治家の意識を調べるこうした共同調査は03年の衆院選以降、国政選挙のたびに実施してきたが、改憲賛成派が憲法改正の発議に必要な3分の2を割り込んだのは初めて。」
「今回の当選者では、憲法を「改正すべきだ」と「どちらかと言えば改正すべきだ」を合わせた改憲賛成派は48%。「改正すべきではない」「どちらかと言えば改正すべきではない」の改憲反対派は31%だった。」
「政党別では改憲賛成派は自民(91%)、公明(67%)、国民新(100%)の3党で多数を占めた。これに対し、民主では改憲賛成派の29%を改憲反対派の41%が上回った。共産、社民、1人当選の新党日本の各党では全員が「改正すべきではない」と回答した。」
その要因は改憲賛成派が9割前後だった自民の大敗が影響したこと。
そして民主はこれまでの調査では衆参を問わず6、7割の議員が改憲賛成派だったが、今回の参議院選挙で改憲賛成派が初めて4割を割ったことを挙げている。

弱者切り捨ての政治を転換するために政権交代が必要なことはあきらかだ。
しかし政権を担うと予想される民主党の憲法に対する政策に注意する必要がある。

4年前の05年衆議院選挙のマニフェストでは民主党は、憲法問題をトップに掲げ、改憲を推進する・そのための国民合意をとる・国会議員の3分2以上の合意を達成するとしていた。
しかし07年参議院選挙・今回の衆議院選挙ではマニフェストの最後に憲法問題に言及している。
「民主党は2005年秋にまとめた「憲法提言」をもとに、今後も国民の皆さんと自由闊達な憲法論議を各地で行い、国民の多くの皆さんが改正を求め、しかも国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます。」
憲法改正へ積極的に国民合意をとる立場からトーンダウンし、国民の意見の動向を窺うという政党としては奇妙な立場を表明している。
政策が変わることは必ずしも悪いことではない。
しかしどういう理由で変えたのかを民主党は明らかにする必要がある。

先の朝日の調査でも明らかなように民主党には顕在・潜在の改憲推進派が多数いる。
見落としてはならないないのは鳩山由紀夫氏は改憲を目的とする超党派の議員連盟、新憲法制定議員同盟の顧問であり、前原誠司氏は副会長である事実である。
鳩山氏は新首相に就任された場合、今回のマニフェストに鑑み新憲法制定議員同盟を脱退される意思はあるか、そして任期中は憲法改正の発議をしないことを明らかにしてほしい。

護憲の立場に立つ皆さん
我々は国民の約半数を占めている。
07年参議院選挙に引き続き衆議院でも改憲派を3分の2以下を実現しよう。
政権交代を期待しても改憲推進派の候補には一票も投じてはならない。
議席を与えてはならない。
政策が揺れている民主党を一人勝ちさせるのではなく、護憲の立場が明確な共産党・社民党の議席を増やそう。
これがこの選挙の大きなテーマである。

選挙に行って医療崩壊を阻止しよう

マニフェスト選挙という呼び声がある。
議論は政権与党が4年前の選挙で公約したマニフェストをどれだけ実現し、その結果がどうなったかを評価することから始まる。
それなしには百万遍、今後のマニフェストを語ろうとだれも耳を貸さない。

四年前の選挙は忘れもしない「郵政選挙」であった。小泉自民党は郵政民営化をはじめとする政権公約自民党の約束(http://www.jimin.jp/jimin/jimin/2005_seisaku/120yakusoku/120_theme01.html)を公表した。
その公約がどう実行され、その結果この国と国民生活がどうなったか、そしてそれを政党がどう認識しているかが問題である。

自民党はHP上で「政策2005の実施状況」を発表している。(http://www.jimin.jp/jimin/seisaku/2009/pdf/seisaku-019.pdf
「政策2005の実施状況」は自己評価として120項目中 A達成55、B取り組み中65、C未着手0としている。
それが彼らの認識である。

医療の項目を見てみたい。
10 持続可能な社会保障体制の確立 評価B
社会保障費が増大する中で、16年の年金制度改革、17年介護保険制度改革、18年の医療保険制度改革と一連の改革を行い、制度の持続可能性を確保するために必要な改革を実施。一方、社会保障の現状は、医師不足、介護人材の不足など、国民が不安を抱く課題に直面している。こうしたことから、昨年末に策定してた「中期プログラム」に沿って、社会保障の安定財源を確保し、機能強化を図ることとする。

12 医療制度改革の断行(安心で質の高い医療提供体制、持続可能な医療保険制度の確立) 評価A
良質な医療を提供する体制を確立するため、医療に関する選択に資する情報提供の推進、医療の安全を確保するための体制の整備、医療計画制度の拡充・強化等を通じた医療提供体制の確保の推進などを内容とする「良質な医療を提供するための医療法等の一部を改正する法律」が164国会(18年)で成立。
国民皆保険を堅持し、将来にわたり医療保険制度を持続可能なものとしていくため、医療費適正化の総合的な推進、新たな高齢者医療制度の創設、都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合内容とする「健康保険法等の一部を改正する法律」が164国会(18年)で成立。
20年4月に施行された長寿医療制度については、与党PTにおける「見直しの基本的考え方」をふまえ、今後、具体的な見直しの議論を行っていくこととしている。

自民党は16年の年金制度改革、17年介護保険制度改革、18年の医療保険制度改革実行を成果としているのである。
我々はよくやったと自画自賛している。
国民の社会保障制度への不信を醸成し先行き不安をかきたて、そして医療崩壊を加速させた一連の施策に対する反省のひとかけらもない。
懲りない面々とはこの党ことを言うのであろう。

ここに及んでは、医療に関わる個人と医療関係団体が今回の選挙で自民党を支持する理由は全くない。
過去に自民党を支持してきた方も、今回の選挙では現与党の進めてきた医療を壊滅的な崩壊に追い込む医療社会保障構造改革路線を転換するために政権交代実現の道を選ぶべきだ。

民主党は4年前は医療効率化をめざし自民党と同質の医療構造改革を提案していたが、政策転換し医療への財源の投入を主張している。
共産党は税金の配分を変えて医療・社会保障に重点的に配分することを提案している。

選挙に行って医療崩壊を阻止しよう。

医療が必要なのに医療が受けられない人がこの国に存在していいのか

09年8月1日私の所属する医療法人企画の野宿者相談会をおこなった。
堺市にあるD公園に医師1名歯科医師1名をはじめ約20名がボランティアで参加した。

相談来談者は4名であった。
相談に来られない方には、個別の訪問相談もおこなった。
血圧が170/110でこの6年間血圧も測ったことがない方、こむら返りが頻回に起って困っているが金がないので医者にかかっていない方、前立腺肥大があり保険がないので全額自費で医者にかかっていたが継続が困難になった方がおられた。
当法人がおこなっている生活困窮者に対する無料低額診療制度についても説明させてもらった。

野宿者の方から次のような話がだされた。
「野宿生活で健康保険もなく医者にはかかれない。」
「6年間で医者が来たのは今回で2回目。力になってくれるかどうか、まだ信用できない。」
「今年隣のテントで餓死者がでた。」
「テントに花火を投げ込まれテントの場所を移した。」

07年4月に発表された厚労省「ホームレスの実態に関する全国調査報告書の概要」(http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/04/h0406-5.html)  によると、全国で18,564人、平均年齢57.5歳、「5年以上」の者が41.4%となっている。
身体の不調を訴えている者は50.2%、このうち治療等を受けていない者65.8%であるとしている。

堺でも医療が必要で、医療を受けていないかたが多数おられる様子である。
野宿者相談の取り組みは継続して行う必要があると思った。
参加者の無理のない範囲で数か月に一回は行いたい。
今回相談につながった高血圧の方、前立腺肥大治療中断の方、アルコール依存症疑いの方は継続して訪問することにした。

日本国憲法第二十五条には次のように明記されている。
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

憲法25条のあるこの国で、野宿者がいること、医療が必要で医療が受けられない人がいることはあってはならない。

民主党は医療崩壊克服の救世主たりえるか

8月30日に総選挙が実施される。
政権交代が現実のものになる日が近い。
医療崩壊の現場で苦闘する医師のなかでは政権交代に期待する声が多い。
医学生定員の150%増、診療報酬の引き上げ等の報道がされるにともない更に期待が高まっている。

新たに発足する民主党政権が医療・社会保障に関する公約を実行することを強く希望する。

気がかりなのは05年の総選挙で民主党が主張していた主要な論点は患者の権利の尊重と診療報酬の適正化であったことである。

民主党05年総選挙マニフェストhttp://www.dpj.or.jp/news/files/BOX_0062_kaku.pdf
「(2)安心し納得できる医療を実現するための改革をすすめます。
①患者の立場に立った予防・早期発見・治療が一体となった安心の医療を実現します。 次期医療制度改革においては、患者の立場に立った予防・早期発見・治療が一体となった安心の医療を実現します。納得できる医療サービスの提供と医療の質の確保・向上を図るため、積極的な医療情報の開示、説明と同意の原則の徹底、患者の自己決定権(リビングウィル)の尊重とセカンド・オピニオンを得るためのルールづくりを行います。 診療報酬改定時には、薬、医療材料、医科点数、歯科点数、訪問看護などについての詳細情報や価格データの公表を行うとともに、パブリックコメントを行うことなどを通じ、保険点数の適正化を図ります。(略)」

05年マニフェストには政府の低医療費政策に対する批判は見られない。

また05年民主党医療政策大綱は http://dpj-tokushima.jp/sengoku/housin.html
「情報を共有し、医療の進歩を不断に追求し、医療連携における無駄を省く。このような試みが医療改革の本質であり、結果として、国民の医療費に対する納得が生まれます。」と述べている。
情報公開と医療連携で無駄を省くことが医療改革の本質であるとしていた。

情報公開と医療連携で無駄を省けば医療崩壊が克服できるとは医師は誰も考えない。

公的医療費を増額し、先進諸国並みにGNPの10%以上を医療にまわし日本の医療を再建することが必要だ。
新政権にその役割を発揮することを大いに期待する。

民主党は4年前の政策からどう認識がかわり政策を変更したのか。
それを明らかにしてほしい。
自民党との違いを出し、支持を増やすための方便で政策を変えたのではないかと言う疑念を払拭して欲しい。

政権党たる民主党が医療効率化論に戻ることを許してはならない。
議会内で民主党政権に低医療費政策の克服を主張する他の政党の役割がいる。
そして大切なことは低医療政策の抜本的転換を成し遂げるために、新政権に圧力をかける議会外の圧力を強めることだ。
民主党に票を投じるだけでは変革は訪れない。
新政権を医療崩壊の救世主にすることができるかどうかは我々の肩にかかっている。

医療崩壊はストップできるのか

大阪南部の医療は再生できるのか。
このままいけばもうすぐ医療崩壊の大波が襲ってくる。
それが参加者の共通の思いである。
7月19日堺市「大阪南部の地域医療を守ろう」と題するシンポジウムが開催され堺市・富田林市医師会長をはじめ各自治体の病院長も含め900名が参加した。

大阪南部は堺・泉州・南河内の三つの医療圏からなっている。
数年来、救急医療の崩壊・病院の縮小・廃止がおこり医療崩壊が顕在化している地域である。
医師不足・医療機関の経営困難打開は医療機関の共通の課題になっている。
医療難民にはなりたくないと大阪南部の市民は考えている。
その思いがシンポジウムに多くの参加者を参集させた。

各医療機関の医師確保・経営改善の努力、そして医療機関ごとの連携・支え合いの実践例が報告された。
また救急車・救急病院の適正利用の取り組みの報告もあった。

でもそんな地域の個別の努力だけでは医療崩壊の大波は防げない。
医療費増が国をつぶすという医療費亡国論を振りまき推進している低医療費政策を転換しなければ地域医療は守れない。
日本の総医療費をG7平均のGDP比10%以上にしなければ日本の医療は崩壊してしまう。

医療を再生させるために何としても低医療費政策を転換させる。
そのために今回の衆議院選挙で政権交代を実現する。
そして市民がパワーを発揮し続け、新政権に医療再生政策の実行をせまる。
これが大切、政権交代だけでは裏切られる可能性がある。
そんな思いが湧き上がるシンポジウムであった。

医療崩壊はストップできる。
大阪南部の医療は再生できる。
必ずやり遂げよう。
私もその礎になりたい。

自分の残された命と通り魔殺傷事件

7月で60歳になった。
あと何年生きられるのか、あと何年医師として働けるのかと考える。
生きられるのは10年か長くても20年、医師としては5年か10年という気がする。
日にちにすると3650日か7300日の余命と言うことである。
限りある命だから、したいことの優先順位を決め一日を大切に生きて行きたい。
今、医師として診療できている喜びをかみしめ、患者さんに感謝したいと思う。

通り魔殺傷事件が08年14件と多発している。
「仕事も金もなく、人生に嫌気が差した。八つ当たりしたくなった。」と自分の怒りを他者に向け、自ら破滅の道を選ぶ人がいる。
そしてその背後には、怒りを自分に向け自らの命を絶つ人が11年連続で3万人超もいる。
限りある命なのにその命の喜びを味わえない。
この日本の社会の現実を何とかしなくてはならない。

私が60年生きてきた日本の社会がこの状況にあるのだから、自分に責任がないとは言えない。
少なくともこの社会の構成員なのだから関係ないとは言えない。
そして大切な子供たちがここで生きていくのだから、この社会の現実から逃げずに立ち向かいたい。
若い人が未来に希望が持て、命を大切に思える社会をつくるためにも自分の残された日々を使いたい。

終末期医療と医師の悩み

 「先生、昨日は大変だったんですよ。」往診の車に乗り込んだとたん看護師が勢い込んでしゃべりだした。
Hさんが食事をとらないので、主治医のM先生が点滴をしようとしたが、患者さんが嫌だと首をふって頑として同意しない。
M医師が手を合わせて「今日だけ」とお願いして点滴をしたが看護師はつねられるやら、蹴とばさられるやらで大変だったそうだ。

Hさんは83歳の女性で骨粗鬆症・廃用症候群のためほとんどベッド上で過ごされおり、ようやくトイレへ伝い歩きで行ける状態だった。認知機能はほぼ正常であるが、以前より検査や入院はあまり希望していなかった。
それが先週から風邪をひいて食事をとらなくなってしまった。

今日はそのHさんのところへ私をつれていこうというのである。
私は「本人は治療不同意か。困りましたね。」とつぶやいた。

Hさん宅で、「水分が不足しています。点滴しましょうか」と話しかけた。
Hさんは首を横に振って不同意をあらわした。
今度は「点滴は止めておきましょうか」と言ってみた。
ひょっとしたら意識がおかしくなっていて今度も首を横に振るのではないか期待して尋ねた。
しかし、Hさんはウンと首を縦にふった。
「そうですか。私は点滴をした方がいいと思うのですが、あなたの同意のないことはしません。」と言い、点滴しないことにした。
それをカルテに入力した。
帰り際に「今後、どうするかは家族で話あって決めておいてください。」と嫁に言った。
先生はいつもクールだから点滴しなかったと看護師に言われるだろうなと思った。

二日たって今度はK医師が往診に行った。
K医師は僻地の診療所で勤務したことがある温厚な医師だ。
患者さんの状態を見て、「医師として患者さんを良くできる可能性があるのに、何もしないわけにはいかない。
点滴します。」と言って、さっと点滴セットを自分で準備し点滴をはじめたのである。
不思議なことにHさんは、K医師を見つめたまま抵抗しなかった。
翌日、訪問看護ステーションから「点滴しないことになっているのになぜしたのか」との詰問の電話がかかってきた。

家族会議の結論は「できるだけ長生きしてほしいが、本人が希望しない点滴や入院はしないで家でみたい。」お嫁さんはプリンをスプーンで口に入れたり、ジュースを注射器で少しずつ注入したりしてくれた。

Hさんはそれから1週間たって亡くなった。
ちょうど84歳の誕生日の翌日であった。

がんの末期のようにどの医師が診ても終末期とわかる状態がある。
しかし慢性疾患で次第に弱ってきた方が風邪や脱水など治療可能な病気をきっかけに状態が悪くなった場合を終末期と呼べるのかが難しい。
医療は本人の同意が原則だが、ひょっとしたら良くなるのではとの気持ちが医師にある時は悩ましい。

Hさんの場合はこれでよかった、本人の希望や家族の希望に添えてよかったと思う。
またM医師やK医師と一緒に診療できてよかったと思う。
これからも悩みながら患者に寄り添える医師集団でありたい。

50歳以上の男性は前立腺癌検診を受けましょう

日本泌尿器科学会は、50歳以上の男性にPSA健診を推奨しています。
以下06年に泌尿器科学会が発表した前立腺癌健診ガイドラインの要点を紹介します。

前立腺は男性にだけあり、精液の一部をつくる臓器です。
前立腺は、恥骨の裏側に位置し、膀胱に隣接しています。この前立腺にがんが発生する病気が前立腺がんです。

現在、日本で発見される前立腺がんの約30%は主に骨へ転位した状態で発見されます。
現在将来前立腺がんにかかる人の数は男性がんの6番目ですが、今後増加し、2020年には、肺がんや大腸がんとならんで最も頻度の高い男性がんになると予想されています。

前立腺がんは血液でPSAという物質をはかると発見されます。
健診をおこない転移した進行がんになるまえに早期に発見し治療につなげたいと考えています。

アメリカでは、50歳以上の男性の75%は少なくとも1回はPSA健診を受診し、1992年以降、前立腺がんの死亡率は低下し続けています。

オーストリアの研究でも、検針対象住民の86%が少なくとも一回は検診を受診した結果、天胃がんの罹患率は70%も低下し、2005年の前立腺がんの死亡率は予測値と比較して54%も低下しました。

以上二つの国のPSA検診の結果は、PSA検診と、それに続く適切な治療が前立腺がんによる死亡率を下げる確かな効果があることを示しています。

日本泌尿器科学会は50歳以上、家族に前立腺がんの患者がいる人は40歳あるいは45歳からの検診受診を勧めています。

1000人の方が検診を受診すると14.8人の方にがんが見つかります。
その方を適切な治療につないでいくことができます。

対象に該当する方はぜひ検診を受診されることをお勧めします。

以下は私の意見です。

現在の日本では前立腺がんの公的な検診制度はありません。
検診を希望すれば、それぞれの費用の自己負担のもとで行われます。
前立腺がんは血液検査で簡単に見つけることができるという知識を広めて多くの人が検診を受けるようにしていきましょう。

しかし、それだけでは検診が普及することは難しいです。

がんを早期に発見すれば命も救えます。
また、がんの治療にかかる医療費も少なくて済みます。
この検診が該当するすべての人が受けられるように、公的検診として制度化かれ特定健診などと一緒に行なうことができるようにすることを、国と自治体に要望します。

朗読者・愛を読む人

戦争犯罪にかかわった女性の不幸とその女性を愛した男性の苦悩を描いたものです。

あらすじはあえて述べません。
ネット上でいくつもの紹介があります。
小説も映画もぜひ自らが味わわれることをおすすめします。

テーマは、年の差のある男女の恋愛、ナチスの虐殺への加担、そして読字障害です

年上の女性を愛した男性がその女性が突然失踪し彼女に捨てられた、自分もまた彼女を傷つけたとの思いを人生を通じて引きずりながら生きてきます。

彼女は文字が読めなかったのですが、彼が刑務所に送り続けた朗読テープを聞くことをきっかけに学習・訓練し読字障害を克服します。
その後、彼女から彼に対して手紙を繰り返し出しますが、彼女が熱望する彼からの返事はありません。
釈放の直前に彼が面会に来ますが、抱擁も口づけもありません。
彼は戦争犯罪を犯した彼女を身近な存在としては受け入れることができなかったのです。
心の中には彼女が常にいるのですが現実の彼女を全面的に受け入れることができません。
そして釈放の前夜、彼女は自ら命を絶ちます。

彼女のかっての仕事はナチス強制収容所の看守です。
アウシュビッツへ送る捕虜の選別をする任務を果たしました。
戦争を遂行した権力者ではなく、一般市民が戦争犯罪に加担していく悲しい過程です。
裁判で彼女は繰り返し「あなただったら何をしましたか?」と問い返します。
私たちはあの状況で自分ならどうしたかを常に問いかける必要があります。
作者は戦争犯罪を告発する運動に対して主人公の男性に「ぼくは当時、他の学生たちが自分を両親から切り離し、それによって犯罪者・傍観者・目をそらした者・許容者や受容者の世代から自分を切り離して、恥の感情とは言わないまでも、恥じることの苦しみを克服してしまえるのをうらやましく思ったものだった」と語らせています。
戦争犯罪を自分とは無関係のものとして断罪するのではなく、自分もひょっとしたらそのような状況に追い込まれるのではないかのと考える想像力が必要です。
私は一般市民が究極の状態に追い込まれないように戦争と虐殺の事態を回避する活動を、今この時点で進める必要があると考えます。

主人公の女性は読字障害でした。
そのために裁判でも自らを不利な状況に追い込んでいきます。
彼女にとって読字障害を他人に知られることは戦争犯罪者として重罰を受けることより耐えがたいことでした。
読字障害は学習障害の1つです。
基本的に全般的な知能発達に遅れはないが、読む能力の習得と使用に著しい困難を示すな障害です。
欧米では人口の5~10%(アメリカで2500万人、ドイツ400万人、日本600万人)が何らかの読字障害を抱えていると言われています。
著名人では俳優のトムクルーズやアンソニー・ホプキンスが識字障害を公言しています。
適切な教育・訓練で克服の可能性があります。
この障害で不幸な人生を送る人を出さないために、早期診断と療育が必要です。

久しぶりに面白い作品に出会いました。繰り返し味わいたいと思います。

熱中症を予防しましょう

熱中症とは?

熱中症は暑熱障害ともよばれます。
日常生活での熱ストレスが原因でおこる病気です。
熱中症による死亡は年200~500人にのぼります。
身近で、時に死にいたる危険な病気です。

熱中症の症状

高温(多湿)の環境にいた人が、発熱、多量の発汗(逆にまったく汗をかかない)、筋肉のけいれん(こむら返りなど)、頭痛、めまいや吐き気、全身の倦怠感、失神症状、意識障害、全身のけいれんをおこせば熱中症の可能性が高いです。
すぐに涼しい場所に移し、体を冷やし、水分を補給しましょう。
それでも改善がみられず、自力で水分が飲めなかったり、意識がもうろうとしたりしている場合は、医療機関を受診する必要があります。

熱中症の予防法は?

高温の環境をなるべく避け、熱が発散しやすい風通しがよい服装を心がけましょう。
室温が28℃を超えないようにクーラーを上手に利用しましょう。
運動は24℃を超えれば常に熱中症の危険があります。
給水対策を意識しておこない、31℃を超えた時は避けるようにしましょう。

熱中症を防ぐ、社会的支援が必要

私の所属する医療機関では熱中症の予防のために04年より毎年夏に熱中症のリスクの高い方の自宅を訪問しています。
経済的困難を抱えクーラーを使えない人、認知症で判断力が落ちている方が高温環境にうまく対処できていません。熱中症のリスクは社会的弱者に厳しく襲いかかっています。
社会的支援が必要です。

地域から熱中症死亡事例を出さないようにしましょう。

新型インフルエンザの大流行に備え肺炎球菌ワクチンの公費接種を

今回の新型インフルエザの病像が次第に明らかになってきています。
死亡例の多くは細菌性肺炎を併発していました。

成人の肺炎の第一の原因は肺炎球菌です。
それに対するワクチンが実用化されています。
感染症学会は予想される秋のインフルエンザ流行にそなえ「65歳以上の高齢者や慢性の呼吸器疾患並びに慢性心疾患、糖尿病などをお持ちの患者にはこのワクチン(肺炎球菌ワクチン)の接種を積極的に考慮して下さい」と提言しています。

アメリカでは65歳以上の方に対してワクチン接種が保険でカバーされているため接種率は70%と報告されています。
しかし日本では全額自己負担のため接種率は4.17%にとどまっています。
全額本人負担で接種すると七千円ないし八千円かかります。
全国約100の地方自治体では公費助成をおこなっていますが一部地域です。
国として肺炎球菌ワクチンへ公費助成することが必要です。

新型インフルエンザに対策は国民的課題です。
政府の決断を要望します。

9回目の近畿水俣病健診

「どうしてこれまで健診を受けなかったんですか」
「自分が水俣病とは思わなかった」
健診をするたびにいつも受診者とかわす会話である。
視野が極端に狭くなりまわりが見えない状態になっていてもそれが水俣病によるものとは考えない。
手足の感覚が鈍くなってケガをしても目で見るまでは気がつかない。
それも年のせいと思う。
内心はひょっとしたらと思っているが、自分が水俣病とは考えたくない。
それがほとんどの健診受診者のこころの内だ。

5月31日、9回目の近畿在住者の水俣病検診をした。
今回は15名受診ですべて水俣病と診断された。
9回合わせて223名が受診し188名(84%)の水俣病が確認された。
毎回これでそろそろ近畿でやる健診は終わりかなと思っているが健診の予約待ちはまだまだある。
チッソの引き起こした有機水銀汚染の被害の広がりの大きさに驚かされる。


体調の不調を抱えながら正しく診断されずに暮らしている人だまだまだたくさんいる。
国と自治体が汚染地域に居住歴のある人々の全員の健康を調査し、被害者を発見し、その人たちの救済を早急に行うことが必要だ。

すべてのA型インフルエンザと非A非Bインフルエンザ様疾患の全数把握を

大阪・兵庫で新型インフルエンザが広がっている。
海外渡航者に対する水際作戦で対処してきたが、その防衛線を突破されてしまった。
この間の教訓は海外渡航歴のある人に対象をしぼって対策をしてきたが。
大阪で海外渡航歴のない人にA型インフルエンザが多発していた高校があったのにそれを新型インフルエンザと診断するのに時間がかかってしまった。

国内各地のインフルエンザ感染者の流行を早くつかむために、A型インフルエンザ感染者とインフルエンザ様症状があってA型もB型も陰性の患者(検査の感度の関係で偽陰性の可能性がある)の全数を把握し流行地域を早くつかみ対策をうつ必要がある。
そのために医療機関に報告を義務付ける必要がある。

現在は全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診し、A型もしくはB型が陽性になった患者数が週ごとに把握されている。全数把握の体制ではない。定点報告によると今年は5月にはいってもインフルエンザ患者が多いことが注目されている。

当然A型インフルエンザ陽性患者の中に新型インフルエンザでない従来からある季節性インフルエンザ患者も含まれている。
しかし診断が確定するまでは感染拡大防止を徹底する。

感染拡大を抑える為にはこれが不可欠である。
厚生労働省のすばやい指示を要望します。

新型インフルエンザの正確な認識と対処

今回の新型インフルエンザはどのようなものか。そしていかに対処するべきか。混迷が続いています。
季節性インフレエンザと同じようなものと言いながら軽症患者でも隔離する方針を継続し、封じ込めが可能であるような幻想を依然もっていたり、一方では「もはや流行ではない」という知事が出たりしている。

今回日本感染症学会・新型インフルエンザ対策ワーキンググループからだされた提言をぜひ多くの国民に知っていただき、来るべき大流行に備えたいと思います。

社団法人日本感染症学会緊急提言(要旨 文責いけしん)
「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」http://www.kansensho.or.jp/
○今回のインフルエンザは軽症とはいえない
短期間に10 万人以上がICU に入院することになります。
今回の新型インフルエンザ(S-OIV)が今後大流行した場合、わが国の死亡者数や死亡率が香港かぜの場合(筆者注 8万人から9万人の死亡)を大きく超えるようなことはないと思われます。

○過去の我が国における新型インフルエンザ流行の実態から学んでください= 大流行が予想される
今回の新型インフルエンザ(S-OIV)が、現在は症状も軽く、患者数も比較的に少なくても、今年の秋か、冬に大きな流行になると専門家が警戒しているのは過去の大流行の事実からです。

○新型インフルエンザは、いずれ数年後に季節性インフルエンザとなって誰でも罹患しうる病気です=罹患を避けることは難しい
過去のどの新型インフルエンザでも、出現して1~2年以内に25~50%、数年以内にはほぼ全ての国民が感染し、以後は通常の季節性インフルエンザになっていきます。

○新型が流行すると青壮年層の被害が甚大となるのには理由があります=青壮年には免疫がない

○流行初期から一般医療機関への受診者が激増します=一般の医療機関の準備が大切

○重症例にはウイルス性肺炎よりも細菌性肺炎例や呼吸不全例が多く見られます=適切な予防対策と早期治療が重要

○一般予防策ではうがい、手洗い、マスクが効果的です

○医療従事者の感染予防にはサージカルマスク、手洗い等が効果的です

○全ての医療機関が新型インフルエンザ対策を行うべきです

舛添厚生大臣殿 新型インフルエンザ対策のために地域の医療機関支援を

地域の医療機関では新型インフルエンザに対処するために診療体制を強化しています。
患者さんからも「先生体に気をつけて頑張ってください」と声をかけてもらっています。
当院では発熱外来は開設してませんが、発熱患者を一般患者から分離して特別の待合室・診察室で診療する体制をとっています。
一日10名たらずの診療ですがインフルエンザA陽性の方はでていません。
地域の医療機関を支援するために以下の措置を緊急にとってください。

行政が備蓄している薬品・物品を早急に医療機関に提供してください。
検査キットも消毒液・マスクも底をついています。卸業者からも納入不納の連絡がきています。

医療保険制度を整備してください。
疑いのある人がすべて検査・医療を受けれるように、医療機関窓口での一部負担を免除してください。無保険者への配慮も必要です。

インフルエンザ検査は一回の検査では偽陰性になる確率が20%あります。
二回目の検査は保険適応がありません。
翌日の再検査も保険適応にしてください。

濃厚接触の家族その他にタミフルの予防投与する必要があります。
新型インフルエンザが確定した方の濃厚接触者に限って公から無料で提供されているようです。
しかし地域の医療機関でA型インフルエンザと診断された方の家族に予防投与しようとしても、保険適応がなく全額自己負担となります。
保険で予防投薬が出きるようにしてください。

新型インフルエンザ対策に力を入れると通常の診療を縮小する必要がでてきます。
それによる経済的損失の補填もぜひ検討していただきたいと思います。

至急の決断・実行をお願いします。

南京と広島の歴史的事実から学ぼう

南京で日本軍による虐殺があったことは、派遣軍の責任者であった松井石根大将の陣中日誌はじめ軍関係の資料、従軍した日本兵の証言、ラーベをはじめとする当時南京にいた外国人の記録からもみても明らかな事実です。

南京事件を声高に否定する論説がマスコミによって流布されています。
それに幻惑されている日本人が多くいます。
なぜ事実に向かいあえないのかそれが問題です。
被害者側に立って考える想像力がないからです。
真実はなにか自分の手で文献を読み、自分の頭で考える態度が欠けているのです。
「よくわからない」ではすまされない問題です。
現実に加害者と被害者がいるのですから。

日本だけではなく例えばアメリカでは、「広島への原爆投下は戦争終結のためには必要であった。」との意見が根強く広がっています。
日本の侵略被害にあった東アジアの各国では原爆投下の映像に拍手がおこるといわれています。
広島の悲惨を知る日本人には信じられないことです。
「原爆投下は戦争犯罪である」という事実に向かい合う必要があります。

世界中の人々の事実にもとずく歴史認識なしには今後の世界の平和と友好はありません。
世界中の人が南京をそして広島を訪問され歴史認識を深められることをおすすめします。

ディモルフォセカ

夜仕事から帰って玄関の花が閉じているのを見て非常に驚いた。
昨日の昼見た時は白い美しい花が咲いていたのに夜見るとすべて閉じていた。
ディモルフォセカという名前の花だ。
昼咲いて夜閉じる花があったのか。大発見をしたように感動した。

インターネットで調べてみると福寿草もタンポポもデージーもそして大好きなハクモクレンも昼花が開き夜閉じるそうである。
自分が知っている花も一日でそんな変化があることにこれまで気づいていなかった。

すぐなにかで調べるという知識に偏ったやり方そのものが問題なのかもしれない。
知識も大切だが体験や現実をありのままに受取りそれから学ぶことも大切だ。
さらには自分が現実をいつもありのままには見ていないことに気づいていることが必要なのだろう。

視野や関心が狭くなってこんなすてきなことを見落としていたのか。
そういえば先日の風も昨夜の月も素敵だった。
そんなことにことに気づかないで人生を送ってきたことがすこし悔しい気がする。
でもやっとそれがわかるように成熟してきたのかとも思う。

これからはいままで気づいていなかったもっと素晴らしいこともっと重要なことに気づくことができる気がする。
どんなことに気づけるか、楽しみである。

鳩山・桝添両大臣は感情むき出しの発言を慎んでほしい

最近、大臣などがテレビの画面で怒りをむき出しにして発言することが目立っている。

たとえば鳩山総務大臣。
草薙事件で、「めちゃくちゃな怒りを感じている。なんでそんな者をイメージキャラクターに選んだのか。恥ずかしいし、最低の人間だ。絶対許さない」と鬼の形相で降板を示唆した。
しかし翌日には世論の反発があり撤回された。

桝添厚生労働大臣。
インフルエンザ問題で横浜市長に対して「組織として危機管理の体を成しておりません。」「もし情報が(横浜市長に)上がってなければ、組織としての危機管理体制が成っていないということです。」と決めつけ、「上に立つ者がきちんとリーダーシップを発揮して危機管理をやらなければならないと思います」
と発言した。
後に横浜市長の冷静な事実にもとずく反論があった。

もう一つ、 桝添厚生労大臣。
新型インフルエンザ発生国への渡航歴がないにもかかわらず、発熱などした人が病院で診察を断られたケースにたいして「医師法違反だ。医者の社会的義務として対応してもらいたい」と、不快感を示した。
これも新型インフルエンザにたいして医療機関も患者もまだ十分に理解していない混乱のなかの現象であることが明らかになった。

公の場で怒りや不快が表現されるのはかってなかったことである。
感情にまかせて物事を断定する風潮が広まることは恐ろしい。
怒りのつぶてが飛び交う社会などまっぴらである。
とくに権力をもつものが事実にもとずき筋道をたてて発言しないと国民に誤った情報を提供したり、不適切な判断をさせることになる。
慎んでいただきたい。

フィンランドメッソドで紹介されている議論のルールの一つに「話すときに、怒ったり泣いたりしない」がある。
意見を述べる時に感情をむき出しにするのは控えなければならない。
議論の最中に参加者が他の参加者に対し怒りをむき出しに表現し会議が凍りついたことを経験したことがある。
両大臣はこのルールを覚えておいてほしい。

特に私が気になるのはこの二人の大臣が他人を一刀両断に切り捨てる発言をする資格が自分にはあると考えているように思われる点である。
日本国憲法前文には「国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と記されている。大臣の権力は国民に由来する。
タレントも横浜市長も医師たちも国民の一員である。
それに対する批判は、慎重に事実を確かめ節度をもったものでなければならない。今は江戸時代ではない。

「久しぶりやな」これがいつもの最初の言葉である。
「先週来たやないか」と言うと、「そーやったかな」と答える。
私が行くまでは、テレビをつけているがうたた寝をしていたようだ。
最近は阪神の勝敗にも関心がない。

とろこで「○○ちゃんは何歳になった」孫の話である。
順番に孫の名前が出てくる。
食卓の前に貼った写真を見ながら順番に孫がどこに住んでいるのか、結婚しているのか、子供ができたのかの話になる。
そして最後にひ孫がまだ一人も生まれていないことを知ると。
私に「そうか。孫が一人も生まれなくてよかったな。おじいさんにならんでよかったな」と言う。

そして今度は私の年の話である。
「いけしんは何歳になったんや」「もう直ぐ60歳や」「もう60か。ところで私は何歳や」「91や」「へー91かびっくりしたなー。自分の年も忘れてしもうたわ」「ケンジロウはなぜはよ死んだんや」「早いことない80で死んだんや」「そうやったかなー」

これは91歳の母と私が毎週繰り返す会話である。
会った時に何回も何回も繰り返す会話である。

回想療法やリアリティーオリエンテーションという技法があることを知っている。
一応「もの忘れ外来」をする専門医の端くれの私だが自分の家族のことになるとなかなかそんなことはできない。
せめて母を笑わせる面白い話を一つはしようと思うのだがそれもうまくはいかない。
せめていやにならずに同じ話を何回も繰り返して聞くのが自分の務めだと思っている。
週1回行って話をするだけだからできるのかもしれない。
四六時中顔を合わせる家族なら「その話はもう聞いた」と嫌みの一つも言いたくなる。

食事をしてビールを飲んでテレビを見る。
そして寝る。
これが毎週1回の母親宅訪問である。

朝顔を合わすと「なんや泊っていたんか。ぜんぜん知らんかった。」
朝食をすませて帰る時になり、私が「また来週来るわな」と言うと。
「帰らんといて」と90を超えた老人とは思えない若々しい感情の入った声を出す。
母の両肩を抱き「また来るな」と言い残して家をでる。

車のリアウインドウから後ろを見るといつまでも母が手を振っている。
まるで「伊豆の踊りの子」の娘のように。
死んだ父の代わりは到底できないが、母のかわいい幼い息子役も青年の息子役も壮年の息子役もできそうである。
「また来るな」

世界の力を結集するために新型インフルエンザサミット(H1N1)を

メキシコに2日、日本からの支援物資が届いた。
マスク19万枚や手洗い用消毒液約1400本など2100万円相当。引き続き1億円相当の支援物資が贈られることになっている。
中国も4億8千万、世界銀行も25億円の支援をすると報道されている。
非常に喜ばしいことである。

WHO事務局長マーガレット・チャンは声明で「過去の経験から、インフルエンザウィルスは豊かな国では比較的軽い症状の病気を起こすにとどまりますが、途上国においては死亡者を伴う深刻な事態を引き起こす事がわかっています。どうような状況であれ、国際社会は、今回の出来事を危機に対する備えと対応力を強化する機会と捕らえるべきです。今こそ、国際社会が一致団結する機会であり、全ての国の全ての人のための、危機対応策と解決策を模索していくべきです。なぜなら、パンデミックにおいては、全世界の人々が等しく脅威にさらされているからです。」((2009年4月29日)と述べています。
今この時期に自国民だけを守ろうとしても、自国民すら守れない。
国際社会が一致団結する時である。

先進各国の感染対策がすすみ一路パンデミックへの危険はやや落ち着いた感はあるが、経済的・技術的弱者の国の対策の進展が気がかりである。
とくにこれから秋から冬に向かう南半球諸国の支援を世界規模の協力で行う必要がある。

保健・医療・財政・経済に及ぶ世界的対策はWHOの役割を超えるものである。
日本政府は世界各国に対して新型インフルエンザ(H1N2)サミットの開催を呼びかけることを提案する。

日本はメキシコに必要な支援を直ちに

 新型インフルエンザ問題で緊張が広まっている。
私の所属する病院診療所でも、対策員会を発足させ「海外渡航者の発熱患者の患者対応を」再確認し、必要物品の確保に動いている。
私も日本で働く医師として医療人の使命を遂行したいと決意を固めている。
日本政府も27日「当面の政府対処方針」で情報収集強化と水際でウイルスの侵入を防ぐ方針を出した。
その一環で外務省は27日、豚インフルエンザの被害が深刻なメキシコに滞在する在留邦人向けに、インフルエンザ治療薬タミフル2330人分とマスク8400枚を緊急輸送した。

私は日本政府に一番の感染国であるメキシコ支援を急ぐことを提案したい。
WHOが指摘するように感染封じ込めは困難な状況になってきている、感染被害を最小限に抑えながら流行を終焉させることが課題である。
そのためにはメキシコの流行を制圧することが不可欠である。
自国民を守るためにもメキシコ支援が必要である。
日本として必要な人員や資材を送るという立場を表明し、まず在留邦人だけではなくメキシコ国民が必要とするタミフル・マスクを日本国の備蓄の一部を割いてでも送るべきと考える。

清水由貴子さんの自殺と日本の介護

清水由貴子さんの自殺が注目を集めている。
報道によると自殺の4日前にはケアマネージャーを中心に関係者6人が、由貴子さんの家に集まってサービス担当者会議を開いていた。
その会議に由貴子さんも出席していたが介護に悩んだり疲れたりなど、特に変わった様子はなかった。
また由貴子さんは、「ありがとう」と感謝の言葉を述べていたそうである。
「ありがとう」という言葉の背後にある介護者の苦しみに我々がどれだけ気づいているのか、医療介護に携わる者ととして反省させられる。

介護が家族の負担になっている現実が依然としてある。
要介護者の介護の責任が本人にあり自己責任で介護を買う必要があるのか、家族が身を犠牲にする必要があるのか、それとも社会にあるのか根本点を明確にする必要がある。
かって日本型福祉社会が唱えられ家族が親の介護をするののが日本の美風だといわれた。
しかし介護自殺や介護殺人・心中がおこる今の日本の現実は、介護の責任は社会にあることを明確にしている。

憲法25条は「1. すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 2. 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定している。
すべての国民は、尿や垢にまみれたり、介護で疲労困憊する生活を拒否し、健康で文化的最低限度の生活を要求する権利がある。
そして国はそれを保障する義務がある。

2000年に導入された介護保険制度も介護分野における憲法25条の精神の実現には程遠い。
入所する施設がないなどサービス供給量の絶対的不足、高額の利用料負担による経済的制約、実態に見合わない介護認定制度による利用制限等々。
腹立たしい実態である。

なんとしても国民の健康で文化的な生存権を保障する介護制度を作り上げたい。

由貴子さんご苦労様でした。

ソマリア海賊問題は日本国憲法の平和主義の原則で解決しなければならい

 日本国憲法は憲法前文で二つの決意を明確にしている。
「われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう」である。
ソマリア周辺で頻発する海賊行為は日本国民を含む諸国民の安全への脅威である早急に解決しなければならない問題である。
日本は憲法の精神に立ち戦争ではなく平和的に、平和を愛する諸国民の公正と信義に依拠しそれを強める方向で解決しなければならない。

ソマリアの海賊問題の根本原因は、1991年以来ソマリアが事実上の無政府状態になっていることである。
ソマリアに対して国際的な民生支援を強化し安心して暮らせる秩序ある国にすることなしには解決しない。
海賊に対するソマリア国外からの武器その他の物資の流れを断つことが重要であり、ソマリア周辺諸国の警察力の強化に援助をすることである。

また直接的にソマリア沖を航海する商船を海賊から守ることが重要である。
海賊という明白な犯罪行為に有効に対処しなければならない。
国内・公海上の国民の生命・財産・公共の秩序を守る行動は明らかに警察活動である。
これは憲法で禁じている戦争行為とは明らかに異なるものである。
その内容は警備・警護であり捜査・逮捕の枠内でなければならない。
相手にたいして先制攻撃をかけたり、せん滅するようものであってはならい。
さらには危惧される相手根拠地に対する空爆などは明らかな軍事行為になる。
そのような行為に加担することは日本国憲法に反することになる。

海賊対策の警察行動を行う任務を担うのは海上保安庁であり、自衛隊ではない。
海上保安庁はマラッカ沖での海賊対策の実績もありそのノウハウを発揮してもらう必要がある。
海上保安庁は、日本国憲法の軍備放棄の立場を踏まえ、海上保安庁法第二十五条で「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」と規定されている。
海賊がロケット砲を装備しているから巡視船では対処できないとの意見があるが、装備の問題は装備強化で解決すればいい。
海賊対策でも戦争は絶対しないというのが日本国憲法の立場である。
戦争目的で組織されている自衛隊はただちにソマリア沖から撤退させなければならない。

現在議論されている海賊対処法案でも、海賊対策は原則海上保安庁がおこなうとしている。
これは海賊という犯罪対策では当然のことである。
海賊対処法をあらためて制定する必要がない。
しかし法案は特別な場合に自衛隊が当たるとしている。
真意は戦争行為をおこなうために自衛隊を派遣するというのである。
これは明らかに憲法違反だ。
法案に反対である。

2008年12月16日に国連の安全保障理事会で採択されたソマリア情勢に関する国連安保理決議1851は、ソマリア沖の海賊行為の防止に向け、ソマリア領内で必要とされる「あらゆる措置を取ること」を全会一致で承認した。海賊行為の防止に向け「領空も含め、ソマリア陸上で必要とされるあらゆる措置を取ること」ができるようになっている。
「あらゆる措置」とはソマリア領土内への軍事進攻、空爆も含むものである。
そのような事態になればソマリアの一般民衆の多大な被害が出ることになる。
ソマリアの悲劇が一層拡大することになる。
国家の論理ではなく、個々の民衆の顔を頭に浮かべた行動をしなければならない。
安保理決議1851の実行を許してはならない。
日本国憲法をもつ日本国民は平和主義の立場で、平和を愛する諸国民の公正と信義を信頼しソマリア問題を平和的に解決できるよう奮闘しょう。

ピロリ菌の検査・治療に保険適応を


 ピロリ菌の研究者・専門医のあつまりである日本ヘリコバクター学会は平成21年1月、すべてのピロリ菌陽性者に対し除菌(ピロリ菌を殺菌する治療)を推奨する内容の新ガイドライン(「ピロリ菌感染の診断と治療のガイドライン2009改訂版」)を発表しました。
ガイドラインに基づきすべての人が治療を保険で受けられるようになることが望まれます。

ガイドラインの大きな目玉は、ピロリ菌の除菌が胃・十二指腸潰瘍の治癒・再発予防だけでなく、胃がんをはじめとするピロリ菌関連疾患の治療や予防に有用だとしたことです。
具体的にはピロリ菌除菌治療の対象となる疾患として胃・十二指腸潰瘍をはじめ、早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃、萎縮性胃炎、胃過形成性ポリープ、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎などを挙げています。
つまり除菌対象者をピロリ菌陽性者すべてに拡大したのです。

わが国では40歳以上の大半の方がこのピロリ菌に感染していると考えられています。
感染経路は明らかではありませんが子どものころに水などを通じて口から感染したと考えられています。衛生状態の改善により若い人の感染率は低くなっています。
それでも日本国民の半分にあたる約6千万人の方が感染していると推定されています。
成人してからの感染はないとされています。

現在ピロリ菌の感染を調べる検査は胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人、またはあった人だけが対象で、治療は潰瘍を再発する人に限られています。
それ以外で検査や治療を希望する方は保険外で、自費で検査治療することになります。

ピロリ菌感染の有無を調べる検査は、胃カメラを使う方法と試薬を飲んでから呼気を集めて分析する方法などがあります。
治療は制酸剤・抗生物質などの三種類の薬を1週間服用することになります。

最近の研究ではピロリ菌は胃炎や胃潰瘍のほかに、胃癌や胃のリンパ腫などの病気にも関わりがあることがわかっています。
現在日本では胃癌で毎年約5万人の人が亡くなっています。
ピロリ菌を除菌することによって胃癌が予防できる可能性が高いとされています。

学会のガイドラインにもとづき、希望する方の検査が公費ででき、すべてのピロリ菌陽性者の治療が保険でできるようになることが求められます。