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2009年10月17日土曜日

大阪府庁はWTC移転では防災拠点としての役割ははたせなくなる


府議会では大阪府庁のWTC移転問題が再度議論されている。
2月の府議会で否決されたのにもかかわらず、防災課題が解決されたと再度橋下知事が議会に移転案を提案している。
8月に出された大阪府大阪市連名の「咲洲の防災機能に関する検討報告書」が提案の根拠になっている。
それの内容を吟味し防災上の課題が解決されたのか見てみたい。

報告書は「大阪府庁の WTCビルへの移転検討にあたり、この地において大阪府の防災拠点として必要となる体制を確保できるかが、大きな検討課題である。庁舎となる WTCビルが防災拠点としての性能を有していることはもちろんであるが、大阪府の防災体制を構築し、災害時の最優先業務を遂行する上で、必要となる大阪府職員の WTCビルへの参集が可能であることが大前提となる。」と課題を設定している。
そしてその前提として「大規模地震発生時には、公共交通機関の運行が停止し、自動車交通の運行に支障を来たしていることが予想されることから、徒歩や自転車による参集を前提にした検討を進める。」としている。
咲洲の府庁舎には車で参集することができないことが前提になっている。
阪神大震災の救援活動は私も医療支援に参加したが、主に自動車で人も物資も運んだことを覚えている。
しかし咲洲の大阪府庁舎は自動車交通から遮断されるというのが前提である。


検討の詳細を見ると、咲洲には此花ルート、築港ルート、住之江ルートと阪神高速湾岸線の四つしかない。
これが埋めた地の島の限界で、内陸とは面ではなく線でしかつながっていない。
この四つの線が切れれば孤立するのである。
そして住之江ルート以外は自動車専用道路である。
報告書では此花ルート、築港ルート、住之江ルートのすべてが液状化により自動車が通れなくなる可能性があるとしている。
報告書は阪神高速については検討していないが、高速の道路の危うさは阪神大震災で経験済みである。
自動車は咲洲に行けないし出ることができないと予想されている。

報告書は津波対策や橋の耐震対策を追加ですれば、職員が液状化の道路を自転車で走れないとしても押しては通れるとしている。
もちろん大阪湾を泳いでも咲洲に行くことはできるだろう。
職員がほうほうの体で府庁舎に駆けつけてくれるのはありがたいが、被災地に出動することもできない。
これで防災拠点の役割を果たせるとは思えない。
報告書の結論は論理的に読めば、咲洲は防災拠点としては不適ということになる。
決して防災の課題は解決されたという結論にはならない。

だれも望むことではないがXデーが来た時、孤立した咲洲府庁をみて「誰がこんなところに移転させたのだ」との声が起こることは間違いない。
その時橋下氏はどこにいるのであろうか。
格差社会の現実に小泉氏や竹中氏がそしらぬ顔をしたのをまねるのだろうか。

現在地で耐震工事を含めた改修することと、WTC移転とどちらが府民の利益にかなうかの冷静な議論が必要である。

脅かされようがすかされようが、「府庁WTC移転は間違っている」との声をあげなければならない。
「王様は裸だと」叫ばなければならない。

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