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2009年10月17日土曜日

ピロリ菌の検査・治療に保険適応を


 ピロリ菌の研究者・専門医のあつまりである日本ヘリコバクター学会は平成21年1月、すべてのピロリ菌陽性者に対し除菌(ピロリ菌を殺菌する治療)を推奨する内容の新ガイドライン(「ピロリ菌感染の診断と治療のガイドライン2009改訂版」)を発表しました。
ガイドラインに基づきすべての人が治療を保険で受けられるようになることが望まれます。

ガイドラインの大きな目玉は、ピロリ菌の除菌が胃・十二指腸潰瘍の治癒・再発予防だけでなく、胃がんをはじめとするピロリ菌関連疾患の治療や予防に有用だとしたことです。
具体的にはピロリ菌除菌治療の対象となる疾患として胃・十二指腸潰瘍をはじめ、早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃、萎縮性胃炎、胃過形成性ポリープ、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎などを挙げています。
つまり除菌対象者をピロリ菌陽性者すべてに拡大したのです。

わが国では40歳以上の大半の方がこのピロリ菌に感染していると考えられています。
感染経路は明らかではありませんが子どものころに水などを通じて口から感染したと考えられています。衛生状態の改善により若い人の感染率は低くなっています。
それでも日本国民の半分にあたる約6千万人の方が感染していると推定されています。
成人してからの感染はないとされています。

現在ピロリ菌の感染を調べる検査は胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人、またはあった人だけが対象で、治療は潰瘍を再発する人に限られています。
それ以外で検査や治療を希望する方は保険外で、自費で検査治療することになります。

ピロリ菌感染の有無を調べる検査は、胃カメラを使う方法と試薬を飲んでから呼気を集めて分析する方法などがあります。
治療は制酸剤・抗生物質などの三種類の薬を1週間服用することになります。

最近の研究ではピロリ菌は胃炎や胃潰瘍のほかに、胃癌や胃のリンパ腫などの病気にも関わりがあることがわかっています。
現在日本では胃癌で毎年約5万人の人が亡くなっています。
ピロリ菌を除菌することによって胃癌が予防できる可能性が高いとされています。

学会のガイドラインにもとづき、希望する方の検査が公費ででき、すべてのピロリ菌陽性者の治療が保険でできるようになることが求められます。

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