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2009年10月17日土曜日

勝間和代の日本を変えよう(毎日新聞社)

経済評論家・公認会計士でベストセラー作家である勝間和代が日本の変革とポスト資本主義について書いています。若者の希望喪失、依然続く女性差別、固定する富と貧困。この日本現状を変えるために一人一人の行動を訴えています。「「日本を変える」目的は、もちろん、自分たちや自分たちのあとの世代が、より幸福になるための条件を手に入れることです。」 「自分だけの満足、自分だけの喜びは、長続きしないということです。人のために何かでき、人に喜んでもらえたときの幸福感ほど、大きく、また長続きするものはありません。」「仕事にしても、いかにお金がもうかったところで、人に喜んでもらえないならば、その仕事には喜びもやりがいもないと思います。」
そのために、自分のできることを無理のない範囲で実践すると呼びかけています。具体的には事実を多くの人に知らせること、政治を変えるために選挙に参加すること、そして「個人も収入の5%以上を寄付に、5%以上の時間を社会貢献に充てましょう」を提案している。
日本では弱肉強食の自由競争を主張する新自由主義が依然幅を利かせています。努力を正当に評価されることは大切ですが、人を踏みつけにすることは許されません。それと明確に一線を画する主張がマスメディア出てきたことは歓迎すべきことです。
個々の問題では意見の違うこともあります。勝間は「終身雇用を考えなおし、柔軟な雇用体制をもっと検討しましょう」と提案しています。終身雇用制の見直しが経営者による恣意的な解雇の自由につながる危険があります。しかし意見の違いを保留し、事実を共有し一つ一つ変えていくための実践をともにしたいと思います。ポスト資本主義についても大いに語りあいたいものです。ひょっとすると今はそんなに悪い時代ではなくわくわくするような未来が実現する可能性があるのかなと思わせる本です。一読をお薦めします。

勝間の15の提言
全体を変えるための3つの提言
1 一人でも多くの人が投票しましょう
2 政府の情報公開と数値目標をもっと充実させましょう
3 終身雇用を考えなおし、柔軟な雇用体制をもっと検討しましょう
男女共同参画・少子化対策のための8つの提言
4 家族政策費の対GDP比率を現状の0.7%から1.4%に倍増させましょう
5 家族省を創設し、縦割りになっている家族施策を統括しましょう
6 総労働時間を規制し、ワークシェアリングを導入しましょう
7 女性に対する統計的差別を撤廃しましょう
8 税制において、配偶者控除の金額を引き下げ、子どもの扶養控除の金額を引き上げましょう
9 保育園の待機児童ゼロを目指しましょう
10 非嫡出子と嫡出子の差別を撤廃しましょう
11 パパ・クオーター制を導入しましょう
ワーキングプア・貧困対策のための4つの提言
12 正規雇用と非正規雇用の均等待遇を実現しましょう
13 最低賃金の引き上げを図りましょう
14 もっと予算を使うことで公教育を充実させましょう
15 個人も収入の5%以上を寄付に、5%以上の時間を社会貢献に充てましょう

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