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2009年10月17日土曜日

特定健診・特定保健指導は何をもたらしているのか

08年4月より導入された特定健診・特定保健指導は10ヶ月が経過しその問題点が明らかになっています。
厚生労働省は早急に実施状況を集約し、国民に情報公開し国民的議論を起こし国民の健康増進のための健診・保健指導のシステムを再構築する必要があります。
私は、後期高齢者医療制度とともに問題の多い特定健診制度を廃止しひとまず老人保健法にもとづく健康診査に戻すべきであると考えます。


メタボリック症候群に焦点を絞った健診の有効性に疑問があります。
津金昌一郎・国立がんセンターがん予防・検診研究センター予防研究部長は「がん、循環器疾患を減らすには、肥満対策より、まず禁煙、節酒を推進することが重要。国民全体の健康対策として取り組む場合、肥満中心の手法は適切ではない可能性がある」と、肥満改善を重視する現在の特定健診(メタボ健診)に疑問を投げかけた。米医学誌電子版に発表した。」(09年1月30日毎日新聞)


他の癌検診の後退を引き起こしています。
「(特定健診への)国の補助単価が実費に届かない自治体が8割近くあることも判明。がんなどの他の検診への補助を削減する自治体もあり、メタボリックシンドローム(内蔵脂肪症候群)以外の対策が後退し始めた実情が浮かんだ。」(08年7月27日毎日新聞)


さらにかかりにくさから受診率が極めて低いものになっています。
07年まで老健法にもとづく健康診査では、住民票さえあれば受診が可能でした。
しかし特定健診では、保険者から送付される受診券がなければ受診できません。
それが受診を妨げる障壁になっています。
08年度は保険者によっては受診券の送付が秋になったところもありました。
また受診券を紛失する事例も発生しています。堺市の国民健康保険被保険者の特定健診受診率は08年11月末で13.4%です。特定健診とは別の制度である癌検診も低迷しています。
堺市の大腸癌健診は昨年比62.7%に減少しています。
複数の健診を同時に受けることが一般的で特定健診の不振が癌検診の足を引っ張っているのです。

このような状態で、厚生労働省は5年後には65%から80%の受診率を実現することができると考えているのでしょうか。
メタボリック症候群対策で国民医療費を2兆円減らせると考えているのでしょうか。


行政の施策がなんらの成果を上げず総括もされてかったことを何回も見てきました。
「寝たきり老人ゼロ」「健康日本21」「ゆとり教育」等々。
公的健診は国民生活に重大な影響を及ぼすものです。
また国民医療費にも影響を及ぼすものです。
国民的な議論が必要です。
そのためにも実態が情報開示される必要があります。

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